「よんで、よんで、もういっかい」
お布団に入って、電気を少し暗くする。
さちが絵本を手に取ると、はるがすぐに声を出す。
「これがいい!」
差し出されたのは、いつものお気に入りの一冊。
読み終わると、はるはすぐに次を指さした。
「つぎも、よんで!」
「もう一冊ね」
「やった!」
絵本のページをめくるたびに、はるは声を出す。
「これ、きょうほいくえんでみた!」
「このこ、はるすきなんだよ」
さちは相づちを打ちながら、ゆっくり読んでいく。
気づくと、はるの声が少しずつ小さくなっていた。
「……ねえママ」
「なあに?」
「もういっかい、さっきのとこ」
同じページを読むころには、はるのまぶたが重そうだ。
それでも絵本を離したくなくて、小さな声で言う。
「まだ、よみたいんだけど……」
「うん、楽しいもんね」
さちがそう言うと、はるは安心したようにうなずく。
「でもね、ちょっとねむい」
「そっか」
はるは絵本をぎゅっと抱えて、もぞもぞと体を丸める。
「じゃあ、つづきはあしたね」
「……あした、よむ」
「約束しようか」
「やくそく」
そのまま、はるの呼吸が少しずつゆっくりになる。
さちはそっと絵本を閉じて、頭をなでた。
今日もたくさん話して、たくさんがんばった一日。
はるの小さな寝息を聞きながら、さちは電気を消した。




