MY GANG・STAR(前編)
「...あの映画...あれ...そうだシンドバット...七回目のやつか?」
「あってるぞビリー。俺も見た。ポルノ映画だろ」
「馬鹿が。本当に見たか?!最高だよな?!あの古臭い感じとシンドバットの色気が凄いよな!」
「まじか?俺はクソだと思ったよあの映画」
「なんだって...もう一回言ってみろ...」
「はっきり言ってゴミの中のゴミだ。怪物は魅力的だったがな。まるでお前と女がくっついているくらいの気持ち悪さだった」
周りからクスクスと笑い声が聞こえる。
「クソ野郎が。映画の良さが分からねえ奴は人間じゃねえぜ...いいかよく聞け。あの映画は凄いんだぞ」
ビリーは手をあげてジェスチャーしながら言い始めた。
「あの映画には壮大なカタルシスが込められている。勿論普通のじゃない。」
「冒険・ドキドキ・ハラハラ。エロはないが十分楽しめるんだ」
「パリサ姫をもとの姿に戻すために冒険に出るんだがとてつもなく危険な旅路」
「シンドバットは他人のためにそんなに頑張れるんだ。」
「もちろんセックス目的かもしれない。救ってヤる。朝昼夜1時間に一回はヤる目的かもしれない」
「だが、それにしても助けることには変わりない。シンドバットは凄いんだ」
「ヤるのか?だったら見るぜ」
横からジェイが割り込む。
「エロはないって言っただろ話聞いてるのか?」
「話は聞いていたがただ単に気になったんだ。カッカするな子供みたいでダサいぜ」
「黙れ!」
周りからはクスクスとずっと笑い声が聞こえる。
「あまり怒鳴るな。運転に集中できないだろ。朝っぱらから疲れさせないでくれ。まだ8時だ。」
ウイスタンが疲れた様子で後ろに言った。
「8時なんてもう朝じゃない。ほぼ昼みたいなもんだろ」
ジェイが困惑した顔でウイスタンに言った。
「俺にとっては早朝だ。」
ウイスタンは眠たそうにあくびをしてから言った。
「折角の珍しい4人だ。しりとりでもするか?」
「低レベルだなカート。ここはロシアンルーレットだな」
「...馬鹿かジェイ。一人減るんだぞ」
「流石に冗談だが他の遊びはないのか他の遊びはぁ!」
「じゃあお前が考えろ俺が10数えるうちにな」
「いいぜ。上等だ」
「10」
「まて合図くらい...」
「9」
「ちくしょう!」
「8」
「あートランプ!」
「7」
「運転中の俺を馬鹿にしてるのか?」
ウイスタンが言う。
「6」
「うっせー片手で運転くらいできるだろ」
「5」
「あーもう!」
「4」
「手遊び」
「3」
「シコシコ!」
「ぶっ!」
「2!」
「まて...」
「1」
「分かった負けだよ負けだ!」
「ほら言ったとおりだ。しりとりでいいよな」
「勿論。」
一人を除いて全員で言った。
「じゃあ始めるぞ。しりとりの"り"から...リスから...」
「スル」
とカート。
「ルーレット」
とジェイ。
「トイレ」
とビリー。
「連打」
とウイスタン。
「騙す」
「スパイ」
「イく...ぶっ!」
「...面白くないぞジェイ」
「くんに」
「...カート!」
「肉」
「クリスマス」
「スケジュール」
「留守」
「水筒」
「牛」
「シコシコ」
「こり」
「リンゴ」
「ゴリラ」
「ラジカセ」
「セックス」
「もうやめようお前らあとで覚えとけよ。ジェイとカートと...ウイスタン...」
「お前以外だな!」
「...くそ!」
車内に笑いがあふれ出した。
みんな腹を抱えて笑う。
「さぁ楽しい会話は終わりだ。目的地だぞ」
「うぇ...ボロボロマンションじゃねえかよ。」
ビリーは苦笑いをしながらマンションを見つめる。
「まぁまぁ。いいじゃないか」
「とにかく外に出るぞ。皆ドアを開けろ」
