最後の小型龍
ぷみゅぅ。フォルと二人っきりなの。エレはフォルと二人っきりで、らぶらぶしながら寝るのかもしれない。
ふみゃ⁉︎
フォルと二人でお風呂なのかもしれないの。フォルが連れ込んだんだから、きっとそういう事なの。
フォルは今、なんかむじゅかちそうな事をしているから、エレは、ちょこんとおとなしく座っているの。
早くフォルのお仕事おわんないかな。エレは暇なの。
「……ごめん。待ったよね」
「フォルの事考えてたらあっという間なの。本当はちょっぴりお暇さんしてたけど」
「ごめん。このあとは何もないから、遊んであげる」
やっとなの。やっと、エレのお時間になったの。待ってたの。
なにして遊ぼう。何して遊ぶのが良いんだろう。
「とりあえず、お風呂なの。エレは、お風呂に入りたいの。ゼロは、ケーキさんに夢中だから。入ってくれないから。フォルなの。イヴィ達にお任せは、まだ早い気がするの。エレは良いんだけど」
エレを、愛姫って言っていたみんなは、一緒に入るって言ったら、断りはしなかったとしても、混乱しまくると思うの。
愛姫呼ぶのやめるのも、まだ慣れてない気がするから。せめて、そっちが慣れてから、お風呂も頼むの。
そっちに慣れてくれる日が来ればだけど。きっときてくれるよね。
「……うん……世話しないと……これは、エレシェフィールの世話目的。他意は存在しない」
フォルは、それでも一緒に入ってもらうの。フォルと一緒にいるのがだいすきだから。
「入ろうか。ゼロがいないけど、多分大丈夫だから」
「みゅ」
フォルと一緒にお風呂なの。
**********
あったかぽかぽか。ほんのり白い。
「あわあわさんしたい」
「少しだけだよ」
「みゅ」
エレのだいすきな遊びのあわあわさん。石鹸で、泡を作るのがだいすきなの。
エレが遊んでいると、フォルが洗ってくれる。
「エレもお返しに洗ってあげるの」
「えっ⁉︎い、良いよ。自分でできるから」
「遠慮しなくて良いの」
お返しに洗うの手伝うの。
ふみゃ⁉︎
顔真っ赤にしてフォルが倒れたの。
エレがどうにか……できないの。こうなったら、エレが助けを呼んでくるの。
**********
「エレなの!事件なの!救助よぉせぃなの!」
リビングにみんないるから、救助よぉせぃ出しにきたの。
「えっ⁉︎エレシェフィール様⁉︎」
「なっ、何で裸で」
「……エレシェフィール、どうしたか話せる?ゆっくり、落ち着いて」
落ち着いてる暇なんてないの。
「しゃぁー!しゃぁー!しゃぁー!」
「……ゼム、フィル、俺エレシェフィールについていく。氷袋と、水で濡らしたタオルと飲み物用意して、フォルの部屋に来てくれ」
「う、うん。分かった」
「エレシェフィール、早く行きたいんだろ」
「ふみゅ」
ゼロが分かってくれたの。急いで、フォルのお部屋に行くの。
**********
ふみゅぅ。とりあえず、ベッドで寝かせる事に成功したの。エレがんばった。
ゼロを呼んできただけだけど。
「……今日の夜の服はこれにするか」
エレはお部屋に来てから、ゼロに、布団ぐるぐる巻きにされて、今は動けないの。やっと動けるようになるかも。
布団とってくれてる。
「エレシェフィール、裸で部屋でんな。せめてタオルくらいは巻いとけ」
「ふみゅ。巻いておきません」
「エレシェフィール」
ゼロが怖いの。怒ってるの。目が怖いの。
「巻きます」
「それで、何があったんだ?」
「……エレシェフィールが、僕の背中に身体を……」
「あー、もう良い。理解した。エレシェフィール、しばらく俺と一緒に入るぞ。フォルは誘うな。三人なら、大丈夫かもしれねぇが」
そ、そんな。フォルと二人っきりが、だめになっちゃったの。エレは、フォルと二人っきりの時間楽しんでたのに。
「ゼロ、エレシェフィールを怒らないであげて」
「怒らないでって、裸で部屋の外に出てんだぞ。それに、エレシェフィールは、言わねぇと伝わんねぇからな」
それはあるの。エレは、言ってくれないと分かんない。でも、ちゃんと説明してくれないには、分かんないの。
「……エレ、悪い事しちゃったの?ごめんなさい。フォル」
「悪く……ないよ」
「でも」
「そんな悲しそうな顔しないで。のぼせただけだから」
フォルは優しいの。エレが悪いのに。
