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お迎えまであと10分。働くママの足元には小さな奇跡がある  作者: オレンジ


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「きょうは、たのしかったよ」

保育園のお迎えの時間。

さちは少し早足で門をくぐった。


朝のことが、まだ胸の奥に残っている。

あんな顔で送り出してしまったな、と。


「はるちゃんのママ」


先生の声に顔を上げると、にこっと笑ってくれた。


「今日は大丈夫でしたよ。

最初は少し静かでしたけど、きょうごくんと遊び始めてからは、いつも通りでした」


その言葉に、さちの肩からふっと力が抜ける。


「ほんとですか……」


「ええ。

お昼もよく食べて、外遊びも楽しそうでした。

安心して、お仕事頑張ってくださいね」


その一言が、胸にじんわり染みた。

靴箱の方を見ると、はるがちょうどこちらに気づいた。


「ママー!」


ぱたぱたと駆け寄ってきて、ぎゅっと抱きついてくる。


「きょうね、きょうごくんとね、

おままごとしたの!

はる、ケーキつくったんだよ!」


目をきらきらさせて話すはるに、さちはしゃがんで顔を合わせる。


「そうなんだ。楽しかった?」


「うん!

あとね、せんせいにね、

“じょうずだね”っていわれた!」


少し誇らしそうに胸を張るはる。


「そっかぁ。はる、がんばったんだね」


そう言うと、はるはにへっと笑って、さちの手をぎゅっと握った。


帰り道、はるは今日の出来事を次から次へと話してくれる。

その声を聞きながら、さちは朝の後ろめたさが、少しずつほどけていくのを感じていた。


――ちゃんと、自分の一日を過ごしてきたんだ。


家の前に着くころ、はるがぽつりと言う。


「ママ、

あさは ないちゃって ごめんね」


さちは立ち止まって、はるを抱き寄せる。


「いいんだよ。

それでも、ちゃんと行けたでしょ」


「うん」


小さくうなずくはるの頭を、そっとなでた。

今日は、いっぱい甘やかそう。

そう思いながら、さちは玄関のドアを開けた。



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