つぎは、いつ?
保育園から帰ると、はるは靴を脱ぎながら言った。
「きょうね、せんせいに、がんばったねって言われた」
その声は、ちょっと誇らしそう。
さちは「そうだったんだ」と言いながら、お茶を出す。
ソファに並んで座ると、はるは足をぶらぶらさせて続けた。
「つぎのちゅうしゃ、いつ?」
「うーん、しばらくないかな」
はるは一瞬、ほっとした顔をしてから、すぐに首をかしげる。
「ないのかぁ……」
「こわいけど、がんばるの、ちょっとたのしかった」
さちは思わず笑ってしまう。
「がんばったもんね」
「うん。でも、ないなら、ないで、ちょっとさみしい」
そう言いながらも、はるの肩はすっかり力が抜けている。
怖かった気持ちと、認めてもらえた嬉しさが、まだ混ざったまま。
夜、布団に入ると、はるは天井を見ながらぽつりと言った。
「またあったら、つぎも、がんばれるかも」
少しだけ強がりで、少しだけ本音。
「でも、きょうは、もうないから、よかったね」
「うん」
安心したように目を閉じるはるを見て、
さちはその小さな成長を、そっと胸にしまった。
がっかりと安心が同時にある夜。
それも、はるらしい余韻だった。