=MY GANG・STAR=
ーー6/23 pm6:23
「はぁ...はぁ...」
片手には銃を持っている。
もう片方はブラブラと血が流れる腕を下に向けている。
「ぐ...」
見下ろすと銃口の前に二人が座っている。
二人は顔から血を流している。
二人ともウイスタンの事を睨みつけている。
ウイスタンはただ銃口を突き付けている。
二人は見覚えのある顔の奴らだ。
一人はビリー
一人はカートだ。
「はぁ...はぁ...」
ウイスタンは今にも倒れそうなくらい息を吹いている。
顔を見上げた。
見上げた先にあったのは血まみれの部屋だった。
部屋の中はあちらこちら血が飛び散っている。
地面には銃と人が倒れている。
「...あ...あぁ」
ウイスタンは倒れている奴らを見て言い始めた。
「...ケニー...ローレンス...ジェイ...」
倒れている人は全員片手に銃を持っている。
大量の血を出しながら彼らは倒れていた。
「どうなってるんだよクソが...!」
「俺が言う」
ビリーが肩を抑えながら言った。
「裏切り者の件でピリピリしてたろ、そしてあんたが外に出た瞬間だ。いきなり誰かが銃で乱射し始めた。それまではただ呑気に座っていただけだ。そして皆乱戦状態。悲鳴を挙げるわ叫びまくるわで大混乱だ。そして銃の煙が消えるとカートが立ってた。」
「よくのうのうと嘘をつけるもんだ。」
カートが横から入り込む。
「アドナスは今どこにいるんだ?」
「トイレだ。だから生き残っているはず...」
「で、嘘って...」
カートが言い始めた。
「あんたが出て行って、アドナスがトイレに行って、その後、ビリーがケニーに銃口を向けたんだ」
「なんだって?!もう一回言ってみろ!」
「そしてビリーが[全員ぶち殺してやる]って、そして乱戦が始まった。運が良いことに俺は生き残ったが、目の前にはビリーはいたんだ」
ウイスタンは瞬時に状況が理解できずに戸惑っている。
「くそ...くそ...!」
ウイスタンは困惑した顔で二人に言った。
「二人とも違うこと言っても分かんねえよ!だからなんでこうなってる?!」
「俺は言ったぞ。正しいことを。ビリーだ。」
「残念。それは違う。カートが嘘をついている」
ウイスタンは頭を抱え始めた。
「...んねえよ...かんねえよ...訳がわかんねえよ...」
その時...
部屋の奥のドアが開いた。
「...うわあ!」
アドナスだ。
びっくりして後ろに飛び跳ねた。
「は?おい!ローレンス?!おい!」
目の前にある血まみれの死体に語り掛ける。
「ちくしょうなんだっ...」
言葉のいい途中で部屋の惨状に気が付いた。
アドナスはしばらくの間固まってしまう。
「...おいどうなってんだ...?おいウイスタン?!」
アドナスはウイスタンに駆け寄って行く。
「誰だこいつ...ビリーとカート?!なんで銃なんか向けてんだ!」
アドナスは終始困惑している。
「いいかアドナス一回落ち着け...俺も落ち着いていないが...」
「...あ...ああ」
「まず...お前は俺が出て行った後にトイレに行っていた。」
「そうだけど...」
「そして俺が戻ってくるとこの有様だった。生き残っているのはこの二人だ。二人はそれぞれ違うことを言っている。」
「...は?何言ってんだ?」
ビリーが横から割り込んできた。
「おい!カートを殺せ!このクソ豚野郎は仲間を殺しまくったんだぞ」
カートが睨みつけて言う
「嘘を言うのも大概にしろ!この殺人犯め!裏切り者が!」
「なんだ?俺が裏切り者っていう証拠があるのか?」
「あぁ十二分にある。逆にお前はどうなんだ言ってみろ!」
カチャッ...
