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幸も不幸も紙一重

この物語は他の誰よりも幸運であろう事象に見舞われる僕の物語だ。


僕の名前は春宮彼方。どこにでもいるようなただの陰キャである。


だがそんな僕でも友達は居る。


高校生活において、最も重要と言える出だしをミスった僕を救ってくれた救世主。


救世主の名前は仲川裕太。


僕の出席番号の1個前の陽キャであり、早くもクラスの中心人物になっている。


そんなこんなで、孤立するという最悪の事態を奇跡的に免れた僕は、この時点でかなり幸運ではあるが、この後起こることに比べれば全然大したことじゃない。


キーンコーンカーンコーン……


一日の終わりを告げるチャイムが鳴った。


「さて、帰りますか。」


僕は電車通学だ。


引っ越すのが面倒という理由で僕はかなり遠くから電車に乗って来ている。


だが電車というのは中々に不便なもので……


「っ!最悪だ!」


突然の雨だ……それもかなり勢いの良い雨。


この時期特有のゲリラ豪雨だった。


幸い駅の近くまで来ていたので雨宿りはできた。


だが幸運なことばかりではないものだ。


この豪雨の影響で、電車がオーバーランして踏切に突っ込んでしまったらしい。


要するに運行休止ということだ。


困ったな……


こんなとき一人暮らしじゃなく実家暮らしだったらどんなにいいか。


実家暮らしだったとしても、両親は海外で働いている。


つまり、車での送迎も期待できなかった。


ホテルに泊まる?生憎とそんな大金は持っていない。


そんなこんなで傘も無く、雨に濡れながらさまよっていた時だった。


「あの…春宮君……だよね?」


「へ?は、はい?」


その声の主は学校内外で絶大な人気を誇る超絶可愛い女子。日坂唯だった。


彼女は一際目を引く女子だ。


理由はその容姿にある。


可憐な顔立ちに、宝石のように綺麗な水色の瞳。


長い白銀の髪をハーフアップ?という縛り方で結んでいる。


おまけにスタイルも良く、出るところはしっかり出ていて引っ込むところは引っ込んでいる。


他に見ないようなパーフェクトな女子なのだ。


わかって貰えただろうか。要するに可愛いのだ。


僕でも知っているくらいに有名だ。


単純に後ろの席だから知っているというのもある。


まあ今はそんなことどうでもいいな。


そんなことより最強に可愛い女子がずぶ濡れの陰キャに何のようだ?


冷やかしだろうか?


雨で充分冷えているからこれ以上は結構なんだが。


そんなことを頭に浮かんだのは1秒程度だった。


思考が中断されたのは彼女が話の続きを始めたからだ。


「電車止まっちゃって困ってるんだよね…?」


「え、えぇっと、は、はイ」


我ながらだがキョドりすぎだろう。


「ならさ……家、来る?」


「へ???」


何言ってんだ……?この人は……?


「あたし、一人暮らしだし平気だよ?」


「そういう問題じゃなくないですか??というか異性を家に連れ込むって…」


「い、いや!変な意味じゃなくてね!ずぶ濡れだと風邪引いちゃうし??その…困ってるっぽいし!ね??」


「いやでも色々マズイ気が……」


「大丈夫だよ!!たぶん」


……今たぶんって言いませんでした??


「そ、そういうことなら…お願いします?」


まあこればっかりは仕方ない。行く宛てもないのだ、腹を括ろう。


それに悪いことじゃないし。僕と言えど可愛い女子にそんなこと言われたら無下にはできない。


「じゃあはい」


「?」


「傘、持ってないでしょ?今からでも入りなよ」


「え?いやその」


「ね???」


圧がこわいよぉ……


「……失礼します」


そこから僕らは他愛もない話をして日坂さんの家まで二人で相合傘しながら歩いた。いや、おかしいでしょ、普通に。


「ここがあたしの家!」


「え…?これですか?」


連れてこられたのは…まさかのバカ高いマンションだった。


日坂さんは慣れた手つきでエントランスのテンキーを押していく。


ウィーーン


もしかしなくてもとんでもない金持ちなんじゃないか……?


