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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

黄色いバラは、

作者: 一辻 雨紡
掲載日:2025/11/07

「わたし、あなたみたいになりたい」


 なっちゃんは私の目を見て、そう言った。




 それは、何の面白味もないお話。


天童(てんどう)夏樹(なつき)です。これからよろしくお願いします」


 小学生の頃、転校生がやってきた。さらさらのボブカットで、大きな目がくりっとしていて、ふわふわした可愛らしい雰囲気の女の子。

 彼女が入ってきた瞬間、教室の空気がザワッとなったのがわかった。


 何の変哲もない田舎の小学校。真っ直ぐに続く田んぼの畦道に、ズラズラと並ぶ銀杏並木。

 変わり映えのしない教室、変わり映えのしないクラスメイト。

 そこにポッと現れた、都会から来た可愛らしい転校生。


 当然、教室は湧く。男の子も、女の子も。


 物珍しい転校生を、みんなすぐさま取り囲んだ。我先に、この物珍しい人間の一番になろうとして。


 幸か不幸か。彼女の案内役に先生から選ばれたのは、この教室で一番人気のある、クラス委員の男の子だった。


 彼の浮かれようったらこの上ない。だって、今一番珍しく、今一番可愛い女の子の隣を、あっさりと先生のお墨付きで得られたのだから。


 彼はクラス委員の名を振りかざして、彼女の隣を独占し、あちこちに連れ回して彼女の世話を焼いた。


 そうなれば、当然、面白くないと思う人間も出てくる。女子のスクールカーストのトップに立っていた女の子は転校生の『天童夏樹』をすぐに敵と認識した。


 そこからは早い早い。彼女はあっという間にいじめの標的にされ、彼女の周りから人はサッと離れた。


 いい気なものだ。誰も、彼も。クラス委員の男の子は自分が原因であると知ってから知らずか、あっさりといじめている女子の味方に回り、スクールカーストトップの彼女も、何が始まりだったか忘れてしまったように天童夏樹のことをいじめ続けた。


 いじめは一度始まると、止め時がわからなくなるものだ。彼女や彼らにとって大事なのは、天童夏樹がどういう人間か、ではなく、どうやってアイツをいじめるか、になっていった。


 そんなくだらないことがいつまでも続き、当然、天童夏樹は彼女たちから逃げ回るようになっていた。




 ダダダ、と人が走る音が聞こえたのは昼休み。私が人気の少ない図書室にいるときに聞こえたものだった。

 図書室のカウンターから何事だろうと、少し身を乗り出して確認する。ガラッと、勢いよく図書室の扉が開いて、転がるように飛び込んできたのは今話題の天童夏樹だった。


 彼女はカウンターに座る私を見て、それから焦ったように廊下を振り返り、バッと私の後ろに回り込んでカウンターの影に屈みこんだ。


 その間、私と彼女の間に会話なんてない。何してるの? と私が口を開く前に、再びガラッと図書室の扉が開いた。


 息を切らして入ってきた少女たちの顔を見て、私は合点がいった。ああ、天童夏樹は彼女たちに追いかけられてここまで逃げてきたのだ、と。


「ねえ、こっちに天童さんが走ってこなかった?」


 真ん中に立つスクールカースト、トップの彼女。足もそれなりに速かったはずだけど、天童夏樹は彼女よりも速いのかも、とぼんやりと思った。

 いや、彼女がこうやってニヤニヤ笑っているところを見ると、そうでもないのかもしれない。さながら食べる気もないネズミを追い詰める猫のように、ただ遊んでいるつもりなだけだろう。天童夏樹をいじめて、楽しんでいるだけ。


 ちら、と横目でカウンターの下を見ると、天童夏樹は口を手で覆って必死で息を殺している。

 ここまで全力で走ってきたのだろう。指の間から漏れ出る息が苦しそうだ。


「知らない。本読んでたし、気づかなかった」


 興味なさげに、パラ、と開いていた本のページをめくれば、少女たちはずかずかとカウンターの前までやってくる。


「扉の真ん前にいて、なんで気づかないの? そんなに人に興味がないなら、本の中にでも帰っちゃえば?」

「それもいいかもね。あなたたちみたいな人に絡まれることもないし」


 彼女の言い分に淡々と返せば、彼女は苛立ったように私が読んでいた本をバンッと叩いた。彼女の手が邪魔で本が読めない。おまけにページに変な跡が付く。

 だが、それを指摘すれば、彼女は嬉々としたようにいじめの標的を私に変えるだろう。この苛立ちを発散できるのであれば、別に相手は天童夏樹でなくともいいのだ。


「……あなたが押さえてるの、学校の本だよ。この本が壊れて怒られるのは私じゃなくてあなただけど」


 静かにそういえば、彼女はすぐに本から手を放す。いじめっ子って割とそうだ。めんどくさそうなことは徹底的に避けようとする。誰かをいじめるのは好きだけど、大人からあれこれ言われるのは嫌いなのだ。