ビリーは拳銃をサッと出してカートへ向けた
「はぁ...はぁ...」
ーー6/23 am8:20
「...レオンみてえなマンションだこと」
ジェイはマンションを見つめながら言った。
「お前の映画オタクっぷりはすげえよ。あだ名まで思いつくぜ」
「どんなあだ名だ?」
「フリックマン。どんな事も簡単に弾いちゃうクソださ人間」
「死ね」
「いいか作戦通り行くぞ。ビリーとケニーで外待機だ。俺とカートで攻めていく。二人は銃を構えとけ」
ビリーは車に手を置いて言った。
「分かってらあ。逆にそっちこそ気をつけろよ。」
プルルルル...
ウイスタンの携帯が鳴り響いた。
「はい」
「...はい。...わかりました」
ウイスタンは30秒ほどで携帯をしまった。
「報酬はボスが一人100万くらいだとよ」
ウイスタンが笑いながら言った。
「それじゃ行ってくる」
ジェイはウイスタンを見ながらガムをくちゃくちゃ音を立てながら噛む。
ビリーはジェイをチラッと見て言った。
「...パルプフィクションって知ってるか?」
「くちゃ。なんだそれ?くちゃくちゃ」
「ギャングの映画。あの二人がその映画を連想させてさ」
「面白そうだな。くちゃくちゃ」
「面白そうだなじゃなくて面白いんだ。タランティーノは天才だ」
「タランティーノか...俺は王道のスピルバーグ派だからあんまだな...」
「お?言ったか?じゃあ見てみろ」
「分かったよわかったて。集中しろ」
「まぁいいや。車に乗ってるぜ」
「なぁそいつってどんな奴なんだ?」
カートはウイスタンに不思議そうな顔をして聞いた。
「さぁ。初対面だし知りたくもねえな...」
二人はぶつぶつ言いながら階段を上がっていく。
「というかエレベーターで良くないか?ウイスタン。疲れるぞ」
「エレベーターは気づかれるかもしれないだろ。それにエレベーターは嫌いなんでね」
「嫌い?なんでだよ」
「揺れが嫌いだ。」
「そんな理由で体力を使って、いざって時にどうすんだよ」
「お前が体力ないのは知ってるんだ」
ウイスタンは呆れた顔でカートに言った。
「はぁ...」
「大声を出すな馬鹿野郎。」
「...」
「銃を用意してろ」
ウイスタンとカートはポケットの後ろで銃をカチャッとセットした。
ジェイはマンションを見上げながらガムを食らう。
ビーッ!
ビリーは車のクラクション音を鳴らした。
「ちゃんとマンションじゃなくて周りを見てろー!いつ行動するか分からないだろ!」
窓ガラス越しに濁った声で聞こえる。
「分かってらぁ!」
ジェイは反論してから周りを見回し始めた。
「くっそ廊下も長いのか」
「黙って歩け。」
二人の足音が廊下内に響き渡る。
なんとも劇的に。
外からジェイとビリーが廊下を歩く二人を目撃した。
ジェイは双眼鏡を片手に窓に映る二人を見る。
「くちゃくちゃ」
ガムを食う音と同時に二人とも銃を手に持つ。
「...ゴクリ...」
カートは唾を飲み込んだ。
ウイスタンは黙って歩き続ける。
「ここだ。」
カートはドアを見ながらヘイドに聞く。
「インターホン鳴らすか?」
「...馬鹿なのか?」
「嘘だよ冗談だよ、本気にするなって」
「...入るぞ」
バキ!