「エレシェフィール、今日の服の着心地」
「ばっちりなの」
「そうやって笑顔でいてやれ。お前が、笑顔でいる方が、みんな安心する。それに、フォルは、自分のせいでお前が落ち込んでるって思ってる。そう思わせねぇように、笑顔でいてやれ」
笑顔なの。フォルのためにも笑顔なの。
「エレシェフィール、手」
「ふみゅ。おてて繋ぐの。エレのおててなの。エレのおててで安心なの」
フォルとおてて繋いだの。これできっと、安心ってなると思うの。エレがなるだけかもしれないけど。
「好き」
「ふみゅ」
「愛してるよ。君が愛姫だと知る前からずっと。君の事を愛してる」
「ぷ、ぷきゃりゅにゃんぶぽ⁉︎」
「は?ぷきゃ……?は?何言ってんだ?頼むから、人が理解できる言葉を喋ってくれ」
ふぉ、フォルが、愛してるって言ったの。愛してるなの。すきと愛してるは重みが違うの。
え、エレも、エレもだけど……どきどきがどきどきすぎて、言えないの。
「ぷにゅぅ。エレは……フォルが……らぶなの。らぶ以上は言えないの」
これでも、とってもがんばったの。
きっと、エレはお顔真っ赤なの。耳まで真っ赤なの。
「僕のお姫様。ずっと……すぅ」
「……寝たな」
「寝たの。疲れてたのかも。フォルの寝顔可愛い。エレは、お隣でぎゅぅして寝るの……ふみゃ⁉︎ゼロは、エレのお隣で、ぎゅぅして寝るの!そうすれば、エレの寝相は良いと思うの」
エレの寝相は、ぎゅぅされてる時限定で良いらしいから。ゼロにぎゅぅしてもらえば、フォルにエレの寝相が悪い事を知られずに済むの。
「フォルの……エレのために協力するの」
「それは良いんだが、知られるなら早いうちが良いだろ。後から知られるよりも」
それは……あるかもしれないの。隠し事は少ない方が良いから。
でも、やっぱり、少しでも良く見せたいって思うのがエレなの。エレの本能なの。それに逆らうのは、むじゅかちいの。
「……早く寝るぞ」
「ふみゅ。寝るの」
ゼロがぎゅぅしてくれたの。エレは、フォルに、寝相悪いのバレずに済んだの。
**********
ふみゅ。悲報なの。エレは、お部屋に出る前に、ゼロからお洋服確認をされないとだめってなったの。
「ぷすぅ」
「エレシェフィール、こっち向いて」
「エレはぷすぅなの……でも、フォルのお願いは聞くの」
エレがフォルの方に向くと、美味しいクッキーをくれたの。
「おいしい」
「良かった。ちょっと甘くしすぎたから、エレシェフィールにあげようかなって。気に入ってくれたなら、また作ってあげる」
甘くしすぎたって感じはしないの。でも、フォルは、甘いのはそんなにすきじゃないの。だから、これでも甘いって感じるのかも。
「ありがと。嬉しいの。エレ、フォルにぎゅぅしてもらうのだいすき」
「僕も好きだよ。エレシェフィールって、抱き心地良いから。これ以上に抱き心地の良い抱き枕知らない」
抱き枕……ふみゃ⁉︎ エレ、抱き枕にされてるの!
それは、なんだか嬉しいけど、嬉しいけど嬉しくないの。
でも、フォルだから。ゼロとかなら、別だけど、フォルだから。エレは、大人しく抱き枕にされてるの。
「ぷしゅぅ」
「いやそう」
「フォルだから特別に良いの。フォルだから特別なの。フォルだけは特別なの。フォル以外はだめなの。フォルだけエレを抱き枕にして良いの」
特別を強調なの。
「ふふっ、ありがと。僕のお姫様」
エレは、他のみんなにお姫様って呼ばれるのはあまり好きじゃないけど、フォルは違うの。こうやってお姫様って呼ばれるのにいやって思わないの。
「ぷみゃ⁉︎ふかぁなの」
黄金の小型龍。フォルが時々見せる色。
とってもきれいなの。
「ボクのお姫様、大好き」
フォルなの。中身がフォルなの。エレをだいすきなフォルなの。
「ぴゅにゃ。ぴゅにゃなの」
やっと孵化できた。
「ぴゅにゃだって。エレシェフィールがつけてくれただけで嬉しい」
「可愛いの。やっぱり、フォルは中身も可愛いの」
「可愛い……別に良いけど、可愛いって言われるより、かっこいいって言われる方が嬉しいんだけど」
「ぷみゃ⁉︎にゃ、にゃぅにゃぅなの!」
急にとっても恥ずかしくなっちゃったの。
小型龍の孵化はできたけど、自然と側にいられるのはまだ先になりそう。




