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フォルびっくり作戦


 とってもきれいなお花畑。もしかしてこれってゼロがお世話してるのかな。


 きれいで落ち着くの。お花さんと一体化したいの。


「……何してんだ?」


 連れてきてくれたゼロが、隣でなにか言ってるの。でも、お花さんと一体化したいから気にしない。お花さんと一体化の方が大切。


 お花さんと一体化していると、なんだか、ぽかぽかでふんわりしている気がする。もっと一体化するの。


 私はお花さん。お花さんと一緒。お花さんと一つになるの。


「ふぇ⁉︎きらきらなの⁉︎とってもきれい」


「なぁ、なんでそんな理解不能な方法でできるんだ?」


「知らないの」


 というか、もしかしてこのきらきらが魔力なのかな。それなら、魔法を使う前段階はできたの。座学は免れた。


 座学が免れたのが一番嬉しい。


「とりあえず、今日はここまでだな。明日は、アディが来るから、アディの使う魔法について学ぶぞ」


 座学……回避……した……はず……


 なんで回避できてないの!


「……魔法を使うのに座学も必須だからな?なんで座学回避できてないのって顔してるが」


 ゼロはきっと、心を読めるんだと思うの。じゃないと、そんな事分かるはずがないの。


 なんだか、呆れているけど、何に呆れてるか私には理解できないの。


「冷えるから中入るぞ」


「うん」


 お外出れたのちょっとだけ。すぐにお家の中になっちゃった。


 でも、魔力を視る事ができたから、お外出れないのはがまん。本当はもうちょっとだけでも、いたいけど。


「……また連れてきてやる。次は、もう少し暖かくなってからな」


「やっぱり心を読まれてるの」


「お前が単純すぎるんだ」


 なんだか、むぅってなるの。


 単純じゃないの。って言いたいけど言えない。


      **********


 翌日、アディがきてくれた。来るとは言ってたけど、忙しくて来れないって事もあるかもしれないから。


「アディ、エレに魔法講座やって欲しい」


「魔法講座?」


「……アディの魔法教える」


「それは分かってんだぁ」


「……エレに丁寧に説明する……魔法学学べ」


 魔法学は魔法を使うならみんな学んでいるんじゃないの?


 もしかして、才能があれば魔法学なんて学ばずにできるとか?


 アディ、頭を抱えて、なんだかとっても悩んでいるみたい。


「感覚!」


「……とりあえず、エレシェフィールに魔法見せれば?」


 ゼロがなんだか呆れたご様子。


「おお、そうだな!愛姫、俺様の魔法をご覧あれ」


 おやすみ中、ゼムに何度か見せてもらった、氷のお花もきれいだけど、炎のお花もきれい。情熱的なの。


「愛姫は花が好きと聞いたから、花にしてみたがぁ、気に入ったかぁ?」


「ふみゅ。気に入ったの。とってもきれい」


 アディが私から顔を逸らして、照れてるの。


 ゼロはちょっと、ぷすってなってる。ご機嫌斜め。


「アディ、愛姫様に何失礼な事しているんですか」


 あっ、イヴィきたの。イヴィは、アディと一緒にくる事多いの。おめつけやくっていうのなんだって。ゼロがそう言っていたけど、良く分かんない。


 とりあえず、いつも通りだから、びっくりする事もないんだけど、今回は無罪なの。


「アディは、魔法学を教えようとしてくれていただけだよ?」


「そうですか。アディ、魔法学程度教えられず、どうするんですか」


「だってよぉ、感覚でやってきたのに、いきなり魔法学教えとって」


 アディはイヴィに弱いの。


「普通魔法学は最初のやつだろ。感覚で全部やらねぇよ」


「ゼロのおっしゃる通りです。感覚だけで魔法を使っているわけではないでしょう。魔法は積み重ねです。まだできない頃、諦めずに魔法学を学んだからこそ、このような魔法が使えるのではないですか」


「そうだな。魔法学を学ばねぇと、危険な魔法を平気で使う。そうならねぇようにも追加で、魔法学は必ず学ぶだろ。あと、魔法学を学んだ方が、魔法の制度が上がるのも追加」


 魔法学ってそんなに重要なんだ。全然知らなかった。ていうか、そんなに重要なら、いやでも学ばないと。


 覚え悪いから時間はかかるかもだけど、積み重ねなの。


「魔法学は大事なの」


「そうですね。さすが愛姫様です。そんな事を気づかれるとは」


「みゅ」


 愛姫ってとっても大事な存在だからなのかな。みんなちょっとした事でこうやって褒めてくれるの。


 なんだか、悪い気分じゃないの。


「次にフォルが来るまでにびっくりさせてあげるの。いっぱい魔法学学んで」


「愛姫様は、本当にフォルが大好きですね。来る度に、一度は必ず出てきます」


「ふぇ⁉︎そ、そうなの?」


 そんな事、気にした事なかったの。そんなに毎回フォルの事ばかりだったなんて。


「フォルは、我々を守るために、この力を悪用されないために、加護の調整と、この場所が維持されてるかの確認、人里でも情報収集を一人でやっています。元々身体が弱く、フィルに話を聞くと、良く熱を出していると聞きます」