ウイスタンは思いっきりドアを蹴った。
「おいおいぶっ飛んでるな」
ビリーは笑いながら見る。
ウイスタンは蹴ったほうの足を前にしたまましばらくの間止まった。
部屋の中では若い男4人組が驚いた様子でヘイドを見ている。
部屋の窓から猛烈な風が吹いて、2人は険し顔をしながら言った。
「入るぜ」
そういうとウイスタンは部屋の中をどんどん進んでいく。
後方からカートも続いて入っていく。
「...」
4人組は黙ったままポーカーをした様子で止まっている。
もちろん違法なポーカーだ。
机の上には酒4人分とそれぞれの薬が置いてある。
「この酒はなんだ?」
ウイスタンに聞かれた4人組は口をゴワゴワさせて言った。
「...ト...トカイ...」
「ほぉ!銘柄は?」
「トカイ・フォルディターシュ...全員...あ...同じ」
「一口いいかな?俺もトカイ好きなんだ。カート飲むか?」
「イエス」
カートは後ろから返事をすると駆け足でヘイドのもとへ行った。
「それじゃ、コップに注いでくれねえか?」
「あ...あ...はい...」
4人組はそれぞれの目を見あって、一番身長の低い男がいそいそと席から立ち上がる。
「ありがとうな」
背の低い男はボトルを持ってきて、ゆっくりとコップに注ぎ始めた。
手が震えてウイスタンのスーツに2,3粒着いた。
男は汗をかき始めた。
「どうした?震えてるぞ?病気か?」
男は首を横に振り、大丈夫とサインする。
今度はカートの方へ注ぎに行く。
「ありがとう」
男はひどく怯えて、注ぎ終わると同時に駆け足で席へ戻った。
「それじゃ、一口。」
ウイスタンとカートは同時にぐいっと飲む。
酒はどんどん減っていき、一気に二人とも飲み干してしまった。
「くーっ!最高!はっはっは!」
カートは笑いながらおいしいおいしいと繰り返す。
ウイスタンは驚いた顔で4人組に話しかける。
「うまいな!フォルディターシュは初めて飲んだがハマるな!」
4人組は恐る恐るウイスタンを見つめる。
「うちのボスも同じこのトカイが好きなんだよ」
ウイスタンは上機嫌にいう。
「ボスの奥さんもトカイが好きで、最近お前らが好きなフォルディターシュが好きらしいぜ!」
4人組は一斉に目を見あう。
全員汗をかき始める。
「あ...あの...」
一人がウイスタンに向かって言う。
「あなたたち...何しにここに...?あなたたちの組織は知ってますが何か御用が...?」
ウイスタンは笑顔で言う。
「ああ言い忘れてたな」
ウイスタンは真顔になって怒鳴り散らかした。
「お前らわかんねえのか?!ボスの妻を寝取っただろ!」
一人の男が怯えに怯え言った。
「...知らない...」
「あ?」
「知らない...」
「あ?!」
「知らない!そんなボスを裏切るような行為...誰がやるんだ?!」
バン!
部屋に銃声が鳴り響く。
男の足に銃弾が当たった。
「あああああああああああああ!」
男は悶絶し、足を抑える。
他のメンバーはずっと下を向いたまま震えている。
「い...あ...あああ...!」
ウイスタンが睨みつけて言う。
「やってるから言ってるんだろうがそんくらいも考えられねえのか?!お前らは、他人の妻とイチャコラした!事実だ!」
「そんなん誰が言ったんだ?!そそれにあああの...根拠は?!」
「おーい」
後ろからカートの声が聞こえる。
「部屋にこんなん落ちてたけど」
カートが手に持っていたのは写真だ。
...ボスの奥さんのアダルト写真だが。
一斉に黙り込んだ。
「これについては?」
一人が声を出した。
「あ...そ...それはおれの...」
バン!
声を出した奴はその場で勢いよく倒れた。
「あ...いてぇ...ああ...!」
一人足を抱えているのを覗いた2人はそれぞれ目を合わせる。
「これについては?!」
2人はじっと下を向いて汗をかいている。
「聞こえてんのか?!あ?!次は足を撃った奴の頭をぶち抜く!」
カチャカチャっと鉄の音が小さく聞こえる。
「お前らにはちゃんと教えてやらないとな」
ウイスタンは足を抱えている奴に向けて銃口を向けた。
「1つ!我々はボスへの反逆心を持たず、仲間を殺さないこと」
「いてぇ...ああ...!」
ウイスタンの指は引き金に強く当たる。
「2つ!ボスへの侮辱的行為をしない」
2人ははぁはぁと息を吐いている。
「3つ!裏切らないことだ!」
バン!
