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お迎えまであと10分。働くママの足元には小さな奇跡がある  作者: オレンジ


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風が通るベランダで

ベランダに出ると、少しひんやりした風が頬に当たった。


洗濯かごを足元に置いて、洗濯物を1枚ずつ取り出す。


タオル、はるのTシャツ、パパのシャツ。


いつもと同じ並びなのに、今日は風がよく通る。

洗濯ばさみを留めるたび、布がふわっと揺れる。

そのたびに、さちは無意識に手を止めて、少しだけ空を見上げた。


雲が流れている。

思ったより、早い。


「ママー!」


後ろから聞こえた声に振り返ると、はるが窓から顔を出していた。


「なに?」


「かぜ、つよい?」


「ちょっとね」


そう答えると、はるは目を丸くして言った。


「おせんたく、とんでいかない?」


さちは思わず笑う。


「大丈夫。ちゃんとつけてるから」


洗濯物を指さして見せると、はるはじっと眺めてから、安心したようにうなずいた。


「よかったー」


風が吹くたび、はるの小さなTシャツが揺れる。


それを見ていると、少し前まではもっと小さかったな、と思う。

大きくなったな、と思う気持ちと、

この時間がずっと続けばいいのに、という気持ちが、同時に浮かぶ。


「かわいたら、きれいになるね」


はるがぽつりと言う。


「そうだね」


さちはそう返しながら、最後の1枚を干した。


洗濯物が揺れる音。

風の音。

遠くから聞こえる、車の音。


特別なことは何もないけれど、

こうして風を感じながら洗濯物を干す時間が、

今のさちには、ちょうどよかった。



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