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お迎えまであと10分。働くママの足元には小さな奇跡がある  作者: オレンジ


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24/51

ママとパパとはる

 その日は、保育園でお絵かきの時間があったらしい。


 クーピーを握って、はるは真剣な顔で紙に向かっていた。

 丸を描いて、線を足して、また丸を描いて。


「これはね、ママ」


 そう言いながら、少しだけ大きめに描いた。

 その隣に、同じくらいの大きさの丸。


「これはパパ」


 最後に、真ん中に小さな丸を描いて、にこっと笑う。


「はる!」


 先生がそばで見ていて、声をかけてくれた。


「3人とも、ちゃんと描けてるね。とっても上手だよ」


 その言葉が、はるは嬉しくてたまらなかった。

 胸のあたりが、ぽっと温かくなった。


 夕方、さちが迎えに行くと、

 はるは先生より先に、さちを見つけた。


「ママーー!」


 小さな手に、1枚の紙を大事そうに持って、

 ぱたぱたと駆け寄ってくる。


「みて! はる、かいたの!」


 絵を広げるその顔は、少し誇らしげで、少し照れている。

 さちはしゃがんで、目線を合わせた。


「わあ……」


 紙の中には、3人分の丸と線。

 ぎこちないけれど、ちゃんと並んでいる。


「これがママで、これがパパで、これがはるだよ」


 説明する声が、弾んでいる。


「うん、わかるよ。上手に描けてるね」


 さちはそう言って、笑った。


「ありがとう。すごく嬉しいな」


 はるの目が、ぱっと明るくなる。


「ねえ、パパにもみせる?」


「うん、見せよう。きっと喜ぶよ」


 その一言で、はるはさらに嬉しそうに頷いた。


 帰り道、はるは何度も絵を見返していた。

 折れないように、くしゃっとならないように、両手で持って。


 さちはその横を歩きながら、思う。


 うまく描けているかどうかよりも、

 この絵に込められた気持ちが、たまらなく愛しい。


 はるの世界の真ん中に、

 ちゃんと自分たちがいること。


 それが、今日一番のご褒美だった。



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