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お迎えまであと10分。働くママの足元には小さな奇跡がある  作者: オレンジ


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なんでもない休日(パパ視点)

 土曜日の朝は、平日より少し静かだ。

 目覚ましを止める必要もなく、自然に目が覚める。


 隣を見ると、さちはまだ眠っている。

 平日の疲れが、きっとまだ残っているんだろう。


 起こさないように、そっと布団を抜ける。


「はる、あさだよー」


 子ども部屋のカーテンを少しだけ開けると、

 はるはもぞもぞと動いて、ぱちっと目を開けた。


「パパ……おはよ」


 それだけで、もう十分だと思う。


 簡単に着替えを済ませて、ふたりでキッチンへ。

 トーストを焼いて、牛乳をコップに注ぐ。


「ママは?」


「まだねんねしてるよ」


「そっかー」


 小さな声でそう言って、はるはパンをかじる。

 こういう時間が、好きだ。


 少しして、寝室の方から足音がした。


「……おはよう」


 眠たそうな声で、さちが出てくる。


「おはよう。先に食べてた」


「ごめんね」


「いいよ。一緒に食べよう」


 3人で並んで食べる朝ごはん。

 特別なものは何もないけど、なんだか落ち着く。


 食べ終わったあと、自然とそれぞれ動き出す。

 洗い物をする人、洗濯物を回す人、床をちょっと片付ける人。


 気づいたら、家の中がすっきりしていた。


「公園、行く?」


 はるがぱっと顔を上げる。


「いく!」


 それだけで決まりだ。


 滑り台を何回も滑って、

 ブランコを押して、

 途中で転んで、ちょっと泣いて、

 すぐにまた笑う。


 帰り道、はるはベビーカーの中でうとうとし始めた。


 家に着いて、布団に寝かせる。

 その手を、はるがぎゅっと握ってきた。


「パパ」


「なに?」


「きょうも、たのしかったね」


 それだけ言って、すぐに眠ってしまった。


 その顔を見て、胸の奥があたたかくなる。


 リビングに戻ると、さちが静かにこちらを見る。


「寝た?」


「うん。楽しかったって」


「そっか」


 それだけの会話なのに、十分だった。


 なんでもない休日。

 でも、こういう日があるから、また頑張れる。


 きっと、みんな同じだ。



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