 だから――。


 ガラッとまた扉が開いた。中に入ってきたのは図書室の先生。


「あら、どうしたの? 今日はたくさん人がいるのね」


 先生が入ってきた瞬間、彼女たちは大きく態度を変えた。


「あ、先生。実は、私たち借りたい本があってぇ」


 わかりやすい猫なで声と一瞬で作り上げた無邪気な笑顔。先ほどまで私を睨みつけていた顔と、並べて比べてみたいくらいだ。

 そんないじめっ子の演技に先生はあっさりと誤魔化される。


「そうなのね! 本を読んでくれる子が増えるのはうれしいわ。どの本が借りたいのかしら?」


 先生はニコニコと笑いながら、私の方にすっと目線を向けてくる。

 私は先生が言おうとした言葉を察し、それを言われる前に口を開いた。


「私はここで係の仕事をしているので。先生が本を探すのを手伝ってあげてください」


 無表情で不愛想。口調も少しキツイ。それは自分でもわかっているし、先ほどの無邪気な笑顔と猫なで声の後だったら、それはもう落差はひどいものだろう。

 私の冷たい口調に少々面食らった顔をしながら、先生はそうね、と言って、彼女たちを引き連れて図書室の奥へと向かっていった。


 その背中が見えなくなったことを確認して、私はカウンターの下に顔を向ける。

 すると、息を整え終えた天童夏樹と目が合った。いつから私のことを見ていたのだろう、彼女はじっと私のことを見つめていた。天童夏樹と私はしばらく見つめあい、けれども彼女が何か言葉を発することも、どこかへ行こうとする様子もなかった。


 しばらくして、ちらほらと何人かの生徒が本の貸し出し手続きをしにカウンターへやってきた。私は天童夏樹から目を離し、貸出手続きに専念する。何人かは借りた本を持ってまた図書室の中へ戻り、また何人かはすぐに教室に戻る。


 ガラガラと何度か図書室の扉が開閉する音が聞こえたからか、それからすぐにいじめっ子たちが先生を連れて戻ってきた。


「この本、貸出お願いします」


 そう言って、いじめっ子が本をカウンターに置く。ニコニコと笑顔を浮かべているが、目は全く笑っていない。


「はい。現在の貸し出し冊数は一冊。返却期限は二週間後。あと借りられる本は二冊になります」


 ピ、ピ、と図書室カードと本の裏についたバーコードとを読み取って、事務的に貸出手続きをする。

 はい、と本を差し出せば、いじめっ子がこそっと私に聞いてきた。


「で、天童さんは?」

「知りません」


 最後まで無表情で貫き通す私に、彼女は呆れたようにそっぽを向いた。使えない、という言葉をぼそっとつぶやきながら。

 彼女が図書室を出て行ったのを確認して、私はもう一度カウンターの下を覗き込んだ。天童夏樹はまだそこにいる。脅威は去ったのだから、早くそこから出てくればいいのに。


「あの」


 いじめっ子が去ったからか、天童夏樹はようやく初めて言葉を発した。


「ありがとう。匿ってくれて」


 そう彼女は言う。初めて声を聞いた時にも思ったけれど、本当にかわいい声をしている。聞いただけでぱっと振り返りたくなるようなそんな声。

 怒ってるの? といつも聞かれるような私の声とは違う。


「別に。匿ってない」


 私がそう言えば、彼女は驚いたように目を丸くした。


「え、だって……」

「そこにいるのはあなたの勝手でしょ? 私がそこに隠れてろって言ったわけじゃないもの」


 天童夏樹はポカンと口を開けた。

 なぜそこまで驚いているのだ。私の言っていることは事実じゃないか。


「でも、でも。わたしのこと、知らないって言ってくれたじゃない」

「だって、私もいじめられてた時期があったから、あいつらのこと嫌いだったし。知ってることを教えるのも、嘘をつくかつかないかも全部私の勝手。嫌いな奴になんで本当のこと教えなきゃいけないの?」


 正直にそう言えば、天童夏樹は呆然と私のことを見ていた。

 別に、私のことをそんなにじっと見ていたって何も面白くないだろう。

 癖のついたロングヘアをカチューシャで留めていて、ツンと釣り上がった目は視力が悪く、目つきが悪い。メガネをかけているからか、他者に冷たい印象を与えるようで、それに釣り合った性格をしていると自分でも自覚している。

 要は、他者に好かれるような性格でも見た目でもない、ということだ。


 今思えば、彼女と私はあまりにも正反対だ。性格も見た目も何もかも。

 だからといって、何が変わるわけでもないのだが。


「早くそこから出てきたら。見つかったら私も先生に怒られるし。カウンターは図書委員しか入ったらダメなんだから」


 私がそう促すと、彼女は話を聞いていたのかどうか、パチ、と一度瞬きをした。


「かっこいい……」


 ……なんて?


