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君と僕がみている世界の色は ~あやかしと共に生きる者たちの物語~  作者: かなたつむぐ
【第一部 きみいろ】
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第二十話 絶体絶命

 え? 何が起きたの?


「葉! 葉!」とワンタンが何度も名前を呼ぶ。

「葉くん? 葉くん?」

 何度呼んでも葉からの返事はない。


 ペロリと口を舐める音がきこえ「うむ、これは複雑な味だがとても奥深い味がする。美味だ。あとでゆっくりと味わおう」

 え? 葉くん? まさか? 食べられちゃったの?


 ヒュっと突風がふいたかと思うと葉を丸呑みしたドロドロの異形のモノが二つに切られ、中から葉が飛び出してくる。他の飲み込まれた者たちも膜のようなものに包まれ、眠った状態で転がり落ちる。


「な、なにい???」

 二つに切られた異形のモノはベチャっと水溜りのように平らになり動かなくなるが、すぐに蠢きだし元の形へ戻ろうとする。


「ゴホゴホゴホ……。ありがとう、天邪鬼(あまのじゃく)。助かったよ」と葉は真っすぐに空中に浮いている日本刀に話しかける。


「呼ばれたからな」と日本刀が喋り出す。


「もう少し付き合ってもらえるかい」

「ああ、もちろんさ」

 葉は立ち上がり、喋る日本刀を構える。


 葉は刀に親指を押し当て引いて切り傷をつける。そして刀に文字を書くと刀が黄色く光りだす。葉は紫色の札を取り出し、刀に貼り付けると刀は紫色に変化していく。


 ドロドロの異形のモノは元の姿に戻り、触手のようなものを出し、葉に襲い掛かる。葉は日本刀でドロドロの異形のモノを切り刻んでは都度浄化していく。ドロドロの異形のモノは再生能力もあるらしく切られて浄化されてもすぐに新しい触手をつくり攻撃し続ける。葉は作戦を変え、日本刀に“不”と血で文字を書き、息を吹きかける。そして壁や天井を使い飛び回り攻撃を避けながら細かい傷をつけていく。ドロドロの異形のモノは再生が出来ずだんだんと小さくなっていく。


 葉は“再生不可能”という技を使った。日本刀に書いた“不”は再生が出来なくするという意味である。葉は“言”一族。口に出す言葉以外にも文字に書いた言葉などを実現化できる能力を持っている。


「一気に行こうぜ、葉」

「そうだね、天邪鬼! 命消滅(めいしょうめつ)!」

 日本刀が真っ白に光だし、葉が刀を大きく振り上げ一刀両断にする。


「くっそおおおおおおおお」

 ドロドロの異形のモノは一気に浄化され消えていく。


「さすが、俺とお前だな。またなんかあれば呼んでくれ!」

 日本刀は一仕事終えるとサっと飛んでいってしまう。





「ぷはあ。今ので力を使い果たしたよ……休憩」

 妖力を使い切った葉はその場に大の字になって寝転ぶ。


「葉くん、すごかったよ! ありがとう」と葉にかけよる彩。


「いえいえ。それより他のみんなは?」

 葉は目が虚ろになり、荒く息をし、呂律がまわらなくなっている。


 みんな? 辺りを見渡しても姿が見えない。


「大福? 雪さん? リンさん?」

「彩、危なっ!」

 葉が浄化したはずのドロドロの異形のモノが再び現れ、葉を丸呑みする。


「ほんとらー! ウマウマだ!」

 さっきの声とは別の子供のような声が聞こえてくる。


「なんで? さっき消えたよね? それに子供の声?」

「そのはずだが……。うむ。ここは俺達にはどうにもできん。一度逃げるぞ」

 彩に憑依しているワンタンが彩の体を引っ張り、異形のモノから遠ざけようとする。


「嫌……」

「葉が二度も喰われたんだぞ? 今のお前には何もできないだろ!」


「ワンタンだけ逃げて。そして誰か助けを呼んできて」

「そんなこと出来るかよ! お前も一緒に!」


「私はここで今、戦わないといけないの。ワンタン、お願い……」

「……わかった。一緒に戦う」


「ダメだよ、誰かを呼んできて」

「俺にだって出来ることはあるんだ!」


 ドロドロの異形のモノは自分の体の一部を捥ぎ取り投げつけてくる。

 彩は壁や天井を使い逃げ回る。


「さっきと攻撃パターンが違う」

「さっきのとは別なのか? スピードもはやくなっている」


「ワシがほしいのは(きぬ)だけだ……犬は消え失せろ」

 子供の声ではない、老人のような渇き擦れた声が聞こえてくる。


「さっきの声と違う!」

「なに? 別の奴もいたのか! やはり一度逃げた方が……」


 ドロドロの異形のモノはバラバラに投げた体の一部を一気に集め、彩の体に投げつけ壁に押し付ける。彩の手や足の自由を奪い、彩の首を絞め気絶させ、口の中からワンタンの魂を抜き取る。ワンタンと彩は分離し、それぞれ元の姿に戻る。


「彩!」

 ワンタンの声で目を覚ます彩。


「五月蠅いぞ」

 ドロドロの異形のモノはワンタンを一飲みする。


「ワンタン!」


 落ち着け、私。さっきみたいに魂色を探して……色を……。

 見えない? なんで? 妖の力がないと見ることができないの?

 お願い! 見えて!!!!!


「では! メインディッシュをいただきます」

 パクリ……ゴックン。


 彩はドロドロの異形のモノに喰われてしまう。

 ドロドロの中には膜に包まれた葉、ワンタン、体の一部の色が変化してきている大福と雪女とリンがいる。ドロドロの中もヘドロのように重いドロドロで出来ており、何か腐ったような臭いが漂っている。



「うん。サイコーにウマウマだ」

「きゃはん! 美味しいねー」

「持ち帰るなんてもったいねぇ。このままま喰っちまいたい」

 異形のモノから、子供の声、甲高い女性の声、老人の声が聞こえる。

 


 落ち着け、落ち着け。


 彩がどうすればいいか考えていると、葉が突然目を覚まし光りはじめる。


「なんだ? さっきの奴か」

 ドロドロの異形のモノは自分の手を口に入れ、葉の体を掴み握りつぶそうとする。ギシギシという音が続き、ボキッと大きな音が鳴り、葉は吐血し気絶する。


 葉くん? 葉くん?

 許さない……許さない。

 彩は怒りに我を忘れ、黒いモヤモヤしたものに包まれはじめる。


「彩、ダメだ。怒りは奴らの好物だ……」

 ワンタンの声が聞こえるような気がするけど……今はそれどころじゃない。

 葉くんをみんなを助けないと……。

 

 彩を纏う黒いモヤモヤしたものはドロドロの体ごとを包み込む。


「ん?」

「なによ、これは!」

「何が起きているのだ!」

 異形のモノも何が起きたか理解ができず慌てふためく。

お読みいただきありがとうございました!

次回もよろしくお願い致します!

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