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チーズケーキ


 またエレシェフィールから逃げてきた。


 ゼロが記憶を思い出させたのは、あの記憶なら別に良いんだけど、良いって思ってたんだけど。


 エレシェフィールの前では、しっかりしておかないととか思わなくて良くなったから。


「また逃げてきた?」


「……うん。でも、夜は一緒に寝る」


 寝るだけだから。すぐに寝れば、大丈夫だと思う。最悪、睡眠魔法でも使えば。


「まだ慣れない?」


「うん。それより、どうなった?エクシェフィー家」


「逃げられた。エレシェフィールに害が及ばない限りは、手を出す必要はないだろうから。ほっといてる」


 エレシェフィールを諦めてくれれば良いけど。念のため、まだこの結界の外には出さない方が良いかもしれない。


「それで良いと思うよ。書類まとめるの、僕も手伝う。一人より二人の方が早く終わるから」


「ありがとう。エレシェフィールは、ゼロが面倒見てる?」


「うん。ゼロが面倒見てくれてる。任せとけば良いよ」


 机の上に書類の山ができてる。


 外の世界の事とかを事細かく書かれた書類とか、仕事の書類とか。色々とあるんだ。


「……フィル、外では、チョコレート菓子を渡す儀式が流行ってるんだって。それに、寒い時期に、みんなで星を見るとか。エレシェフィールも、こういうの興味あるのかな」


「あるかも。祭りとかも、エレシェフィールは、好きそう……やってみる?」


 食事会とかじゃなくて、そういうのも良いかもしれないけど、企画が大変そうなんだよね。エレシェフィールが、すきそうな事で考えないといけないというのと、準備の事も考えないといけないから。