 彼女の呟いた言葉が理解できず、一瞬頭の中がフリーズする。

 『かっこいい』。……何が? どこが?


 意味がわからず押し黙った私を全く気にせず、天童夏樹はガバッと唐突に立ち上がる。ビビッて後ろにのけぞる私を逃がさないように、彼女は私の手をガッと掴んできた。


「ね、ね! かっこいいね! わたし、あなたと友達になりたいな! ねえ、いいでしょ? スガヌマハルコさん!」


 彼女の勢いに私は面食らう。きっと今の私は先ほどの先生のような顔をしているのだろう。

 だってそれほどまでに違いすぎるのだ。いじめられていた天童夏樹に抱いていた印象と、今の彼女は。


 ポカンと呆気にとられた頭で、ようやく絞り出した私の言葉は次のようなものだった。


「……私の名前、知ってたの?」

「え? だって、初日に自己紹介したでしょ? 『スガヌマハルコ』って名前と、読書が趣味、図書委員をやってるって言ってたの、覚えてるよ?」


 コテン、と首をかしげて、なんでもないことのように彼女は言う。


 私からしてみれば、よくもまあ、そこまで覚えていられるものだと感心するレベルだ。私なんて、趣味がどうだとか、委員会がどうだとかほとんど覚えていない。田舎の小学校でなければ、クラスの大半の名前も覚えていないかもしれないのに。


 彼女は私の呆れ半分、感心半分の様子を気にも留めず、ぎゅっと強く手を握りこんでくる。


「ね、ね。わたし、天童夏樹っていうの。わたしが夏で、あなたは春だね」


 そうやってにこやかに笑う彼女を見て、ようやく少し落ち着いてきた私は彼女の言葉を訂正した。


「違うわ。私のハルは太陽の陽よ。菅沼(すがぬま)陽子(はるこ)。これが私の名前」


 そう言って私は本に挟んでいた自分の図書室カードを彼女に見せた。そこには本貸し出し用の私のバーコードとともに、私の名前が漢字で書かれている。


 天童夏樹はそれをまじまじと見て、やがてがっかりしたように肩を落とした。


「なんだ。わたしとハルちゃんでお揃いだと思ったのに……」


 彼女はそう呟いて、それからすぐに自分が発した言葉に慌てたようにぱっと顔を上げた。


「あっ、あのね。もう今、呼んじゃったけどね、あなたのこと、ハルちゃんって呼んでもいい? でね、でね、わたしのことも、なっちゃんって呼んでほしいの!」


 今思えば、このころの私は彼女の勢いに押されてばかりだった。だって、まだ大した会話もしていないし、友達になってほしいと言われたことへの返事もしていないし、気づけばお互いへの呼び名も決められていて。

 呆然としたまま彼女に流されて、気づけば私はこう答えていた。


「……。別に、好きにすれば」


 こんなに冷たくて、ぶっきらぼうな私の返事に、天童夏樹――なっちゃんはとびっきりの笑顔を見せたのだ。




 そこからなっちゃんは私に付きまとうようになった。ハルちゃん、ハルちゃん、と教室内で飛び交うあだ名。朝、教室に来れば、いの一番に私のところに挨拶しにやってくる。


 当然、それがどういった結果を生むのか、私はよくわかっていた。


「あの時、知らないって言ったよね」


 再三にわたる、いじめっ子たちからの呼び出し。それらすべてを無視していたが、結局私が一人になる時間はどこかで必ずできるもので。


 図書室の先生に頼まれて、掃除用具を取りに行ったところをいじめっ子たちに囲まれた。掃除用具のおいてある教室、そこから出入りするための扉はいじめっ子たちが塞いでいて、私はじわじわと教室の隅に追いやられていく。


「ねえ、『ハルちゃん』。あの子のお仲間になって楽しかった? それとも、正義の味方ごっこ? 大人に向かって、私はいい子ですアピールしてんの? きっもー!」


 ニヤニヤ笑いながら、彼女らは言った。

 正直言って、不快だ。だってこいつらめんどくさいんだもの。何が言いたいのか、何がしたいのか、はっきりしない。言いたいことと真逆のことを言って、したいことと反対のことをする。


 大人に認められたいのかと思えば、大人を騙して利用する。仲良くなりたいと言ったくせに、だんだんといじめに発展していく。


 なっちゃんに対しても、私に対しても、おんなじことをしている。


 この子たちは最初、私を傍に置きたがった。だって私は頭がよかったから。

 頭のいい女の子が隣にいて、自分を一番にしてくれたら、そりゃあ気分がいいものだろう。


 だけど、私は彼女たちの傍にいたくなかったし、一番大切な友達にもできなかった。私が不愛想で、見た目も性格もきつくて、一緒にいてもつまんない人間なのだとわかったら、彼女たちは手のひらを返したように私のことをいじめだした。


