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お迎えまであと10分。働くママの足元には小さな奇跡がある  作者: オレンジ


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甘やかす夜

夕方、玄関のドアが開いて


「ただいまー!」 


はるの声が響いた。


さっきまでの朝が、もうずっと前のことみたいに感じて、

さちは思わずその声に力が抜けた。


「おかえり。どうだった?」


そう聞くと、はるは靴を脱ぎながら、

「きょうね、きょうごくんとね、いっぱいあそんだよ!」

と、すぐに話し出す。

その様子を、リビングからパパも見ていた。


「お、元気そうじゃん」


そう言って、はるを抱き上げる。


夕ごはんの準備をしながら、さちは朝のことをぽつりぽつりと話す。


「今朝ね、行きたくないって泣いちゃって…」


パパはうなずきながら聞いていた。


「でも、楽しかったんでしょ?」


そう聞かれると、はるは少し照れた顔で、


「うん。たのしかった」


と、小さく答える。


その一言で、さちの胸の奥がじんわり温かくなる。

ごはんのあと、はるはいつもより甘えん坊だった。


ソファに座ると、パパの膝にちょこんと座って、


「だっこー」


さちのところにも来て、


「ママもー」


二人とも、「はいはい」と言いながら、いつもより少しだけ長く応える。

お風呂も、髪を乾かすのも、

「じぶんでやる!」じゃなくて、

「やってー」が多い夜。


布団に入ると、はるはさちの手をぎゅっと握って、

「きょうね…」

と、また少しだけ話してから、静かになった。


寝息を立て始めたはるを見ながら、パパが小さな声で言う。


「今日は、いっぱいがんばったんだな」


さちは、そっとはるの頭をなでながら、うなずいた。


朝のことを思い出すと、まだ胸が少しだけ痛む。

それでも、こうして眠る顔を見ていると、

甘やかす夜も、大事な時間なんだと思えた。


電気を消して、二人でそっと部屋を出る。


静かな夜の中、家族の一日が、ゆっくり終わっていった。



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