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第4話:始まる前には夢を創って

「‥‥誰ですか?貴方達‥‥」

紅が警戒しながら言った。

「おっと、失礼しました鳥宮さん。私は城山。警察ですよ。」

なぜかおかしそうにはっはっはっ、と笑った。

「警察!?なんで警察が俺達の名前を‥‥!?」

皆、驚いていた。まぁ、当然だろう。

「それで、あの‥‥貴方は‥‥?」

「‥‥網綿だ‥‥」

ぎろり、と睨まれて竹昭はすくみあがった。

「貴方達もこれから五神家に行くんでしょう?これもなにかの縁です‥‥我々とのんびりお話でもしながら行きませんかぁ?」

完全に城山のペースで、四人は何も言えなかった。

「まぁそれで‥‥あくまでも推測なんで聞き流してもらっても構わないんですがねぇ‥‥。皆さん、割心斬ってご存知ですかぁ‥‥?」

「かっ‥‥しん‥ざん‥‥?」




昨日────

グサッ!

「ぁ‥‥ぅ‥‥‥‥」

どさっとその場に崩れ落ちる主婦。

「おぃサッチモ、こっちは終わったぞ」

「こっちもだ。あとは夫ともう一人のガキ‥‥兄の方か」

「そいつら殺んのはターナー達だったな。どうなった?もう終わったのか?」

強盗グループの四人が今まで隠れ家としていた一軒家。彼等は決まったアジトを持たない代わりに、一般の民家に押し入り、住民を脅迫しながら何日か住む。そして足が付きそうになったら口封じに住民を殺してそこを引き揚げる。そして次の場所を探すのだ。

そして今、口封じの真っ最中のこの家の中は、地獄絵図だった。

「夫の方はもう済んだ。だが‥‥」

「いつもこの時間には塾から帰ってきてる筈の兄がいねぇ」

「‥‥ったく‥どうなってやがんだ。ターナー、ちょっと家の周り見て来い。他をやっちまった以上、ここは全て終わりにしなきゃな」

「‥‥わかった」

──全てが始まる前に、仕掛けは作られ始めていた。




「へぇ‥‥そんな儀式が‥‥。それでこの失踪がそれだって‥‥」

「はい。あくまでも推測ですが」

にこにこしながら城山が言う。

「それじゃあ‥‥俊はそれの犠牲に‥‥」

「ふざけんな!そんなことがあるかよ!俊がそんなよくわかんない儀式の為に消えるなんて‥‥」

「ケイ落ち着けって‥」

「まぁまぁ皆さん落ち着いて‥‥ほら、五神家も見えてきたことですし‥‥少し冷静になってみてはいかがですかぁ?」

相変わらずにこにこしながら城山が言う。




「や‥‥やっぱり次は僕だ‥‥‥‥僕は‥‥殺される‥‥」

高丸中学校の隣の中学、草上中学校。そこでは一人の天才が死に怯えていた。

「おーい、越水(こしみず)。何そんなとこでうずくまってんだよ。‥‥いくらあんなことがあったからって‥‥」

「小島‥‥君なら‥‥君なら‥信じてくれるか‥?」

「ん?どうしたんだよ?」

「‥‥僕は‥‥‥‥」




ピンポーン

『‥はい、五神ですが』

四人はチャイムを押してから、俊人の母──敬子の声を聞くまでが異常に長く感じられた。城山は相変わらずにこにこしていて、網綿も相変わらず鋭い目をしていた。

「あの‥‥俺等、俊の友達なんですけど‥‥」

一瞬の沈黙──。

『あぁ、はぃはぃどうぞ上がってくださいな』

「あと‥‥」

「私達、警察も偶然、いるんですよぅ。もしよければ一緒に上がらせていただきたいのですが。はっはっはっはっ‥‥」

『‥‥そうですか。どうぞ、ご一緒にお上がり下さい‥‥』

未来と過去を繋ぐ物語は、真実を捻じ曲げる。

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