『太陽の陽でハルって読むの? キラキラじゃん! 頭わるそー! てか、全然太陽って感じじゃないし。もっと似合う名前に改名すれば? 暗いって字で、暗子(あんこ)とかお似合いじゃん! それとも陰で陰子(いんこ)にする!?』


 覚えている。そうやってキンキンと甲高い声で騒がれたのを覚えている。


 私はそれを、うるさいな、としか思えなかった。彼女たちが私をどう思っていようが、心底どうでもいい。別に訂正したいわけじゃないし、彼女たちから好かれたいわけでもない。嫌いであれば、無視していればいいのだ。無理に関わりを持つ必要なんてない。


 一応、先生にこのことを相談してみたが、貴女と仲良くなりたいのよ、としか言われなかった。


 意味がわからないし、理解ができない。なぜ、他人に好かれたいのに、その人の悪口を言うのか。なぜ、この状況で相手は仲良くなりたいのだと推測できるのか。


 私は他人の心の機微がよくわからない。他人が何を考えているのか、少しも理解できない。彼女たちの言動や行動、その原理とそれらがもたらす結果。何一つ繋がらなくて、理解ができない。


 それゆえに、彼女たちが鬱陶しかった。めんどくさかった。

 だが、彼女たちのことを理解できないがゆえに、彼女たちにいじめを止めさせるいい方法が思い浮かばず、結果として私が学んだのは上手いこといじめを避ける方法だけ。


 反応しない。無視する。スルーする。大人のいる場所へ行く。そもそも近づかない。


 彼女たちは私をいじめることが楽しいのだから、その楽しさを上回るほどのめんどくささがあればいじめてくることはない。


『アンタって泣きもしないからつまんない。まるで人形みたい』


 最後に言われたのはそんな言葉だった。それから彼女たちは私に飽きたみたいで、いじめは鳴りを潜めた。


 彼女たちのことは今でもよくわからないが、いじめの標的を私からなっちゃんに変えた理由はよくわかる。

 なっちゃんは私と違って表情が豊かだ。よく笑って、よく泣く。泣きもしない私をいじめるよりも、そりゃあ楽しかったことだろう。


 そのよく泣くおもちゃが昔いじめていた人間になついている。


 それが彼女たちにとって面白くないのだ。よく泣くおもちゃがつまんない人間に取り上げられたのが面白くないから、だから私に突っかかってくる。


「ねえ、何とか言いなよ」


 ドン、と肩を小突かれた。ビビりもせず、泣きもせず、怖がりもせず、怒りもしない。何も反応しない私がさぞ気持ち悪いのだろう。いや、そもそも自分が無視されているという状況が気に食わないのか。


 だからといって、私にはどうもできない。どんな反応が正解なのか、さっぱりわからないのだから。


「……私、先生に言われて掃除用具を取りに来たんだけど。あんまり遅いと先生が来るかもよ?」


 私がそう言うと、彼女たちは一斉に笑い出した。


「だっさー! 自分じゃ勝てないからって、先生に頼ってんのー!?」


 その言葉に私の心は何も動かない。怒りが湧き上がってくるとか、そんなこともない。

 ただ一個だけ思ったのは。


「私はあなたたちの方がダサいと思う」


 正直にそういえば、笑い声はピタリと止み、その瞬間、頬にビンタが飛んできた。

 パーン、と響く小気味いい音と、ひりひりとした頬の熱い痛み。痛った、と思っていると、キャンキャンとした金切声が聞こえてくる。


「ふざけんな! なんでアンタなんかにバカにされなきゃいけないんだ!」


 どうやら選択を間違えたみたいだ。何をダサいと思うかなんて、人それぞれの感性の違いだと思うのだけど。そもそもあなたたちも私のことをダサいと言ったくせに。


 そんなことを呆然と思っていると、今まさに私を蹴ろうとしてくる足が目に入る。少し体制を崩したから、変なところに当たるかもしれない。例えば、お腹とか。


 痛いのって嫌だな、と避けるのを諦めて、腕で体をかばおうとしたその瞬間に、ぱっと振り返りたくなるような声が耳に飛び込んできた。


「止めてよ!」


 ドン、といじめっ子の体が突き飛ばされる。目に入ってきたのは女子生徒の制服と、さらさらと揺れるまっすぐなボブカット。

 私がポカンとしていると、次々と耳に心地いい声が飛び込んでくる。


「どうしてハルちゃんをいじめるの!? わたしのことだってそうだった! ハルちゃんのことだってそうだった! なんでいじめるの!? なんで殴るの!? なんでひどいことばっか言ってくるの!?」


