なんでもない休日(パパ視点)
土曜日の朝は、平日より少し静かだ。
目覚ましを止める必要もなく、自然に目が覚める。
隣を見ると、さちはまだ眠っている。
平日の疲れが、きっとまだ残っているんだろう。
起こさないように、そっと布団を抜ける。
「はる、あさだよー」
子ども部屋のカーテンを少しだけ開けると、
はるはもぞもぞと動いて、ぱちっと目を開けた。
「パパ……おはよ」
それだけで、もう十分だと思う。
簡単に着替えを済ませて、ふたりでキッチンへ。
トーストを焼いて、牛乳をコップに注ぐ。
「ママは?」
「まだねんねしてるよ」
「そっかー」
小さな声でそう言って、はるはパンをかじる。
こういう時間が、好きだ。
少しして、寝室の方から足音がした。
「……おはよう」
眠たそうな声で、さちが出てくる。
「おはよう。先に食べてた」
「ごめんね」
「いいよ。一緒に食べよう」
3人で並んで食べる朝ごはん。
特別なものは何もないけど、なんだか落ち着く。
食べ終わったあと、自然とそれぞれ動き出す。
洗い物をする人、洗濯物を回す人、床をちょっと片付ける人。
気づいたら、家の中がすっきりしていた。
「公園、行く?」
はるがぱっと顔を上げる。
「いく!」
それだけで決まりだ。
滑り台を何回も滑って、
ブランコを押して、
途中で転んで、ちょっと泣いて、
すぐにまた笑う。
帰り道、はるはベビーカーの中でうとうとし始めた。
家に着いて、布団に寝かせる。
その手を、はるがぎゅっと握ってきた。
「パパ」
「なに?」
「きょうも、たのしかったね」
それだけ言って、すぐに眠ってしまった。
その顔を見て、胸の奥があたたかくなる。
リビングに戻ると、さちが静かにこちらを見る。
「寝た?」
「うん。楽しかったって」
「そっか」
それだけの会話なのに、十分だった。
なんでもない休日。
でも、こういう日があるから、また頑張れる。
きっと、みんな同じだ。