バンバン!
ババン!
ウイスタンは銃を乱射した。
部屋の中は白い煙でいっぱいになる。
足を抱えていた男はその場で血を吹いて倒れた。
カートは後ろから細い目で見つめる。
「...あと2人...こいつらか」
ウイスタンは呆れた顔で銃を差し出した。
「ルーレットだ。ロシアンルーレット。やれ」
2人は顔を見合わせる
「いいからやれ!」
1人が前へ歩き出す。
ゆっくり。
慎重に。
恐ろしいほど怯えて
「よーしいい子だ」
男は手を出した。
「いい子だ」
バン!
手を出した男は腹を抱えながら後ろへ倒れた。
「あ...あぁ!」
最後の一人は怯えている。
「ついてこい。お前。」
「あ...ああああ!」
「お前耳あるのか?!さっさと立て!」
「...あ...」
「おし。出るぞ」
ウイスタンとカートは後ろを振り向いて、銃をしまった。
生き残りはただついていく。
「これで報酬は?いくらだ?」
「一人十万あたりだろ。うれしいぜ」
「十万?!お前さっき何て言ったけ?」
「冗談もわからないのか」
二人はぶつぶつ言いながら部屋を後にした。
「ふー...血は...ついてるか?カート」
「あんたはついてない。俺は?」
二人は話しながら長い廊下を歩いていく。
「ああついてない。下であいつらが待ってる。速くいこう」
「速くいくならエレベーター使ってみようぜ。ウイスタン」
「...」
ウイスタンは止まってカートの方を見つめる。
「俺はエレベーターが嫌いだと何回言わせるつもりだ?」
「あんた一回しか乗ったことなくて、それが幼少期だろ?そんなの今では怖くないだろ」
「怖いじゃなくて揺れで酔うんだ。ゲロぶちまけても良いなら乗るぜ」
「じゃあ行こう」
「お前はバカか?これほど嫌だってのになぜそんな行かせたがる?」
「楽だし体力を使わない」
「楽だからなんだ先祖はみんな車なんてなかったんだぞ」
「それは過去だ。今の事を考えろ。今は十分に楽ができるようになっている。その楽を作るのには凄い時間が必要だ。その時間の中には様々な人々がいる。その人たちに感謝をして、楽をしようってこと」
「...ものすごい持論を持ってることだ。」
そういうと二人はもう一度歩き始めた。
「だがこれが最後だからな?いいな?」
「分かってる。ただ乗らせたかっただけなんだ」
奥の方でチンとベルの音が鳴った。
「ゲロ吐いてもお前が責任取って掃除しろよ?」
「はいはい」
ちょうど角を曲がった所にエレベータが到着した。
エレベータの中から一人の暗い感じの男が出てきて、二人はその次の瞬間乗った。
後方から一人がついてくる
「ああ神様...」
チンと音が鳴り響いた。
鈍い音を立てながらドアが閉まる。
「ああ...」
「どうだ?」
「怖くて死にそうだよ...」
「そうか。だが楽か?」
「...そうだな」
エレベータ内はガタガタと揺れ続ける。
2Fのライトが点滅した
二人はずっと上の階表示を見つめる
1Fのライトがついた。
「いやエレベータ神だな」
「そうか?!やっと気づいてくれたのか!」
「いやそれにしても...」
「ぅぃ....」
ーー6/23 pm6:30
「とりあえず二人とも銃を置け。良いか」
ビリーとカートは銃を地面に置いた。
「いいか、喧嘩や殺しが起きたら真っ先に始めたほうを殺す。わかったか」
アドナスは二人に指を指しながら言った。
「...了解」
「OK」
アドナスは興奮状態だ。
「ちくしょう!どうなってんだ」
「とりあえず...アレは確定している」
「なんだって...まてウイスタンお前その言い方だと分かるぞ俺は。分かるぞ」
「...ああ。考えたくもないがな」
「どちらかが殺した...のか?」
アドナスとウイスタンはドアをチラッと見る。
「意味が分かんねえよ?!」
「俺も分からない。残念だが...」
「まて...ホラ」
アドナスはタバコを一本差し出した。
ウイスタンはそれを持つ。
「...フーッ...ありがとう」
「大丈夫だ...フーッ...」
「...とりあえず分かったか?」
「分かんなければよかったのにな...クソが...!ギャングスターにでもなるつもりかよ!」
ドン!