 その声は涙で震えていて、でも確かに怒気が含まれていた。


「もう止めてよ!」


 私をかばう、なっちゃんの背中。彼女は私よりも背が低くて、私の目線から彼女のつむじが見えた。

 それなのに、どうしてこの背中はこうも頼もしいのだろう。


「菅沼さん!」


 もう一つ別の声がして、私はそっちの方を向く。見れば、図書室の先生が教室の扉のところで立っていた。

 先生は私が頬を押さえていて、かつ、その頬が赤くなっているのに気づいたらしく、はっと手で口を覆っていた。


 一瞬、教室はシンと静まり返り、それを好機とでも思ったのか、いじめっ子たちはなっちゃんに突き飛ばされた子の手を取って、もう一つの教室の扉からバッと走って行ってしまった。


 先生はそれを見て、どうしようかと迷っている。追いかけるべきか、私のことを気にかけるのが先か。

 まあ、大人ってそんなもんだ。ちょっとした諦念と安堵を抱える私に、ドン、と軽く何かがぶつかってきた。


「ごめん。ごめんね、ハルちゃん。もっと早く見つけてあげられればよかった」


 そう言って、私に抱きついてきたなっちゃんはボロボロと泣く。わんわんと泣く彼女をなだめていると、困った顔をした先生がこちらにやってきた。


「菅沼さん、大丈夫? 天童さんが様子を見に行くって言うから、一緒に来たの。……あの子たち、誰だかわかる? あっ、それよりもまず保健室よね?」

「そうですね」


 先生も少し動揺しているようで、どうしていいかわからないのだろう。この場で一番冷静なのが私というのもおかしな話だ。


「行こう、なっちゃん」


 ポンポンと彼女の頭をなでて、彼女の小さな手を引く。その間も彼女はべそべそと泣くばかりだ。


 図書室の先生を伴って保健室に行けば、養護教諭の先生は慌てて氷を用意してくれた。先生たちが大人の話をしている間、私となっちゃんはベッドの上に並んで座っていた。


 私の片手はほっぺたを氷で冷やしていて、もう片方の手はなっちゃんと繋いでいる。なっちゃんはまだ泣いていたが、ぽつぽつと話をしてくれていた。


「わたしね、本当にうれしかったの。ハルちゃんがわたしのこと庇ってくれたこと。わたしが勝手に友達になろうって言ったのに、ハルちゃんがわたしのこと、なっちゃんって呼んでくれるところ。わたしの話を聞いてくれるところ。私が話しかけても嫌そうな顔しないし、クスクス笑ったりしないところ。わたしのこと、特別な子じゃなくて、普通の子として扱ってくれるところ。本当にうれしかったの」


 なっちゃんは泣きながら、ぎゅっと私の手を掴んでいた。強く力の込められたその手は小刻みに震えていた。


「でもね、でも。……ハルちゃんがそれを嫌だって言うなら、やめる。ハルちゃんがこんな目に合うなら、もうやめる」


 そういいながら、彼女の目からはまだボロボロと涙があふれていた。


 他人の心の機微に疎い私でもわかる。本当はそんなの嫌なんだってこと。なっちゃんは私と友達でいたいんだってこと。

 表情から、握られた手の強さから、彼女の本当の心がわかる。


「……別に、嫌じゃないよ」


 痛む口で私はそう答えた。頬を叩かれたときに口の中を切ったみたいで、ほのかに血の味がする。話すとピリピリ痛むし、氷で冷やしにくいのだけれど、私はなっちゃんのために口を開いた。


「嫌だったら、ちゃんとそう言ってるし。今回叩かれたのだって、別になっちゃんのせいじゃない。私が減らず口叩いたのが原因だし。なっちゃんがいてもいなくても、私はこういう目に合ってたと思う」


