アリかな
生まれて初めて、ラブレターとやらを見た。
私は慌てて下駄箱を閉め、周りの様子うかがう。
……誰もいない。
よし、もう一度見てみよう。
再び下駄箱を開けて、ラブレターを確認する。
そこには気になってる、クラスメイトの男子の苗字が書いてあった。
急いで鞄に入れ、トイレに行って確認する。そこに書いてあったのは、放課後、体育館の裏に来て欲しいということだった。
放課後。私はラブレターに書いてあった通り、体育館裏にやって来た。
今日は一日中、授業が頭に入って来なかった。いや、それはいつもか。
とにかく、ラブレターの主を待つ。
やがて、誰かがこちらへ駆けてくる音が聞こえてきた。
急いでそちらへ振り向く。すると。
「あー、先輩! ホントに来てくれたんですね⁉ 私、嬉しいです‼」
抱きつかれた。
──女の子に。
……しかしこの子、どこかで……。
考えていると、その子が名乗った。彼と同じ苗字を。
そうだ。何度か、彼と一緒にいるのを見たことがある。
この子は、確か。
「えっと……妹さん、だっけ……?」
彼の名前を出して確認すると、彼女は頷いて答えた。
「はい、そうですぅ! 私、先輩が好きなんです! ダメですか⁉」
「いや……何ていうか……」
そう言いながら、彼女を観察する。可愛らしい子だ。
しかも声と体、全身で私を好きと表現してくれている。
……何だろう。悪い気はしない。
「まあ……こういうのも、アリかな?」
そう呟くと、彼女は目一杯の笑顔ではい! と答えた。