アドナスは壁を思いっきり蹴った。
「ギャングスター?なんでだ」
ウイスタンが聞く。
「"このグループがボスを殺そうとしていたから俺が殺しました"何ていったらこの組織のトップにたてるだろ。ボスを守ったから。すべて嘘だけど。名声はつく。」
アドナスは苛ついている顔で言った。
「トップか...」
「とにかくどちらかが殺した。これは事実だ」
「だがどっちだ?」
「アドナス...何があったんだ」
「みんなで映画見てたんだ。シンドバット7回目の冒険ってやつ。だがなんかピリピリしている空気はあった」
「なんでだ」
「映画が面白い奴と思っている奴とつまんないと思っている奴らにわかれてた。」
アドナスは少し間を置いた。
沈黙の時間が続く。
「...どちらか...か。二人とも容疑者なんだろ。」
アドナスはウイスタンに聞いた。
ウイスタンは無言のままうなずいた。
「まず...状況整理だ。ビリーは何ていってたんだ?」
「ビリーは
俺が外に出た瞬間、いきなり誰かが銃で乱射し始めた。それまではただ呑気に座っていただけで、そして銃の煙が消えるとカートが立ってた。
と...」
「カートは?」
「ビリーが[全員ぶち殺してやる]と言って乱戦が始まった。運が良いことにカートは生き残ったが、目の前にはビリーがいた
と」
ウイスタンはタバコに火をつけながら言った。
「ふん...あいつら本当のこと言えば良かったのにな...」
アドナスは言いながら座り込んだ。
ーー6/21 pm9:24
「この店の酒は美味いんだ。ボス。何というかサッパリしてて、疲れてるときに飲むと最高」
「OK,OK。了解だ。それじゃ一杯貰う。トカイを頼む。」
「...やっと分かってくれたよあんたは」
「俺は普段酒よりも炭酸を飲むからな。酒って聞くと何だか拒絶するんだ。」
「なんでだよ」
「何だろうな。普段一ミリも触れないからか?だって急に行ったことのない通路行こうって言われても断るだろ」
「それはそうだ。だが酒はあんたが思っている10000倍は美味いぜ。頭がパーッとなる。薬物決めたように。コカインとマリファナを適度に両方同時に吸ったものと同じ快感がある」
「俺は薬物も吸わない」
「...それじゃ話は別だ。じゃあなんであんたは炭酸が好きなんだ?」
「トカイ」
「ありがとう。」
「...炭酸は酒と同じ中毒を持っている。だからいいんだ。」
「意味が分からないぜ。だったら酒でいいじゃないか」
「炭酸は血行を良くするんだ。だから健康面的にとても良いんだ。酒は脳が腐っちまう。」
「なんだって健康面を気にしているのか?!」
「俺が健康を考えていないとでも?」
「違う。健康なんて考えなくていいんだよ食う時は」
「太っちまう」
「デブになるかならないかは人それぞれだ。食事くらいパーッとなりたくないのか?」
「ああ。油を取りすぎても困るしな。」
「まったく話が分からない人だよあんたは...」
「...お前はいつもこんな静かだっけか?」
「いやぁ騒がしいあいつらがいないですから。だっていたら好きな女とかヤりたい女とか、女の話しかしないですから」
ウイスタンは笑いながら言った。
同時にボスも笑う。
「それもそうだな。あいつら今何してるんだ?メンバーは...7人だっけか」
「俺、カート、ビリー、アドナス、ケニー、ローレンス、ジェイです。どうせ皆で映画でも見てるでしょう。エロいシーンが出てきたら絶対やってる。シコシコシコシコって」
「ふっ!ひーっ!」
ボスは勢いに負けて笑う。
「そりゃ元気そうだ。まぁそろそろ本題に入ろう」
