再開
書いた手紙を封筒に入れ、大きな箱にしまう。ミゼル宛の手紙は、もう何通書いたか覚えていない。書いても出せない手紙は増えていくばかりであった。
「ミゼル…」
1人窓の外を眺めながら呼んだ声に寂しさが募る。6年前のあの日から、彼はどう変わっただろうか。身長は?声は?好きな人はできた?私は彼の今を何も知らない。彼は私を覚えているかな…もしかしたら忘れてしまっているかもしれない。6年という年月は、口に出すには簡単だが実際に過ごすととてつもなく長い時間だ。新しい友人と新しい恋人と幸せにいれば私のことなど忘れていてもおかしくない。もし私たちがまた出会えた時、彼に忘れられていたら、人違いでしたとそのまま帰ろう。でももし、彼が覚えていてくれたなら。その時は彼を抱きしめて、気が済むまで抱きしめて、たくさんお話をしよう。そんな未来を想像して少しにやける。
あぁ、明日はちゃんと起きなければいけないから早く寝なきゃ。そう思って私はベッドへ向かった。
身支度を終えてフィリアランドへ行く。ここへ来るのも6年ぶりで、どの景色も懐かしい。指定された場所へ向かうと、そこに人がいた。
あの人がドロイの調査員か…
「はじめまして。私はロア、調査のために来ました。」
「…ロ、ア…?」
調査員はゆっくりとこちらを見た。彼は男で、私より身長が高かった。
それにしてもこの顔、見たことあるような…
そんなことを考えていたら、気付けば彼に抱きしめられていた。
「わっ!えっ!どうしたんですか!!」
「ロア…ロア…!!!」
彼は私の名前を呼ぶたびに力を強くしてくる。さすがにそろそろ胃の中から朝食が出てきそうだ。
「すみません、ちょっと力弱めていただけますか?ちょ、ちょっとくるしくて」
「ロア、ずっと、会いたかった」
「…まさか、あなた、、ミゼル!?」
まさかこんなことがあるなんて!!
少し体を離し、彼の顔に手をそえて眺める。綺麗な黒髪に凛とした眉毛、少し子供っぽさの残る目元、見れば見るほどミゼルだ。
「あぁミゼル、本当にミゼルなの…?」
「ロア、俺だ。やっと会えた。」
嬉しさに涙が溢れる。勝手に流れてしまうから止めようにも止められない。
「私もずっと会いたかった。会えて幸せだ、ミゼル」
彼は私を覚えていてくれた。その事実がすごくうれしくて心が内側から温まるような感覚がした。
「ミゼル、どこかゆっくりできるところに行こう。君に話したいことがたくさんあるんだ!!!」