 それに、外でやるなら、エレシェフィールが風邪ひかないように考えないといけない。


「エレシェフィールの文字練習帳だって。こんなとこに紛れてたなんて」


 エレシェフィールが昔使っていたんだ。ちょっと、僕には読めない文字が書かれてる。下手ってわけじゃないんだ。独特なだけで。


 というか、多分、エレシェフィールは、創作文字でも作っていたんだと思う。


 そういうとこ含めて可愛いのがエレシェフィール。


「楽しそう。エレシェフィールの事を考えてる?」


「うん。そうだ。今度みんなで一緒に食糧調達に行かない?」


 結界の中には、畑以外にも、川に魚とか、森に野草や動物がいるんだ。動物は、小屋で飼っているのもあるね。


 魚や動物は、普通の生き物じゃなくて、魔法で創られているんだ。飼っているのは、別だけど。他は植物から創られているんだ。


「エレシェフィールが好かれて連れ去られる事はないかもしれないけど、魔物が」


「そこなんだよね。みんなで守ってあげれば良いけど、万が一、エレシェフィールが一人でどこかへ行った時、誰も守れないから」


 楽しそうだとは思うけど、安全を考えると、できないんだよね。


 どうにかして、安全にできる方法があれば良いんだけど。魔物相手だと、それは難しいか。


「とりあえず、書類を整理しよう」


「うん。そうだね」


      **********


 書類整理が終わったら、夕方になってる。そろそろエレシェフィールも、起きてる頃なのかな。


「フィル、フォルをお迎えに来たの」


 噂をすれば。エレシェフィールが来た。もしかして、今まで寝てたのかな?寝癖がついてる。


 ゼロに直してもらう前に、ここに来たんじゃないかな。


「エレシェフィール、寝癖」


「気にしないの」


「気にするよ。こっちおいで。綺麗にしてあげる」


 夜寝て、朝起きればまた寝癖がつくんだろうけど。でも、ちゃんと直しておかないと。


「ふみゅ」


 僕がエレシェフィールの寝癖を直している間に、フィルが、片付けをしている。


「直ったよ。相変わらず、綺麗だよね。君の髪って」


「……エレの髪、普通じゃないの。それでもきれいなの?」


「うん。綺麗だよ。手入れすればもっと綺麗なんだけど」


 エレシェフィールは、髪の手入れをしようとするといやがるんだ。だから、もっとツヤを出してとかやりたくても、できなくて。


「……フォルがやるなら我慢するの。フォルの良いようにされてるの」


「良いの?」


「ふみゅ。大人しくしてるの。動き回りたいの我慢するの」


「じゃあ、今日から、綺麗に手入れしてあげる」


「ふみゅ。手入れされるの。エレの髪はもっときれいになるの。それで、フォルにもっとだいすきになってもらうの」


 今のままでも十分大好きなんだけど。でも、それをエレシェフィールに言えば、手入れしなくなりそうなんだよなぁ。


 エレシェフィール以上に好きなものがないくらい好きなんだけど。


「フォル、ゼロが相手して欲しそうに見てるから相手してくる」


「うん」


 ゼムに相手してもらえなかったのかな。いつもは、ゼムが相手するのに。


「アディとリリフィンが裏切ったー!」


 裏切った?


「どうした?もっと詳しく」


「チーズケーキ持ってきた。ぐすっ。俺が匂い無理って知ってんのに。ぐすっ。チーズケーキみんなで食べてた。裏切り者なんだー!」


 多分、ゼロの分は別で用意してあると思うんだけど。


 あっ、エレシェフィールが反応してる。目を輝かせてる。これは、チーズケーキが欲しいのかな。


「エレは?エレは?」


「近づけないから知らない」


「探検隊けっせいなのー。フォル、一緒に行くの」


 絶対自分が欲しいだけでしょ。でも、ゼロは、エレシェフィールが自分のためにとか思ってんのか、嬉しそうにしている。


 僕は、エレシェフィールが楽しければそれで良いんだけど。


「フォル、行くのー」


「うん」


「エレシェフィールが、俺のために……」


      **********


「エレもケーキ」


 やっぱり、自分が欲しいだけ。


「フルーツタルトを用意してあります。フォルには、チョコレートケーキを」


「ふみゅ。ありがとなの」


「ありがと」


 全員分用意してくれていたみたい。しかも、好みまで考えられている。ゼロは、チーズケーキが近くにあっただけで逃げているけど。


「嬉しいの。エレのだいすき知ってるのも嬉しいの。フォル、一緒にケーキなの」


「そうしたいけど、ゼロが可哀想だから。フィルの分と一緒に持っていってあげない?」


 ゼロは近づけないから、部屋まで持っていかないと、ずっと泣いてるかもしれない。別にゼロが泣いてるのが可哀想とかじゃないけど、フィルが忙しい中相手してあげているから。


 フィルにゼロの相手をしなくて良くするためにも、ケーキを持って行って、慰めるのが良いかなって。


「ふみゅ。ゼロが待ってるの。ふにゃふにゃ泣きながら。ちょっと可愛いって思ってるエレがいるのは内緒なの」


「……」


「……ふみゃ⁉︎フォルは可愛いとかっこいいを兼ね備えた、最強型なの!」


 なんかエレシェフィールが変な事言ってる。エレシェフィールが、可愛いって思ってるならあのままでも良いのかなって思ってただけなのに。


 僕が拗ねてるとか勘違いしたのかな。


「フォルが一番なの!フォルらぶなの!エレのフォルなの!」


「うん。分かったから。早く行くよ」


「恥ずかしがる必要などありません。我々は、エレシェフィール様が、フォルを大好きという事は理解しています」


 エレシェフィールが、必死になってるのが可愛くて見てたいからって。そんな方法で引き留めて聞くと思ってるんだか。


「……ふみゃ?一口くれるの?エレ、ゼロがきらいだから初めてなの」


 あっ、餌付けできた。


 そっか。エレシェフィールはゼロに預かってもらってたから、チーズなんて見せてももらえなかったんだ。


 ゼムが平気だとしても、あの弟想いなゼムが、ゼロに内緒でチーズを使わないだろうから。


「ふみゅふみゅ。美味しいの。知らない味なの。すごいの。とろりなの。匂いがないチーズならゼロも好きになりそうなのに……」


「そうですね。ゼロは匂いだけがダメらしいですから」


「エレシェフィール、行かなくて良いの?ゼロ泣いて待ってるよ」


「ふにゃ⁉︎そうなの!イヴィ、みんなもまた後で」


 ちょっと強引だとは思うけど、フィルのためだから。それに、部屋で二人っきりになりたいって、少しだけ……少しじゃないかも。思ってるから。ゼロとフィルにケーキを渡して、二人っきりになりたい。

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