静かな夜と、朝の安心
夜中に、何度も目が覚めた。
時計を見る。
まだ三時。
さちは、布団の中でそっと息を整える。
隣では、はるが小さく寝息を立てている。
額に手を当てると、さっきより熱は下がっている気がした。
「……よかった」
小さく呟いた声に、隣の夫が身じろぎをする。
「どう?」
眠そうな声。
それでも、ちゃんと目を覚ましてくれる。
「少し下がってる」
「そっか」
それだけで、二人ともほっとした。
言葉は少ないけれど、それで十分だった。
夫は、はるの布団をかけ直してから、
さちのほうを見て、静かに言う。
「さちも、寝な」
「うん……」
心配は消えないけれど、
一人じゃないと思えるだけで、少し楽になる。
また目を閉じると、次に起きたときは、外が明るくなっていた。
「ママ!」
元気な声。
さちは跳ね起きて、はるを見る。
頬はほんのり赤いけれど、目はきらきらしている。
「おはよう」
夫も起きてきて、はるの様子を見て、
ふっと表情を緩めた。
「元気そうだな」
「うん! もうだいじょうぶ!」
その言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。
夫ははるの頭をなでてから、
さちのほうを見て、にこっと笑った。
「よかったな」
「……ほんとに」
キッチンでお湯を沸かしながら、
さちは二人の声を聞いていた。
昨日は、不安でいっぱいだった。
眠れない夜も、申し訳なさも、全部あった。
それでも今、
こうして三人で朝を迎えられている。
それだけで、今日はもう十分だと思えた。




