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留守電を

作者: 八百坂藍

暑い日。

昼飯を食べるのに一度家で食べに戻った時です。

そうめんを啜りながら、ふと固定電話が視界に映ります。

固定電話に、留守電が一件入りっぱなしになっていました。

「あの、なんで再生しないの?」

「どうせ町内の知らせとかそういうのだろ、聞く必要ないし」

親はそう言って再生する気はありませんでした。

「ふーん」

試しに再生してみました。

言われた通り、町内のお知らせでした。

特に気にも留まることがなかったので、そのまま私は友達の家に出かけて行きました。

次の、寒い日。

夏休みに入ったので、10時に起きました。親にも会わない時間に起きた私は妙に涼しく感じるのを気のせいだと思いました。自堕落に睡眠が長くなったりした時に頭が痛かったり音楽が若干早く聞こえたり、若干身体が狂うのなんて気にしてられません。

リビングに行き、朝飯を食べます。

冷蔵庫を開けると朝飯は用意されていませんでした。

カップ麺を食べるためにやかんに水を注ぎ、IHで加熱します。

静寂。

あれ。

携帯を触ろうとしましたが、電波がありません。

諦めて漫画を読みます。

沸騰した水の音がやがて部屋を満たしました。

カップ麺にお湯を注ぎます。

再び静寂が部屋を満たします。

ふと固定電話を見ると、留守電が1件入っています。

何故か嫌な予感がします。

妙に寒い理由。

電波が入らない携帯。

この前入ったばかりだったはずの留守電。

町内放送でない可能性が高いです。

怖くなってしまいました。

こう言う時にどうすればいいか、私にはわかりません。

怖くて、部屋に戻りました。

静寂が。

誰も家にいないのに、何かが軋む音がします。

聞きたくも無いのに耳がどんどん澄まされて、自分の心臓の音まで聞こえて来ました。

寒いです。

恐怖のあまり布団にくるまって、このままガタガタ震えたまま眠りました。

眠って、しまいました。



起きたら夕方になっていました。

いつの間にか汗がびっしょりです。

部屋は、むしろ少し暑いぐらいでした。

エアコンに手をつけます。

リビングに。

リビングに、戻ります。

親はまだ帰って来ていませんでした。

喉が渇いたのでまず冷蔵庫の水を飲みます。

とても美味しい。

机のカップ麺を見てあっと声をあげてしまいました。

思えば、今日はご飯を食べていません。

が、流石に水を吸いすぎてこのカップ麺は碌な食べ物ではもうありません。

ごめんなさい。捨てさせていただきます。

捨てる前に、携帯に通知が入ります。

普通に携帯は使えるようになっていました。

まぁ、当たり前なのです。

私の疑念はいつの間にか、別の結論を提示し始めていました。

もしかして、もしかしてなのですけど。

固定電話に目をやります。

留守電を。

留守電を再生しました。

町内のお知らせでした。





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