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99話 主

大草原が続くクラーク国だが、しばらくすると木々が増え始め、やがて大きな森となった

レジナルド達は魔獣の姿で眼下に見える深い森の上空を駆けていた


「すごい森ね」

さっきまでどこまでも草原だったのに今度はどこまでも深い森となり、クリスは驚きの声を上げた


「クラーク国は規模が違うな」

魔獣の姿のヴァレンタインも下に見える森を眺めながら呆れていた


クラーク国(ここ)はこんなに広大だから魔獣も多いんだよ」

「旦那様のような強い魔獣が統率していないと、この国は魔獣によって大混乱ですよ」

レジナルドが話すと、護衛のベネットが(あるじ)自慢をした

「だったらレジに護衛は必要ないだろ」

ヴァレンタインがベネットに突っ込みを入れると、ベネットは

「必要ありませんが、いざという時には盾になります」

と真面目に答えた

「おいおい、物騒な事を言うんじゃないよ」

思わず先頭を行くレジナルドは後方の二人の会話に入ってしまった


「人間はどうなんですか?」

クラーク国に来てから、クリスはまだ人間の村や町を見た事がない


一体、どこに住んでいるのだろう?

そもそも人間はいるのかしら?


そんな疑問が浮かぶ程、人が住む気配がない国だった


「人間は更に北に住んでいるよ」

「ここより北だと、冬はもっと寒いのではないですか?」

「確かにね

でも土地柄か、北の方は雪が少ないんだよ」

「凍りますけどね」

レジナルドの説明にベネットが補足した


「でもかなり寒いでしょ」

寒さに弱いエリザベスには寒い所に住むという事が信じられなかったようだ

「クラーク国は魔獣達が私に統率されているから、魔法使い達は魔獣退治の必要がないんだ

その代わり魔道具の開発が得意でね

暖房器具や防寒具など、物を作る事に長けているんだよ」

「クラーク国の魔法使いは魔獣退治をしないのですか!?」

魔獣退治がメインのクリス達魔法使いは、その魔獣退治をしなくていい事に驚いてしまった


「クラーク国では魔獣と人間が共存しているんだよ

魔獣と人間の夫婦も珍しくない」


レジナルドの説明にクリスはぽかんと口があいてしまった

自分も魔獣のヴァレンタインと結婚するが、クリスの母国・ルガード国やヴァレンタイン達が住むベイル国ではかなり稀な事だからだ


「いいですね

魔獣を退治しなくて良くて、共存が出来るなんて」

「旦那様のような強い魔獣がいればこそですよ」

またベネットの主自慢が出た


そんな話しをしていると、遥か先がキラキラ光っているのが見えた

どうやら太陽の光を反射している湖のようだ

「着いたぞ」

レジナルドはそう言うと高度を下げはじめた


近づくと湖もかなりの広さがある事がわかった

エリザベス達が住む森の奥にも湖があるが、規模が違う

この湖はエリザベス達の屋敷近くの湖数個分に匹敵する大きさだろう


レジナルドは先に使い魔を放ってユニコーン達の居場所を把握していたので、この大きな湖でも迷う事なくユニコーン達の所へと降りて行った


上空から見ると深い深い森にぽっかりと穴があいたように見える湖なので、湖のまわりは木々で覆われている

だが所々木々のない開けた場所もあり、そのひとつに馬の群れがいるのが見えた

「あっ、いたわ」

クリスがユニコーン達を指さした

この群れはざっと20頭くらいいるようだ


どんどん高度が下がりユニコーン達に近づくと、群れの中の1頭がこちらに気が付いたようだ

こちらに向かって前足を上げ後ろ足だけで立ち上がっている

すると他のユニコーン達もこちらを向くと、同じように前足を上げた


ユニコーン達から少し離れた所に着地すると、ユニコーン達がどどどと走って来た

「レジナルド!」

「あっ、エリザベス!」

「ヴァレンタインとクリスもいるよ!!」

賑やかなユニコーン達の出迎えを受けて、クリスは嬉しくなった


ユニコーン達は一頭一頭、毛色や模様、体格など様々だ

クリスはレジナルドと共にベイル国へやって来たユニコーンを見つけると声を掛けた

「久しぶり!元気にしてた?」

「うん、クリス!久しぶりだね」

「クラーク国に来てたんだ」

「ようこそ!」


相変わらず騒々しいユニコーン達にクリスはほっこりしてしまった

「ありがとう!」

クリスはそう言うと、近くにいたユニコーン2頭の顔を両手で包み込んだ

「あっ、いいな~」

「ずるいぞ!

クリス、次は僕も!!」

「私が先よ!」

「ふふっ、順番よ」

クリスは微笑むとまた違うユニコーンの顔を抱きしめた


人型になり、そんな様子を眺めていたレジナルドやエリザベスやヴァレンタインの側に違うユニコーンがゆっくり近づいて来た

「やあ、レジナルド

昨日から使い魔が居たから何だろうと思ったら、仲間達の友人を連れて来てくれたのか」


他のユニコーンより身体が大きく角もとても立派ユニコーンがどうやらこの群れのリーダーのようだ

「ああ、そうだよ

本当は君達を呼びよせようと思っていたんだが、仔馬が見えたからね

私達がこちらに来た方がいいかと思ったんだ」

「それは助かる

あの赤子はまだ長距離の移動は無理だからな」


レジナルドの側にいたエリザベスがリーダーのユニコーンに聞いた

「仔馬が産まれたのは随分久しぶりなんじゃない?」

「ああ、エリザベス

久しぶりだね」

リーダーのユニコーンは目を細めた

「そうだね、100年ぶりくらいだろうか?」


普通の馬よりも寿命が長いユニコーンは仔馬もなかなか産まれない

ユニコーン自体が稀なうえに、仔馬のユニコーンが居る事はかなりレアな事だった


「どうぞ、こっちにいるよ」

リーダーのユニコーンは踵を返すと群れの方へと歩き出した

レジナルド達も後に続き歩き出すと、出迎えに来たユニコーン達もクリスとヴァレンタインの横に並んで歩き出した


「すごいんだよ、僕赤子を初めて見たよ」

「私もよ」

「若いユニコーンは初めてだろ」

ヴァレンタインがそう言うと、ユニコーン達は首を上下に振った

「うん、そう」

「ヴァレンタインは見た事あるの?」

「ああ、随分昔に見た事があるよ」

「そうなの?」

クリスが驚いてヴァレンタインに聞くと、ヴァレンタインはにやりと笑った

「ベスと一緒にあいつが産まれたところを見たんだ」

「あいつ?」

クリスとユニコーン達が聞くと、ヴァレンタインは顎でリーダーのユニコーンを指した

「へえ」

「え?」

「………」

「「「「「「えー!!!」」」」」」


クリスとユニコーン達の絶叫が辺りに響くのだった








ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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