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お迎えまであと10分。働くママの足元には小さな奇跡がある  作者: オレンジ


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まだかな、の夜

夕ごはんを食べ終えて、テーブルを片づけながら、

はるは時計をちらっと見た。


「……パパ、おそいね」


さちは手を止めて、はるの方を見る。


「そうだね。今日はちょっと遅くなるって言ってたよ」


「ふーん」


はるはうなずきながらも、なんとなくリビングを見回す。

いつもなら聞こえてくる足音が、今日はまだ来ない。

絵本を読んでいても、

おもちゃで遊んでいても、

ふとした瞬間に玄関の方を見てしまう。


「まだかなあ」


小さな声で言うはるに、さちは笑って答える。


「もうすぐかもよ」


そのとき、ガチャッと玄関の音がした。


「……!」


はるの顔がぱっと明るくなる。


「パパだ!」


はるはスリッパもそのままに、玄関まで駆けていく。


「パパー!おそかったね!」


「ただいまー!」


パパは少しかがんで、はると目を合わせる。


「おそくなってごめんな。待ってた?」


「うん。ちょっとだけね」


そう言いながら、はるはパパの服をぎゅっとつかむ。


「そっか。ありがとうな」


パパははるを抱き上げて、くるっと一回まわる。


「今日ね、はるのこと考えながら帰ってきたんだよ」


「ほんと?」


「ほんと。はる、なにしてた?」


「えっとね、ごはんたべてね、えほんよんでね、

でもね、パパこないなーっておもってた」


パパは少し笑って、はるの頭をなでる。


「そりゃそうだよな」


リビングに戻ると、さちが「おかえり」と声をかける。


「遅くまでおつかれさま」


「ただいま。はる、ちゃんと待っててくれたんだよ」


パパがそう言うと、はるはちょっと照れた顔をした。


「パパ、あのね」


「ん?」


「あしたはやくかえってこれる?」


「うーん、明日はね……今日より早い!」


「やった!」


その一言で、はるはすっかり満足したようだった。


寝る前、布団に入ってからも、

はるはパパの手をぎゅっとにぎる。


「パパ、きょうかえってきてくれてありがとう」


「こちらこそ、待っててくれてありがとう」


そのまま、はるの呼吸はゆっくりになっていった。


さちはその様子を見ながら、

“遅い夜も、ちゃんとつながってるんだな”と、

静かに思った。



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