 普段あまりしゃべらない私がこういうことを言うのに驚いたのか、なっちゃんは涙で濡れた目をまん丸にして、私のことを見ていた。

 泣いていても可愛い子。声も仕草も、表情が豊かなところも、全部可愛いと思う。


 でも、と少し思う。今はちょっと違うことを思っている。


「だから、先生を呼んできてくれてありがとう。あのとき割って入ってくれて、ありがとう。ちょっと危なかったかもって思ったから、なっちゃんが来てくれたから助かったの」


 あの時のなっちゃんはかっこよかった。


 なんでこの子が私のことをかっこいいと言ったのか、私には全くわからない。だって、私は自分に対するいじめも、他人に対するいじめも、全部見て見ぬふりをする人間だから。

 他人のために動けるなっちゃんとは全然違う。

 私なんかよりもずっと、なっちゃんの方がかっこいいと思う。


「だから、ありがとう」


 そう、なっちゃんの目を見て言えば、彼女は袖でごしごしと自分の目をこすって、えへへ、と笑った。

 私がぎゅっと手を握れば、なっちゃんもぎゅっと手を握り返す。


「あの、わたしね、ハルちゃんのそういうところ、好き」

「……どこが?」

「まっすぐなところ」


 なっちゃんはときどきおかしなことを言う。私からしてみれば、なっちゃんの方がずっとまっすぐだ。


「ねえ、ハルちゃん。わたしね。わたし、あなたみたいになりたい」


 なっちゃんは私の目をまっすぐに見て、そう言った。

 おかしな子。変な子。私みたいになったって、どうにもならないのに。

 けど、この子は、菅沼陽子(わたし)が本当に素晴らしい人間である、と心の底から信じ切っているようで。彼女のまっすぐな目を見ていると、まるで魔法にかかったように、私のことをよく知っている私自身でさえも、それが真実であると思い込みそうになって。


 ああ、前にもこんなことがあった気がする。彼女の言葉に逆らえなくて、それがいつの間にか真実になってしまったことが。


 これを何と言うんだっけ?

 ああ、そうだ。魔性。なっちゃんを見ていると、まるで魔法にかかったように現実がわからなくなる。


 私、あなたが憧れるような素晴らしい人間じゃないのに。あなたが私を見て、とんでもなく幸せそうに笑うから、それでもいいかと思い込みそうになる。


「別に、好きにすれば?」


 いつも通りのぶっきらぼうな返事。こんなどうしようもない返事を、どうしてこうも彼女は大切な宝物のように受け取るのだろうか。




 それから月日は流れていく。


 いじめは案外あっさりと収まった。一度こういうことがあったからか、教師の目が厳しくなったし、私となっちゃんがどこへ行くにも離れなくなったから、いじめにくくなったのだろう。

 彼女たちは何か極端な憎しみがあって私たちをいじめていたわけじゃない。いじめるのがめんどくさくなれば、早々にやめる。


 ちなみにあの一件があってから先生から謝られた。いじめについて相談したときの私があまりにも淡々としていたから、そんな大したことではないと判断していたらしい。あまりにも感情が薄いというのも考え物だ。


 私となっちゃんはそのまま仲のいい友人として、中学に上がり、同じ高校へ通った。私はなっちゃんの勉強を見たり、逆になっちゃんに手を引かれていろいろなところに遊びに行った。

 タタン、タタン、と夕暮れ時の電車に揺られて、二人で帰ったときのことをよく覚えている。なっちゃんがはしゃぎ疲れて、私の肩を枕に眠ってしまったのだ。


 幸せな日々。私とあなたの二人だけ。


「ねえ、ハルちゃん。わたしたちって親友だよね?」


 そうだよ。お揃いで買ったブレスレットも、キーホルダーも、絶対に無くすつもりのない大切な宝物。

 そうだよ。ね、なっちゃん。




「ナツ、今日も菅沼さんと帰るの?」

「うん、そうだよ。また明日ね」


 昇降口へ向かう廊下で、なっちゃんが声をかけられる。なっちゃんは声をかけてきた女子生徒に手を振ってから、私の方を向いた。


「いいの?」

「うん。ハルちゃんと帰る方が楽しいし」


 私となっちゃんはいつも一緒に帰る。

 これは小学校のあの一件があって、一人でいるのは危ないとお互いに思ったからだ。自分に何かあってもしょうがないと思ってしまうが、相手には危険な目にあってほしくない。

 そんな感情が私たち二人をずっと一緒にいさせた。


 けれど、最近、時々思う。もう一緒にいなくたって、案外大丈夫なんじゃないかって。むしろ、私はなっちゃんの邪魔になっているんじゃないかって。


『菅沼さんって、天童さんと仲いいの?』


 高校に入ってから幾度となく聞かれたこの質問。男女問わず、同じクラスの人から、委員会の先輩から、他クラスの部活仲間から。


 誰も彼も、二言目には『天童さん』。


 別に私がそんな扱いを受けることに、何も疑問は感じない。


 なっちゃんは可愛い。

 子供のころから変わらないさらさらのボブカット。くりくりとした大きな目は健在で、子供のころは可愛らしい一辺倒だったが、最近はそこに大人っぽさが混じってきているような気がする。