僕はそんなことを考えながら日坂さんに続く。


日坂さんはエレベーターに入っていく……


「なにしてるの?早く来なって」


いやいやいやいや!!無理無理!密室だぞ??ここまでの数十分だけですでに5回は〇ねるぐらいに緊張してるのだ、密室なんて無理に決まってる!


「えいやっ、その……」


「?」


「ハイ……今行きます…」


きょとんとした最強すぎる顔面をされては断れない。


そんなこんなで僕はエレベーターに乗った。


登り続けるエレベーター。


…………長い。たぶん気のせいじゃないぞ、これ。


へ???押されていたボタンは…15階???


あ、やっと着いた…っ!?!?


「はい、上がって上がって」


「えっあはい、お邪魔します…」


いやいやおかしいって。普通はエレベーター降りたらフロアが広がってるだろ??なんで直で玄関があるんだよ??


とまあ、中々に動揺したがずぶ濡れなのだ、さっさと風呂を借りよう……


「へっクション!!」


ほら言ってる側から。いや言っては無いけど


「あ、お風呂沸かすから少しだけ待っててね。はい、これタオル。」


「あぁありがとうこざいます……」


数分後……聞き馴染みのある音楽と共に風呂が沸いた旨の宣言を聞かされた。なんか安心した……そこはどんな家でも同じなんだな。


「じゃあ…風呂、借ります。」


「はーい、ごゆっくりどーぞー」


これが日坂さんが使ってるシャンプーか……


ってだめだめ!そんなこと考えるな僕!!


日坂さんは善意で貸してくれてるのだ、そんなことを考えてはだめだ!!


浴槽に浸かりながら僕は再び思考する。


……冷静に考えて、僕かなりラッキーなのでは?


だってかの有名な日坂唯の家にお邪魔して、かつ風呂まで貸して貰えるなんて。


みんな知ったら僕を殺す勢いで睨むんだろうなー。


「まあでも、今日限りのたった一泊だ平気だろう。」


…………


いやまてまてまて!!泊まる??女子の家に??


やらかさないか心配なんだけどぉ!?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


───あたし、日坂唯は……今!好きな男の子を家に連れ込んでいる!!


って言うと聞こえがよろしくないけど、困ってるから助けるって言う名目で連れ込んだだけだしぃ?合法だよね!


「はぁ〜、かわいかったなぁ彼方君…」


たぶん本人は気づいてないけどワイシャツが濡れて透けてた。どこがとは言わないけどね。


「てゆーか!あたしの家のお風呂を彼方君が使ってるって思うと……えっっっ」


「なんなら彼方君からあたしと同じ匂いがするようになるとかサイコーすぎる!!」


そう、あたしは超人気者で可愛くて最強だけど実際は変t…年頃の女の子!


そういう妄想の1つや2つくらいしちゃうもんねー


「ちょっとだけ覗いてみよっかな…」


わーだめだめ!まだ早いって!!


「あ…でも着替えなんて持ってないよね…置いてこよーっと。」


えへへ、合法的にあたしの服を着せられる〜


着替えを置きに行くという名目でお風呂場へ。


ちょうど出てきちゃったらどうしよう?写真撮っとく??


そんなくだらないことを考えながらお風呂場に入る


ガチャリ ガラガラガラ


それは両者同時だった


「へっ?」 「え??」


「わぁぁぁぁごめん!!そういうつもりは(ちょっとしか)なかったの!ただ着替えを置いておこうと思っただけで!」


「へ、平気だから!ありがとう!!」


「そ、それじゃあね!!」


あたしは慌ててリビングに戻った。


「いやぁそれにしても…彼方君色っぽくてすごかったなー……」


まさか本当に出てくるとは思ってなかったから勢いでことを進めることにならなくて良かったー。


と、思う反面もったいなかったなとも思う唯なのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「びっっっくりしたぁぁ……」


とりあえず日坂さんが置いていった服をきy……


………………違和感


「なんか胸元スカスカ過ぎない??しかもズボンの丈短すぎじゃない???」


どうしてそんな胸元なのかは……まだわかる。どこがとは言わないけど日坂さんすごいから。


でもズボンは……他にもあったんじゃ……?丈短すぎて太ももめっっっちゃ見えるよこれ?


