第5話:絡み合っていた謎
「‥‥進んでるかな‥‥事情聴取‥‥」
四人は俊人の部屋に通され、お菓子を出されて、城山達の行う事情聴取が終わるまではとりあえず動かないことにした。
「さぁ‥‥でもとりあえずはあの城山と網綿って刑事に任せてみようよ」
「‥う‥‥ん‥‥」
「ところでさぁ、俊ん家って‥‥父親いなかったっけ‥?」
「‥‥さぁ。あんまり家族のこととか話したことないし‥‥」
「ふーん‥‥」
その時だった−−
「キャァァァァ!」
リビングから敬子の凄まじい悲鳴が聞こえてきた。
「なんだ!」
リビングへと急ぐ四人。そして四人が見たのは、立ち尽くす城山達と、ナイフで背中を刺されて俯せに倒れている敬子だった。
「な‥‥これは‥‥!?」
「‥‥‥俊人君ですよ‥‥」
恐怖で目を見開いている城山。
「は!?俊人君ですよって‥‥」
「‥いきなり玄関の方から俊人君が現れて‥‥一瞬の内に母親を刺して、逃げていきました‥‥なんとも‥不覚です‥‥」
「なんだって!?」
俊人が敬子を刺し‥‥いやそれよりも‥‥俊人は生きていた‥!
「それで、敬子さんは‥助かるんですか‥?」
「‥‥いや、もうこの出血じゃ無理だろうな」
網綿が顔をしかめて言った。
あぁ‥‥なんでこの私が殺した筈の俊人が‥‥。だんだん‥‥意識が薄れていく‥‥。死ぬのは嫌だけど‥‥もう人を殺せなくなるのは‥‥もっと嫌‥‥。
草上中学校の夕暮れ時の教室。ちょうど部活を終えたところだ。
「‥‥‥確かに。でもな、一日に一気に3人だぜ?いくらなんでも偶然だって!大体その規則に従うことに何の意味がある?越水、ちょっと神経が敏感になってるだけだよ」
「そんな‥‥」
「ほら、これから塾だろ?一緒に行こうぜ?」
「‥‥‥」
その日の夜10時過ぎ、塾から帰る途中で越水辰輝が何者かによって刺される事件が発生した。越水は出血多量で死亡。警察は前日に起きた、連続殺人との関連を調べている。
さらにそれから2時間後、一時は諦めかけていたが、五神俊人に刺された五神敬子は一命を取り留めた。意識が戻ってからは、ずっと譫言のように
「俊人、俊人‥‥」
と繰り替えしているそうだ。
そして、五神俊人はまた姿をくらまし、まだ見つかっていない。
「なんか‥‥よくわかんないことになっちゃったなぁ‥‥」
次の日の放課後、いつものように四人は井蛹川に来ていた。
「‥あぁ‥‥」
「こんな狭い街の中で、二日で四人も、だからなぁ‥‥」
「しかも‥‥全員同級生。高丸中よりも、隣の草上中の方が多いけどな‥‥」
「一体どうなってんだよ‥‥」
そう。偶然にも敬子が無差別に殺した三人は、彼等と同じ中学生なのだ。
「それに‥‥俊も含めて二人も失踪‥‥‥くそ!ありえねぇよ!」
‥‥夕暮れの光が井蛹川を綺麗なオレンジに染めていた。
そこで四人の少年達は無数の謎に悩まされていた。
今まで読んでいただき、ありがとうございました!
さて、この矛盾に満ちた物語、僕の文章の稚拙さもあって、読みにくいところも多々あったでしょうが、本当にこのままでは意味がわかりませんよね。実はこの物語で起きていることは、全て論理的な説明がつくのです。『何故俊人が生きていたのか』が最も大きな謎ですが、それらは全て次回作、『僕等は井蛹川にて〜留心編〜』で明かしていきたいと思います。
では、長々と失礼致しました。




