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承 3

プロットなしの無計画運転ですので、話が寄り道しまくって戦争がはじまらないのは仕様です。


もう少しお待ちください。

大臣との話が終わって廊下に出ると、俺たちはため息をついた。

「ああ、緊張した」

 千秋がそう言ったが、それは大嘘だ。

「質問までしてたくせに」

「それは必要性が緊張を超えたからに過ぎない」

「まあ、いろいろと興味深いことが訊けたのも事実だがな」

 なんか千秋はわからない。小学校からの腐れ縁というかなんというか何年間も一緒にいるわけだが、未だにその全容はつかみ切れていない気がする。

 特にさっきの言動は明らかにおかしかった。きっと何か企んでるに違いない。しかし、向こうから教えてくれないということは、俺にも関係することなのか、単に敵を欺くには味方から、のどちらかだろう。

 確かに気になることはいっぱいある。積み上げれば富士山を優に超え、エベレストと競えるかもしれない。

 例えば、さっき千秋の指摘した「俺たちが選ばれた理由」もそうだし、タイムマシンがあるのに今回過去人の俺たちを連れてきたのがものすごくレアケースのような態度をとっているし、そもそも俺たちの身分で防衛大臣になんぞ会えるものなのか。まだまだある。「神の子」は何を考え、この戦争を止めずに助長したのか。ゲームとはいったいどのようなものなのか。仮想世界で行うガチな戦争――戦車に銃、手榴弾などの武器が登場する――に俺たちを呼ぶのはおかしいだろう。戦力になるわけがない。ということは、ゲームの設定自体が特殊なのだろう。

「――正太郎さん、聞いてますか?」

 どうやらリッカさんが何か話していたらしい。すまん。完全に聞いていなかった。

「あ、わりぃ。考え事をしてた。すまんが、もう一回言ってくれないか」

「ええ、別にかまいませんよ」

 リッカさん。あなたは女神ですか。なぜ、そんなにいつも笑顔でいられる? 千秋なら絶対に説教が始まっていたぞ。

「人の話はちゃんと聞くべきだ。正太郎、僕がさんざん言っても治らないね、その癖――人が喋っている間に考え事する癖」

 案の定、お叱りをいただいた。

「これでも、日に日に進歩しているんだ。昨日の俺よりは、他人の話を聞いている」

「昨日というのは、2062年5月4日のことかい? クックック」

 意地悪く千秋を本気で殴りたくなった。

「そういう千秋は、どうなのさ」

「僕は、人の話をちゃんと聞きながら考え事ができる」

 さりげなく千秋は手を額からうなじに向かって滑らせて格好つけた。これが決まっているから、さらに腹が立つ。殴っても罪にならないなら、絶対に殴ってる。

「まあまあ、お2人とも」

 リッカさんが仲裁に入る。大変な役回りご苦労さん。今度奢るから許してくれ。

「で、何の話をしてたんだ?」

「ええと、あ、そうそう、お2人さんに夕食を勧めていたのですよ。おなかが減っていないかもしれませんが、ここでは今18時。ちょうど夕食の時間帯というところです」

 やはりスマイルを崩さないリッカさん。そうそう、平凡な顔立ちの俺は、美女から笑顔で食事に誘われたのは初めてだ。

「そうだなあ」

 満腹でははいが、腹は減っていない。しかし、こんな機会は2度と訪れないだろうから、無下にもできない。

「千秋のためにもう1度言っておきますけど、僕は遠慮しておきます。ちょっと調べたいことがあるので」

「ええ、結構です。ですが、その前に――」

 そう言うと、リッカさんはポケットからピストルを取り出した。

「おい、何のつもりだ!」

 リッカさんはさっきとは打っていかわって無表情になって、銃口を千秋の方に向ける。

「お2人には、撃たれてもらいます」

 刹那、リッカさんは引き金を引いた。

 バーン。

 轟音が、俺の鼓膜を破る勢いで辺り一帯に響き渡った。

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