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お迎えまであと10分。働くママの足元には小さな奇跡がある  作者: オレンジ


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4歳のおたんじょうび

 平日だけど、今日は特別な日だった。


 さちとはるは、いつも通り保育園から帰ってきた。

 はるは少し浮き足立っていて、靴を脱ぐのもいつもより早い。


「きょうね、おたんじょうびなんだよ」


 もう何回も聞いたその言葉に、さちは笑ってうなずく。


「そうだね。もうすぐだよ」


 キッチンでは、下ごしらえだけ済ませていた料理を仕上げていく。

 平日の夕方。時間は限られているけれど、今日はちゃんと作りたかった。


 はるの好きなもの。

 食べやすい大きさ。


 喜ぶ顔を思い浮かべながら、手を動かす。


 玄関の音がして、パパが帰ってくる。


「ただいま」


 手には、小さな袋。

 さちと一緒に決めたプレゼントだ。


 目が合って、少しだけうなずき合う。

 準備してきた時間が、そこにあった。


「パパ!」


 はるが駆け寄る。

 4歳になったばかりの足取りは、まだ少しぎこちない。


 食卓に並んだ料理を見て、はるは何度も「わあ」と言った。

 それだけで、大人たちはもう満足だった。


 ケーキに、ろうそくを4本立てる。


「ふーってするんだよ」


 パパが言うと、はるは真剣な顔になる。


 息を吸って――


「ふーっ」


 1本消えて、2本目も消える。

 でも、あと2本がなかなか消えない。


「もういっかい!」


 少し悔しそうに、もう一度。


 最後の2本が消えたとき、

 さちとパパは自然と拍手をしていた。


「おたんじょうび、おめでとう」


 はるは、少し照れたように笑った。


 平日で、特別なことは多くない。

 でも、ちゃんと準備して、ちゃんと想って、ちゃんと祝えた。

 それだけで、十分だった。


 4歳。


 今日のこの時間を、きっとはるは覚えていない。

 でも、さちは思う。


 このあたたかさは、きっと残る。



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