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やきもち


 試作品、連絡Aさんのお披露目なの。


 ふっふっふ、エレの設計は、とってもすごいの。それにフィルが加わったから、もっとすごいの。


「まずは、起動は問題なくできた」


 起動できたの。ついたの。


「ゼム、氷魔法使って、連絡魔法具を凍らせて欲しいの」


「えっ⁉︎」


「お願い」


「う、うん」


 びっくりしてるの。エレが意図していないところでびっくりしてるの。


 でも、ゼムは、氷魔法で凍らせてくれた。これで、しばらく待つの。


「ふみゅ。これも必要な事なの。これで壊れなかったら、寒い場所でも壊れないってなるから」


「エレシェフィールは一体、どれだけ寒い場所を想定しているの?」


 何かあって壊れてからじゃ遅いから。それに、耐性がある分には損はしないの。


 手っ取り早く確認できるっていうのもあるけど。


「そろそろ良いの。ゼム、魔法解除して」


「うん」


 ゼムに魔法解除してもらって、起動確認と動作確認。その辺はフィルにお任せ。


「……問題ない」


「なら、お次はお外へ出て、アディに熱してもらうの」


「熱して?暑い場所が大丈夫か確認だよな?」


「みゅ。早速お外へごーなの」


 耐熱確認のために、お外へ行くの。


      **********


 新しいお家には、魔法を自由に使える場所があるの。そこへ行って、早速アディに熱してもらうの。


「……エレシェフィール姫、ほんっとうに、良いんだよなぁ?」


「ふみゅ。この程度で壊れるんじゃ、エレとフィルの求めている魔法具じゃないの」


「おれはそんなの求めてない。エレシェフィールに付き合いはするけど」


「……みゅぅ。と、とにかくやってもらうの。やらないと、完成しないの」


 アディが炎魔法を使ってくれたの。かなり躊躇っていたけど。


「寒いに暑いって、普通に壊れそうな組み合わせだな」


 それを耐えてこその魔法具なの。


 きっとエレとフィルの魔法具はそれにも耐えてくれるの。


「そろそろ良いの。フィル、確認お願い」


「うん。何も異常ない。普通に起動している」


 さすがなの。フィルの技術はすごいの。これなら、耐風もきっと大丈夫。


「イヴィ、お願いなの。耐風なの」


「え、ええ、エレシェフィール様の願いでしたら」


 なんだかみんな様子がおかしいの。どうしてなんだろう。


 イヴィも、魔法は使ってくれるの。風魔法。


「……エレシェフィール、お前は何を求めてんだ?」


「どんな場所にも対応できる魔法具なの。だから、これは意味ある事なの。このあとは、ポルディッソに雷魔法を使ってもらうの。それで、雷も大丈夫なのか確認すれば、耐性は合格」