「本題...依頼の事ですよね」
「そう。これは完全に私情があるんだが...」
「全然。きっとあいつらも喜んで依頼を受けますよ。」
「ならうれしいがな。あー...俺には妻がいることを知っているよな」
「ええ勿論」
「寝取られたんだ」
「寝取られた?」
「...内部の者に。妻もそいつに一目ぼれしていてな。まだいいんだがなんせ薬物をやらせた。ドラッグを。致死量に近い量をやられた」
「内部の者がそれを?」
「そうだ。5人組のな。事件はちょうどお前らが入隊したころに起きた。妻を危険にはさせたくなかった。それに立派な俺への侮辱行為だ。判明したのは今朝だがな」
「オーマイガッ!ですね。...殺す?」
「その通りだ。容赦なくやってもらっていい。殺すくらいがちょうどいい」
「いや..."殺せ"ですよね。分かりました。」
ーー6/22 am10:45
「この通り、ボスの妻が寝取られてしまった。」
アジトにて。
ウイスタンはメンバーを座らせて喋っている。
クスクスと笑い声が微かに聞こえる。
「なんだ?」
「なんでもない...ふっ」
「とにかく、これはヤバい事件だ。それで一回、この組織の決まりを復習することにしよう」
「復習?」
「そうだ。何故かはわかると思うが、この事件は決まりに全て違反しているからだ」
メンバー全員は静まり返った。
ウイスタンの声が部屋に響き渡る
「決まりを破る行為はこの組織内では許されないことになっている。」
ウイスタンは手をサッと出して言った
「許されない行為には必ず死が待っているだろう。どんなにも恐ろしい拷問を受けて」
「ペンチを持ってきて...顔を出させる。歯を一個ずつ抜き、指を潰していく。ゆっくりと時間をかけて」
ウイスタンはその場で歩きながら手を後ろに戻した。
なんとも落ち着かない様子で
「その後はベロを出させる。ブチブチッと音が鳴ると同時に違反者は悲鳴をあげるだろう」
「あとは目ん玉を...」
ウイスタンは拳を振り上げた
同時に拳を思いっきり振り下げる
「バン!だ。バン!じゃなくてメキメキの方がよいかな」
「...とまぁそんな話をしたが、勿論決まりは覚えてるよな。指名していくぞ」
ウイスタンは指を指した。
指した方向にはカートがいる。
「まず一つ目。なんでも」
「ボスへの反逆心を持たず、仲間を殺さないこと...?」
「...OKだ」
カートはほっとしたように座った。
「次、映画オタク!」
ケニーだ。
「ボスへの侮辱をしない!」
「いいね。OKだ。」
ケニーは喜んで座った。
「次、アドナス!」
アドナスは自信満々で語った。
「ボスへのため口禁止!」
「...お前はアホか?」
周りからクスクス聞こえる。
「え」
「残念。次!ローレンス!」
ローレンスはダルそうに立ち上がって言った。
「...裏切らないこと」
「OKOK!完璧だ。まっすぐで気の短い男とは違うな!」
「それはアドニスだウイスタン。」
横からケニーが割り込んでくる。
みんなゲラゲラと笑い転げる。
「...もういい!とにかく、これから更に重大な発表をする。"俺らが裏切り者をぶち殺すんだ"」
みんな目を見合わせる。
「ただしメンバーを決めた。俺含めた4人だ。」
「俺は?!」
ジェイが興奮して聞いた。
「順番に言うからな...いくぞ」
ーー6/23 pm6:40
「悪いが俺はビリーだと思う」
アドナスは下を向きながら言った。
「...どうしてだ?」
「胡散臭いんだ。カートを攻めまくってて演技っぽいんだ」
アドナスはビリーに指を指しながら言う。
