きょうになっちゃった
あさ、はるはカレンダーをみた。
まるがついてるひ。
「きょうだよ」
さちが、やさしいこえでいう。
はるは、わかってるってうなずく。
ずっとまえから、しってた。
でも、ほんとうにきょうになると、
むねがきゅっとした。
「ちゅうしゃ、ちょっとだけだよね」
「うん、ちょっとだけ」
さちはそういうけど、
“ちょっと”って、はるにはながい。
びょういんまでのあいだ、
はるはさちのてをはなさなかった。
「こわい?」
「……ちょっと」
「そっか。じゃあ、いっしょにがんばろ」
まちあいしつ。
えほんをひらく。
「これ、きのうよんだね」
「うん。でも、いまはちょっといや」
さちはわらって、はるのかみをなでる。
なまえをよばれると、
はるはさちのうしろにかくれた。
「だっこする?」
「……する」
イスにすわって、
さちはぎゅっとだきしめてくれる。
「うで、みなくていいよ」
はるは、ぎゅーってめをつぶった。
ちくっ。
「……いたい」
でも、すぐおわった。
「はい、おしまい」
はるは、そっとめをあける。
「え?」
うでには、ばんそうこう。
かわいいえ。
「はる、がんばったね」
「……がんばった」
こえはちいさいけど、
ちゃんといえた。
かえりみち、はるはなんどもいう。
「はる、なかなかったよ」
「ちゅうしゃ、がんばった」
さちはそのたび、
「ほんとうだね」っていう。
よる、ねるまえ。
「ちゅうしゃ、やだった」
「うん」
「でもさ……」
はるは、ちょっとかんがえてからいう。
「がんばれた」
さちはなにもいわず、
ぎゅっとした。
はるは、そのままねむった。
きょうは、ちゃんと、がんばったひ。




