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お迎えまであと10分。働くママの足元には小さな奇跡がある  作者: オレンジ


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連絡帳をひらく時間

 はるを寝かしつけたあと、

 リビングに戻って、さちはテーブルの上に置いた連絡帳を手に取った。


 毎日のことなのに、

 ひらく前は少しだけ背筋が伸びる。

 今日は、どんな1日だったんだろう。


 ページをめくると、

 先生の丁寧な字が並んでいた。


「今日はお外でたくさん遊びました。

 お友達と一緒に砂場でお山を作って、とても楽しそうでした」


 その一文を読んだだけで、

 はるが砂だらけの手で笑っている姿が、すぐに浮かぶ。


「給食もよく食べていました。

 特にスープがおいしかったようで、『おかわり!』と元気に言っていました」


 ふっと、さちは笑った。

 ああ、やっぱり。

 家でもスープの日は、真っ先に飲むもんね。


 連絡帳を読む時間は、

 さちにとって、はるの1日をなぞる時間でもあった。

 自分が見ていない時間。

 でも、ちゃんと誰かが見てくれていた時間。


「今日はお昼寝のあと、少しだけ甘えたい様子もありましたが、

 抱っこすると安心して、すぐに切り替えられていました」


 その文章を読んで、胸の奥が少しだけ、きゅっとなる。


 がんばってたんだな。

 はるなりに。

 そして、

 自分も、仕事をしながら、ちゃんとがんばっていたんだなと、

 そんな気持ちにもなる。


 さちは、ペンを持って、返事を書く。


「今日もありがとうございました。

 家でも楽しそうにお話ししてくれました。

 お友達と遊べたことが、うれしかったようです」


 書きながら、

 言葉を選びすぎないようにする。


 うまく書こうとしなくていい。

 ちゃんとした文章じゃなくてもいい。

 この連絡帳は、

 がんばった証みたいなものだから。


 書き終えて、ペンを置く。


 ふと、寝室のほうを見ると、

 はるはもう、すっかり夢の中だ。


 今日も1日、無事に終わった。


 連絡帳を閉じながら、

 さちは小さく息を吐いた。


 明日も、

 きっと、いろんなことがある。


 でも大丈夫。


 また、このノートが教えてくれる。


 はるが、ちゃんと笑って過ごしていたことを。



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