 なっちゃんは人当たりも良くて、声も可愛くて、笑顔が素敵で、表情豊かで。

 私は相も変わらず、ぶっきらぼうで、不愛想で、声は年々低くなってきていて、無表情で。


 私に声をかける理由が、なっちゃん目当てであるというのはわかりきっていることなのだ。


「天童」


 下駄箱の前、靴を履き替えようとしていた私たちは、突然聞こえてきた男の子の声に振り向いた。


 声をかけてきたのは、少し頬を赤らめた背の高い男子生徒。

 私は彼を知っている。私と同じクラスの男の子で、初めて声をかけてくれた時、『天童さん』の言葉がなかった男の子。


「少し、いいか?」


 彼はなっちゃんを呼ぶ。なっちゃんは私の方を振り向いた。


「行ってきなよ。待ってるから」


 私がそう言えば、なっちゃんはその言葉に後押しされたように、行ってくるね、と言って、彼の元に駆けていった。


 私に声が聞こえないように、二人は人気のないところへと移動する。どうせ私から離れたって、どんな話をするかくらいの想像はつく。こんなこと、初めてでもなんでもないのだ。


 でも。それでも二人で話したいのは、ムードというものが大切だからだろう。大切な思いを話すときに、ほかの誰かに邪魔されたくないから。


 私が、邪魔だから。


 松原(まつはら)大樹(たいじゅ)くん。どうして私は彼の名前を覚えているのだろうか。

 私が教室で一人本を読んでいるとき、俺もその本読んだことあるよ、と声をかけてくれたからだろうか。


 彼は何を思って私に声をかけたのだろう。

 彼はいつ、私がなっちゃんと仲がいいと知ったのだろう。


 私のこの、取り留めもない思考は何なのだろう。


「お待たせ、ハルちゃん」


 一人、待ちぼうけを食らっていた私の思考に、ぱっと目の覚めるような声が飛び込んできた。

 明るく笑う彼女の笑顔を見て、私も少し顔をほころばせる。


「終わったの?」

「うん。一緒に帰ろ」


 そう言って、なっちゃんはさっさと靴を履き替えると、すぐさま私の手を引く。

 チャラチャラとお互いのカバンについたお揃いのキーホルダーが揺れた。




 季節は秋。少し肌寒くなって、風も冷たい。木からは次々と枯れ葉が落ちて、道路を赤茶色に染める。

 私たちの家のそばにある銀杏並木も、イチョウの葉を落として、地面を真っ黄色に染め上げていた。


「で、どうだったの?」

「ふぇ!?」


 私が問えば、なっちゃんは素っ頓狂な声を上げた。

 別に、詳しく聞かなくったってわかっているし、彼女も、何を聞かれているかわかるだろう。


 彼はどう見たって、告白すると決めたときの男の子だった。なっちゃんに恋をして、その想いを伝えようとしていた子だった。


 だから、きっと彼は、なっちゃんに好きと伝えたのだろう。

 そんな彼に対して、なっちゃんはなんと答えたのだろう。

 なんと返事をして、今こうして、私と一緒に帰っているのだろう。


 なっちゃんは少し顔を赤らめて、トタタ、と足早に少し先に進んだ。そして、ピタリと足を止め、くるりと私の方へ振り返る。


 彼女のその行動は、いつものとは違った。

 なっちゃんが告白された回数は、一度や二度では済まない。誰かを振った時の行動と、今のこの行動はあまりにも違う。


「……ちょっと、付き合ってみようかな、って思うの」


 予測した、予想できなかった言葉が、なっちゃんの口からこぼれた。

 ほのかに顔を赤らめた彼女は、まさに美少女そのもので。


「そう、なんだ」


 私の口からこぼれたのは、こんな言葉で。


「じゃあ、これからは一緒に帰れなくなるね」

「え? なんで?」


 諦めの言葉を口にした私に、なっちゃんは平然と疑問を口にした。


 逆になんで? と思ったことが顔に出ていたのだろうか。なっちゃんは平然と私に弁明した。


「あの人、えっと、松原大樹くんって言うんだけど、彼、野球部で部活が大変だから、一緒に下校とかはあんまりできないの。でも、たまに遊ぶくらいなら、ってことでOKしたの。だから、ハルちゃんとはずっと登下校できるよ」


 そう言って、なっちゃんは笑う。その笑顔はさっきの大樹くんのことを思って顔を赤らめたときのものよりもずっと素敵なもので。


「だから、ハルちゃんとはずっと一緒だよ」


 彼女はそれが当然であるかのように言った。


 上がったり、下がったり。私の気分は波のよう。

 なぜ、私の心はここまで揺れ動くのか。誰が揺れ動かしているのか。私には何もわからないまま。


 ただ一つだけわかるのは、なっちゃんと話していると、たまに魔法にかかったように現実が何かわからなくなること。何が正しくて、何が間違っているのか。一体、私は何なのか、よくわからなくなる。


「あ、そうだ、ハルちゃん。いいものあげる」


 そう言って、なっちゃんはその場にしゃがみこんだ。一枚、一枚、汚れてない綺麗なイチョウの葉を選んで拾い集めているようだ。


 イチョウの葉を栞にしたことは何度かある。それ用の葉をなっちゃんは選んでくれているのだろうか。

 なっちゃんの元へ歩み寄り、しゃがみこんでいる彼女の様子を伺う。


「はい、これ」


 彼女の手元を覗き込んだ私に、なっちゃんは勢いよく手に持ったものを差し出した。

 ぱっと目を引く、鮮やかなイチョウの葉で作られた、黄色いバラ。


 それを差し出して、なっちゃんは得意げに笑った。


「ねえ、知ってる? 黄色いバラの花言葉は『友情』なんだよ」


 よく知ってる。これでもたくさんの本を読んでいるから。

 あなたは私に、友情の証として、これを贈りたいんでしょう?


