表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/21

“魔導皇子”との頂上決戦

 王都にそびえる魔導院の最上階――「星環の間」。

 そこは王国最上級魔導士だけが招かれる、魔法の実践と試練の舞台。


 篠宮蓮は、今、その中心に立っていた。


 対するのは――《魔導皇子》と呼ばれる男、リゼル=ヴァン=エルトリア。

 現王の甥であり、王国随一の魔力容量と天性の詠唱技術を持つ天才。


「蓮殿。ここまで来た君の実力は、もはや疑う者は少ない。だが……王国の魔導体系は、千年にわたり磨かれてきたものだ」


 リゼルは静かに言う。


「それを“数行のコード”で凌駕できるというなら……この俺に、証明してみせろ」


 蓮は魔導端末を握りしめ、口角を上げる。


「そのつもりです。……“関数魔法”の真価を、あなたに見せます」



 

「《光芒断罪陣――解放ッ!》」


 リゼルが詠唱を開始すると、空間が光で満ちる。

 宙に浮かぶ詠唱陣が五重に展開され、天空から雷と光が迸った。


 伝説級の魔術《光芒断罪陣》。

 魔力制御と多重詠唱を同時に成立させる、王国でも彼しか扱えぬ一撃。


 一方、蓮は魔導端末を操作しながら、低く呟いた。


――――――

def multiBarrier(layers: int, duration: int):

for i in range(layers):

generateBarrier(radius=3.0, duration=duration)

――――――

 

「multiBarrier(5, 10)」


 五層の魔力障壁が瞬時に展開。

 上空から降り注いだ光撃を、全て受け止める。


 爆音と閃光が交差し、石床が焦げる。



 リゼルは詠唱を続ける。


「《星火転律・昇華剣》ッ!!」


 眩い星光を剣に変え、光速で突撃する――その一歩先。


 蓮はすでに、カスタム関数を選択していた。


――――――

def autoEvade():

if detectThreat():

blinkTo(safeZone())

――――――

 

「autoEvade()」

 

 リゼルの剣が彼に届く直前、蓮の身体が消失。

 次の瞬間、別の場所に再出現していた。


 剣は虚空を斬り、リゼルはわずかに瞳を見開いた。


「これで……終わりです」


――――――

def bindStrike():

cast("Bind", power=6)

delay(0.3)

cast("PiercingBolt", power=10)

――――――

 

「bindStrike()」

 拘束魔法がリゼルの動きを封じ、続けざまに放たれた雷の槍がその胸前で爆ぜた。


 耐久結界が砕け、リゼルは膝をつく。



 

 重く、静かな空気。

 数秒後――審判の魔導士が声を上げた。


「勝者――篠宮蓮!」


 歓声が会場を包む。見学していた魔導士、貴族、王族たちの間にどよめきが走る。


「まさか……あのリゼル殿を……!」


「コード魔法……本当に、魔術の未来なのか……」


 リゼルは静かに立ち上がり、蓮へと手を差し出した。


「……見事だった。君の“魔法”は、紛れもなく“新しい力”だ。私は、君を認めよう」


 蓮もその手を取る。


「ありがとうございます。けど……これが始まりです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