さすがに貸してもらう立場で文句を言うのもよろしくないので渋々着ることにした。


「やっぱり…えぐいなこれ……」


僕は意を決してリビングに戻った。


「え、えと風呂…ありがとうございました。」


「いえいえーそんなにかしこまらなくていいよー?」


「あ、そうだ…その服が……ちょっと際どいんですけど……」


はっ、つい言ってしまった!


「あー…ごめんね!それくらいしかなくて!」


「リボンとかついてる可愛いやつでいいならそっちがあるんだけど……」


「あぁ…いえ大丈夫です。すみません。」


なるほど、仕方なくこれだったのか。納得だ。


「その服似合ってるから平気だと思うよ?」


「へっ?ど、どうも…?」


なにを言っているんだ?このパーフェクト女子は


「てゆーかそれよりもさ!」


「?はい」


「敬語!やめてよ?」


「あぁ、は、はいすみませ…」


「敬語!!!!」


「ご、ごめん!」


とは言え僕だって緊張するのだ。自然と敬語になってしまう。


「あ、あとさ……その…」


「これを機にお互い名前で呼ばない?」


あの日坂さんを?名前で呼ぶ……だと!?


そんな特権を僕なんかが??だがここで稀に出る僕のポジティブ発動!ラッキーと捉えることにした!


「うん…わかった。改めてありがとう唯さん」


「うむ、くるしゅーないぞ彼方君」


キャラ崩壊!!


「あ、そうだ。二人でゲームしない?」


「え?唯さんってゲームするの?」


ものすごく唐突な提案だが僕は生粋のゲーマーだ。光の速度で食いついてしまった。


「わ、びっくり、食いつきはや。」


「あ、ご、ごめん。」


「普段はやらないんだけどね。前に従兄弟と少しやったことがあってさ。その…彼方君そういうの好きかなって思って。」


「な、なるほど…」


はいもちろん大好きです。


「ところでゲーム機はあるの?」


「あ、ちゃんとあるから安心して。ほらそこのテレビ台の下に…」


「ほら!」


そういって日坂さんが取り出したのは意外にも最新モデルのゲーム機だったのだ。


「えぇ!?なんでそれ持ってるの!?」


「へ?なんか特別なヤツなの??」


「特別っていうか…最近出たばっかりのモデルで人気すぎて入手困難なやつだよ!ちなみに僕も持ってない……」


「へ、へぇ〜…」


はっ、まずいぞつい熱く語りすぎてしまった。


「て、ていうかゲームやらないのになんでそれを??」


「あ、え、えっとその、つ、ついこの前従兄弟に貰ってぇ……」


明らかに目が泳いでる……理由は分からないけど嘘をついている気がする。


もちろんそれを指摘するつもりはないが。


「えっと、僕もそれでゲームしたかったから……そのありがたい…な。」


「ほんと!?じゃあ早速やろ!!」


こうして僕達は知り合って数時間程度で家でゲームをするほどの仲になった。


ん?唯さんのゲームの腕が気になるって??


お世辞にも上手いとは言えなかったが絶望的な程ではなかった。


安心して欲しいのだが、ボコボコにはしていない。


この僕が唯さんの機嫌を損ねるようなマネをするわけがないだろう。


そんなこんなで僕達はゲームを楽しんだ……

読んで頂き、ありがとうございます。

作者のうぱうぱです。

わりとありふれた感じにはなってしまいましたが気に入って頂けたら幸いです。

これ以上書くことが思いつかないので終わります。

シリーズが続いていたらまた次回お会いしましょう。

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