「裏切り者だったら...ジェイは死んでたさ。マンションについた時には。」
「馬鹿かお前は。外だからに決まってるだろ?」
「外だからなんだ逃げればいいだけだろ」
「だったらさっき殺った方がどちらか混乱させれる」
「どちらも殺せばいいんだ」
アドナスは閃いた顔で叫んだ。
「なに?何て言った?」
ウイスタンはアドナスを睨みつける。
「殺せばいいんだどちらも。二人でグルを組んでいる可能性だって大いにあり得るぞ」
「馬鹿かお前は?こんな盛大に嘘ついて命かけてる理由なんてあるか?グルはあり得ないし、二人とも殺すのは違うぞ」
「そうすれば解決するさ。間違えて犯人じゃない片方撃って裏切り者にその後殺されるだけだ」
「いい加減にしろ少しくらい考えてから殺せばいい。」
「考える時間なんて必要ない。裏切り者はすぐにも動くんだぞ?!」
「それで一人仲間を殺すのか?!味方の奴を?!」
「ああそうだ。なんせもう3人は死んでるんだ!」
「だからなんだ!殺して良いことにはならないだろ!」
「よくあんたが言えるな。今まで俺たちはバンバン殺してきて、別の人になるとこれか?」
「仲間だろ!」
ウイスタンは精一杯叫んだ。
「あいつは殺してこいつは殺さないか。都合がいいもんだ。自分の思い通りになるだけかと思ったか?!」
ドス!
ウイスタンは思いっきりアドナスの腹を蹴った。
アドナスは激しく後ろへ飛んでった。
「この野郎...!」
ウイスタンは倒れたアドナスを再度蹴り上げる
何度も何度も
「うわあ!」
「この野郎!おい!」
「ぎゃあ!」
アドナスは悲鳴を挙げる。
「クソが...!」
アドナスは拳を振り上げてウイスタンめがけて殴った。
ドス!
「うぇ...!」
ウイスタンはその場で倒れた。
アドナスは立ち上がって息を切らす。
「はぁ...はぁ...あんたちゃんと考えろ...!」
「う...うぅ」
ウイスタンはアドナスを睨みつけて言い放った。
「お前が...殺したな...?!」
「何言ってんだ?」
「お前があいつらを殺したんだろ...!」
「は?!いい加減にしろ!俺がその時トイレに行ってたのは十分わかってるはずだろ!逆にお前こそ殺したんだろ...慌ててるのが見えるぜ...」
「ぐ...」
「あんたはすぐそうやって都合が悪くなるとそうやって暴力に走るよな!良いリーダ面しやがって!」
「俺はリーダーだ!」
「どこが"良いリーダー"だ!確かにあんたはリーダーだが素質はゼロだ!俺が迷ってるときになんてずっと何も考えないでいただろ!俺が考えを発言したってあんたは考えない癖に否定ばっかりだ!」
「考えてるさ!」
「考えてるなら考えてるなりに行動しろ馬鹿野郎!俺しか行動に移してないぞ?!この薄らボケめ!」
「...」
ウイスタンはアドナスの胸倉をぐっと掴んだ。
「立てよ...」
アドナスは唾をごくりと飲み込んだ。
ガン!
ウイスタンはアドナスを壁へ押し当てた
痛そうな音が部屋を行き来する。
「お前には分からないさ。リーダーじゃないからな」
「う...」
アドナスは痛みをぐっとこらえる。
「責任・緊張・恐怖・士気・疲れ、全部お前らは分からないだろうな」
「責任感に問われ、失敗するときの緊張、仲間を失う恐怖、チームの士気を上げる、それらの疲れ」
「分からないよな」
ウイスタンは震えた声で言う。
アドナスは何も言い返せなくて口がごにょごにょしている
「...だからなんだってんだ。そんなのには甘くないぞ...」
アドナスは言いながらウイスタンの手を取っ払う。
静かな時間が永遠に感じられた。




