お下がりと、またね
休日の午後、玄関が少しにぎやかになった。
さちの友達家族が遊びに来てくれている。
6歳の男の子と、3歳の女の子。
はるより少しお兄さんと、少し小さい妹。
リビングに集まって、おやつを食べながらおしゃべりをしていると、
さちはクローゼットの奥から、用意していた袋を持ってきた。
「よかったら、また着てもらえたら嬉しいなって」
中には、はるが少し前まで着ていた服が入っている。
もう小さくなってしまったけれど、どれも思い出のあるものばかりだ。
「わあ、助かる!これ、前にもらったのも、すごく着てるよ」
友達がそう言ってくれるのを聞いて、さちはほっとする。
大事に着てもらえていると思うと、胸の奥があたたかくなる。
はるも、袋の中をのぞきこんで言った。
「これね、はる、すきだったの」
そう言いながら、少し誇らしそうだ。
「また、いっぱいきてね」
はるの言葉に、友達の子がうんとうなずく。
服が誰かのところへ行って、
また別の時間を過ごしてくれると思うと、不思議な気持ちになる。
さみしさは、ほとんどなかった。
代わりに、ちゃんと次につながっていく感じがした。
帰り際、玄関で「またね」と手を振りながら、
さちはふと思う。
今度の休み、少し遠くの公園に行くのもいいかもしれない。
はるにその話をしたら、きっと目を輝かせるはず。