 妥協はしないの。


「そろそろ良いの。フィル、お願いなの」


「……問題ない。ここまでくると、自分で作っているのに信じられなくなる。これ本当に自分で作った魔法具?」


「そうなの。フィルが、エレの設計図を見て作った魔法具なの。フィルはとってもすごいの」


「……エレの設計図が原因だな。こんな事になってんのは」


 フィルがすごいのに、どうしてエレの設計図にされるんだろう。フィルのすごさを、ゼロ達は気づいてないのかも。


「エレの設計図じゃなくて、フィルがすごいの」


「いや、どう考えてもお前の設計図が原因でこんなもんが生まれてんだろ」


「……しゃぁー!」


「あっ、エレシェフィール。灯りの魔法道具できたから見て」


 フォルなの。フォルが来てくれたの。


 ゼロに構ってないでエレはフォルのところ行かないと。フォルからのなでが足りてないから。


「ぷにゅぅ」


「どうしたの?なでてほしい?」


「ふにゅ」


「あっ、フィル、この魔法道具の耐性知りたいから、みんなで魔法使って確認しといてくれる?エレシェフィールが、僕に甘えたいみたいだから」


 まだ何も言ってないのにここまで分かるのは、分かんないの。


 でも、フォルに甘やかしてもらえるから気にしない。


「……もっとやばいもん作ってた」


「エレシェフィールが可愛く見えるよ」


「ま、まだ、耐性があるとは決まってない。やばいもんじゃないかもしれない」


「フィル、弟だからって庇うのは」


 フィルはフォルを庇うの。弟だからって。ゼロはエレを庇わなかったの。


 ゼロはエレのおにぃちゃんなのに。


「……しゃ……フォルがいるからやらないの」


「やって良いよ?ゼロがそうさせてるんだろうから」


「みゅにゅ」


「フォルがエレシェフィールの見方しかしない。つぅか、本当にやるのか?壊れるだろ」


 ゼロは分かってないの。きっと、魔法具の事はエレの方が物知りなの。他の事は、ゼロの方が物知りで、エレは何も知らないけど。


 魔法具は、とっても耐性がすごいの。戦場に持って行っても大丈夫なように作られているの。だから、みんなで魔法を使ったくらいで壊れるなんてないの。


 そんな魔法具だと、いくらあっても足りなくなっちゃうから。


「エレが教えてあげるの。魔法具はとっても丈夫にしておかないとすぐに壊れて変えるのが大変なの。だから、できるだけ壊れないようにする必要があるの」


「うん。だから、試作品の耐性確認よろしく。エレシェフィール、ちゅってして良い?今日はがんばったから。それに、一緒に入れなくて寂しかったでしょ?」


 フォルがほっぺにちゅってしてくれたの。フォルの、ちょっぴり赤いほっぺが可愛いの。だから、エレもお返しに、ほっぺにちゅってしたの。


「エレシェフィール、好き」


「エレもフォルすき」


 エレとフォルのらぶは、むーど?はないの。


 とっても騒がしい。みんなで魔法大会だから。


 でも、そんなの気にしないの。すきだから、気にならない。


「フォル、エレの設計図を見て欲しいの。今は持ってないけど、後で見て欲しいの」


「うん。エレシェフィールの設計図、見たい」


「……フォル、おかしなの。おかしフォルなの」


「……」


 いつもなら、そろそろ逃げるの。逃げなくても、こんなにエレのらぶを正面から受け入れる事はないの。だから、おかしなの。この原因を探さないと。


 また何か変な事になっているかもしれないから。


「……だって、エレシェフィールが、みんなとわいわいやってるの、ずるかったから」


「みゅ?」


「それに、フィルに取られたって思いながら、ずっと一人で、魔法道具作っていたから……エレシェフィール、僕がだいすきでも、僕よりも、フィルやゼロだいすきになるかもだから……」


 か、可愛すぎるの。ただのやきもちだったの。


 やっぱり、フォルはずっとやきもちの方が、エレに近づいてくれて、可愛くて良い気がする。いつものフォルもいつものフォルで良いんだけど。


 選べないの。


「エレはフォルが一番らぶだから気にしなくて良いの。でも、可愛いから、もっと見たいの」


「フォル、魔法具問題なかった」


「しゃぁーーー‼︎」


 かつてないしゃぁーなの。ゼロが急に話しかけてきてびっくりしたから。


「えっ⁉︎ごめん」


「違うの。びっくりしすぎてしゃぁーってなったの。びっくりだっただけなの」


「あっ、そうなんだな。えっと、フォルの魔法具は、何も異常なかった」


「魔法具?」


 そういえば、フォルは魔法具知らないの。フォルにも魔法具を教えないと。


「魔法具なの。魔法具は言いやすいの」


「そうだね。魔法具って言いやすい」


「ぷにゅ。だから、魔法具で決まりなの……ふみゃ⁉︎」


 エレは気づいちゃったの。フォルの魔法具の試作品が、異常ないって確認取れたら、またエレは、フォルと離れて寂しくなっちゃうの。


「……ぷにゅぅ」


「エレシェフィール、一緒にいる?一緒にいても大丈夫だよ?エレシェフィールは、完成品ができるまで待ってるだけだから……というか、一緒にいて欲しい」


「一緒にいるの」


 ふにゅぅ。半日くらいは一緒にいなかった気がするから嬉しいの。


 エレはフォルと一緒にフォルのお部屋へいってきます。

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