がんばったつぎの朝
朝の支度をしながら、はるがふと思い出したように言った。
「ねえ、きょう……ちゅうしゃ、ないよね?」
さちは手を止めて、カレンダーの方を指さす。
「ないよ。きのう、もう終わったでしょ」
はるはカレンダーをじっと見てから、ほっとしたように息をはいた。
「……よかったぁ」
靴を履きながら、また少し思い出したように、
「きのうね、ちょっとこわかったんだよ」
そう言って、すぐに照れたみたいに下を向く。
保育園に着くと、はるは先生のところへ走っていった。
「せんせい! きのうね、ちゅうしゃ、がんばったの!」
先生は目を丸くして、にこっと笑う。
「そうなの? えらかったね」
はるは少し胸を張って、うん、と小さくうなずいた。
夕方、お迎えに行くと、先生がそっと教えてくれた。
「きょう、ずっと誇らしそうにお話してくれてたんですよ」
さちは思わず笑ってしまう。
朝の不安そうな顔も、ぎゅっと握っていた手も、ちゃんとここにつながっているんだと思った。
帰り道、はるは何事もなかったみたいに歩いている。
でも、その背中は、昨日よりほんの少しだけ大きく見えた。