「俺らには何も言わねぇけど、みんな知ってんだよな。俺が前に無理ばかりすんなって怒ったら、少しだけまかしてくれるようになったけど」


「はい。それでも、まだ、ほとんど一人でやっております。我々は、本当に尊敬しているんです。その優しさに、何度も救われているのです。なので、フォルの初恋が実りそうで、安心しました」


 初恋……私、フォルの大切な人なんだ。分かっていたけど、分からない。その初恋という言葉に、どれだけの大切が詰まってるのか。


「悩みがあればなんでも相談に乗ってくれるところとか、オレ達全員が気軽に話せる仲になるようにしてくれたのとかもね」


 ゼムなの。暇になったみたい。


「集会がそれだなぁ。集まって話しているうちに仲良くなれるとか言ってらのが始まりだったかぁ」


「うん。今は、近況報告会みたいになっているけど」


 集会がそうやってできていたなんて。


 みんな、フォルがだいすきみたいなの。


 ……しゃ……しゃぁー


 なんだか、もやもやする。


「ゼム、暇なら魔法学教えるの。イヴィも暇なら魔法学教えるの。無駄話はだめなの」


 フォルの事を知れて嬉しいはずなのに、なんでこんなにもやもやすりんだろう。


 分からないから、気を逸らすために、お勉強するの。そうすればきっと、もやもやも忘れるの。


「……エレシェフィール、勉強いやなんじゃねぇのか?」


「必要なんだから、がんばるの。それに、お勉強するのは大切なの」


 ちょっぴりご機嫌斜めな時にあるの。だから、気にしないでおいて欲しい。


「氷魔法の基礎」


「みゅ?」


 ゼロが、変な魔法陣と数式を書いたの。意味不明。理解不能……あれ?意味不明だから理解不能は普通?

 ……それだけ、意味不明で混乱中なの。


「だから、これを」


「ごめん。ゼロは、分からない人の気持ちなんて分からない人種だから」


 だから、なんで見ただけで分からないんだって感じの顔をしてたんだ。初めてで何にも知らないんだから、分からないが普通だと思うの。逆に、どう思ったら、分かるって思うのか不思議なエレなの。


 ゼロの代わりにゼムが教えてくれる。


「これが、氷魔法の基礎。まず、この魔法式が」


「せんせぇー、魔法式ってなんですかー?」


「えっとですね、魔法式というものは、魔法を使うために覚えておく必要のある式の事を良いんですよ。分かりましたか?エレシェフィールさん」


 ノリが良いの。でも、意味不明なの。


 魔法を使うためになんで必要なのかとか分からないの。へぇそうなんだってならないの。


 しかも、なぜかドヤ顔。


「……エレ、イヴィせんせぇを希望します」


「良いでしょう。何が知りたいのですか?」


 みんな本当にノリが良いの。イヴィなんて、伊達メガネを付けたの。


「魔法式はどうして、魔法を使うのに必要なんですか?」


「魔法の構成のためです。良いですか?魔法式というのは、いくつもの種類があり、その全てが、意味を持っております。そして、その意味を理解する事が魔法学を始める時にやるべき事です。では、魔法式の詳しい話をしていきましょう。魔法式は、構築式や命令式とも呼ばれております」


「イヴィせんせぇ、長くて分かりませんー」


 長すぎるの。まだまだ続きそうだったの。これはきっと、一時間経っても終わらないとかなの。そんなに付き合っていたら、頭がぽーんってなっちゃうの。


「……明日、オジェフィーレが来るから、その時聞くの」


「イヴィで無理ならやめとけ」


「……じゃあ、もう諦めて独学でどうにかするの」


「フォルに教われば良いだろ。もしくはフィル。あの二人は、教え慣れてるから、ちゃんとエレシェフィールに合わせて教えてくれんだろ」


 フォルをびっくりさせるためにお勉強するのに、フォルに教わるのは、違う気がする。


 やっぱりここはがんばって独学でやるべきだと思うの。


「そもそも、こんなの使う意味も分かんないの。なんだか、無駄がとっても多い気がするの」


 魔法式とか使っていたら、何かあった時、すぐに対処できないの。


 って今思いました。


「エレなら、こんな事やらずに、やりたいの」


「魔法式は魔法を使う時にはほとんど使わねぇよ」


「じゃあなんでこれ覚えるの?」


「魔法を知るため。敵が、演唱遅い代わりにとんでも威力の魔法を使ってきたとして、その敵がわざわざ、これはどんな魔法ですって言うと思うか?」


 それは思わないの。ふるふる首を横に振っておくの。


「その時、魔法式を知っていれば、敵が使う魔法が分かる。そうすれば、相殺できる魔法を使えば良いだけになるだろ?」


 それはそうなの。それなら、必要かもって思ってきた。


「それ以外にも、色々と使えるが、その辺は魔法式を学びながら知る方が良いだろ」


「ふみゅ。がんばるの。だから、なんで分からないのかじゃなくて、そうやって教えるの」


 ゼロは、分からないが分からないだけで、ちゃんと教えてくれる気がしたの。と言うか、そんなに覚えが良いなら、とっても詳しい気がするの。


 だから、ゼロを教わる相手に選んだの。


 フォルがびっくりするの楽しみ。

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