 あなたから私へ。差し出された友情の黄色いバラ。

 私がそれを見て、呆気に取られていたその時だった。


 突然、強風が吹いた。風は私たちの髪や、スカートや、制服のリボンなんかを巻き上げ、そして、なっちゃんの持っていた黄色いバラもすべて空へ巻き上げてしまった。


 風が止んで、空から色んなものが降ってくる。目の前をひらひらと落ちていく黄色いものは、当然、バラの花びらなんかではなく、イチョウの葉っぱで。


「……ふふっ、ハルちゃん。頭に葉っぱがついてるよ」

「なっちゃんこそ」


 パッパッとお互いに葉っぱを払いあって、お互いにクスクスと笑いあった。


「やっぱり、イチョウの葉っぱで作ったバラじゃダメだったか~。ね、ね、ハルちゃん。今度のお揃いは黄色いバラのやつにしようね」

「……そうだね」


 そう言って、私はニコリと微笑んで、私となっちゃんはお互いに並んで帰った。

 きっと、なっちゃんは、この時に私が何を考えていたのか知らないままで。




 ――どうやら私は、自分の心さえも読み間違えていたみたいだ。


 私はほっとしてしまっていたのだ。

 あなたがくれた黄色いバラを受け取らなくて済んで、安堵していたのだ。


 風が友情のバラを散らしてしまったときに気づいてしまったのだ。

 あなたからもらうのであれば、別の色のバラがよかった、なんて。

 そんなことを思ってしまったのだ。


 ねえ、なっちゃん。私ね。


 ねえ、なっちゃん。私は。




「……、菅沼? 俺、来たけど。どうしたんだ? こんなところに呼び出して」

「ごめん、松原くん。ちょっと、話したいことがあって」


 ガラ、と空き教室の扉が開いて、松原大樹くんが現れた。


 トクントクンと心臓が揺れる。

 なんて愚か。なんて馬鹿。こんなことしたってどうにもならないのに、私はこれから何をしようというのだろう。


「……私の名前、知ってる?」

「は、え? ……えっと、菅沼(すがぬま)陽子(ようこ)?」


 彼の言葉に、ふは、と思わず笑みがこぼれた。そのまま止まらなくて、クスクスと笑い続ける。

 そんな私を、彼は困惑したように呆けた顔で見ていた。


「……菅沼って、ちゃんと笑うんだな」

「そうだよ。知らなかった?」


 笑みを押さえてそう問い返せば、彼は気まずそうに目を逸らした。

 人気のない教室。私が彼に一歩近づくと、コツンと小さな足音が響く。


 ああ、こんな場所にくると、あの時のことを思い出す。

 人気のない教室で、ぱっと振り返りたくなるような声が私を助けてくれた。

 あの子のことを初めてかっこいいと思ったあの日。


 私はどこかで、あの日のように、あの子がこの場に乗り込んできてくれることを期待している。

 そんなこと、起こることなんてないのかもしれないけど。


「……で、なんで菅沼は俺のこと呼び出したの?」


 松原くんが聞く。

 それに対して、私はごめんなさいと思う。

 ごめんなさい。巻き込んでごめんなさい。だから、私たちに巻き込まれてください。


 なんて愚か。なんて滑稽。はたから見れば、私はピエロだろう。

 それでもいい。どうだっていい。なんだっていい。


 だって、私には正解がわからないから。何が正しいのか、わからないのだから。


 私ですら、私がわからないのだから。

 あの子が信じる、まっすぐな私になれないのだから。


「……あのね、もしも私が、好きって言ったらどうする?」


 松原くんがポカンと私を見る。

 それに対して、私はもう一歩彼に近づいた。


 私、歪んでいる。あなたの中の私すらわからないくらいに歪んでいる。

 あなたが好きだと言った、まっすぐな私になれない。




 ねえ、なっちゃん。私ね。

 あなたみたいに、まっすぐになりたかった。

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― 新着の感想 ―
タグにガールズラブとあるので、そうなのだろうなと思うのですが、これって、もしかしたら、いじめていた彼女たちにも通じるものなのかなぁと思いました。 憧れと嫉妬。 黄色いバラの花言葉は、『友情』のほかに『…
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