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98話 移動

「ヴァル、大丈夫?」

魔獣の姿のヴァレンタインの背に乗っているクリスは心配そうに聞いた

「大丈夫じゃない

あんなに食わせて…」


朝からエリザベスとレジナルドに油っこい物をじゃんじゃん勧められたヴァレンタインは少々、胃もたれぎみになっていた


「すまなかったね」

「あれくらいで弱音を吐かないで

ヴァルは少食なのよ」

同じく魔獣の姿のレジナルドとエリザベスが後ろを振り返りながらヴァレンタインを見つめた


大空を白豹とネコ2匹が駆けている

その後ろからイタチの魔獣が付いて来ていた


クリスたちはユニコーンに会うために南東にあるという湖に向って大空を移動しているところだ

イタチの魔獣はレジナルド専属の護衛騎士・ベネットだ


レジナルドの城から湖までは馬の足で2日程かかるが、大空の移動ならば半日くらいで着く

だが空を駆けるとけっこう魔力を消費するので、途中で休憩も取りつつ移動していた


「昨日、放った使い魔からはユニコーン達の中に産まれたての仔馬がいるのが見えたよ」

「えっ!

仔馬がいるんですか!?」

レジナルドの話しにクリスが興奮した

「昨日、見た感じだと産まれて1,2日といったところかな」

「わあ!」

クリスは大喜びだ

「それもあるからユニコーン達に城に来てもらうより、私達から行った方が良いと思ったんだ」

「それはそうね」

エリザベスが納得した


「わあ〜

ユニコーンの子供が見れるなんて!

なんて素敵なのかしら!」

クリスはヴァレンタインの上で大(はしゃ)ぎしていた

「クリス…あんまり燥ぐな」

「あ、ごめん」

胃もたれ中のヴァレンタインは「うっぷ」となっている


「まったくヴァルはあの程度で…」

エリザベスはやれやれとため息をついた

「急にあんなに食わせるからだ

それに俺は少食じゃないぞ

結構食べる方だ!」

「そんな華奢(きゃしゃ)な身体で言っても説得力がないわよ」

「俺は太りにくい体質なんだ

それにベスだって華奢だ」


確かにエリザベスもヴァレンタインもスラリとした長身だ

クリスにしたら、羨ましい限りだ


「あそこに林があるな

あそこで休憩にしよう」

レジナルドが草原の中に小ぶりの林を見つけて高度を下げた


クラーク国はとにかく国土が広い

レジナルドの城は首都からかなり離れているので、まわりは自然であふれていた

大空を駆けていても草原がどこまでもどこまでも続いていて、はるか地平線までも草原だった

そんな草原の中にぽつんと林があったり、小さな森が出没したりする

たまには沼もあったりもした


今、休憩をしようとしている林も草原のど真ん中にぽつんと出没していた

レジナルドが林の側に着地すると、続いてエリザベス、そしてヴァレンタイン、最後にベネットが降り立った


レジナルド達はぼん!と煙をたてると人間の姿に変わった

クリスもヴァレンタインから降りると、ヴァレンタインもすぐに人型に変わった

「ヴァル、大丈夫?

水でも飲む?」

胃のあたりを押さえているヴァレンタインが心配になり、クリスはヴァレンタインの背中をさすった

「ん~少し水が飲みたいかな」

ヴァレンタインがそう言うと、エリザベスは人差し指を立てて何もない所をちょんと触る仕草をすると、小さな亜空間が開いた

エリザベスはそこに手を入れると、コルクで蓋をしたガラス瓶を取り出した

「はい」

ヴァレンタインはその瓶を受け取るとコルクの蓋をきゅきゅっと回してぽん!と抜くとそのままごくごくと飲みだした


「ベス、その亜空間には何を入れてあるの?」

準備万端なエリザベスの亜空間にクリスは何が入っているのか興味が湧いた

「一応、水やお菓子なんか入れてあるわ

足りなければローズに使い魔を送って向こうから入れさせる事も出来るわよ」


エリザベスの使い魔・ローズマリーは普通の使い魔よりかなりの魔力を注いているため、エリザベスの分身と言ってもいい

エリザベス同様、亜空間まで使えるようだ


「ローズマリーも亜空間を使えるのね?」

「私が創った亜空間を使えるだけよ

ローズ自身で亜空間を創り出す事は出来ないわ」


どれだけ優れた使い魔でも、やはり主程ではないようだ


エリザベスは人数分の瓶を亜空間から取り出すと、皆に渡した

「ローズには定期的に飲み物や食料を入れるように言ってあるから、飲み干しても大丈夫よ」

「助かるね」

レジナルドは瓶を受け取ると木の根元に座ってごくごく飲んだ

エリザベスもレジナルドの隣に座り、水を飲んだ


ヴァレンタインは飲み干して空になった瓶をエリザベスに渡しながら隣に座ったので、クリスもヴァレンタインの隣に座った

「ふ~生き返った」

水を飲み楽になったのか、ヴァレンタインに少し元気が戻ったようだ


木の根元に座っている4人に対して、護衛騎士のベネットは立ったまま水を飲んでいた

「ベネットも座れば?」

クリスが声を掛けるとベネットは真面目な顔でクリス達の方を見た

「ありがとうございます

ですが自分は勤務中のため、このままで大丈夫です」


明るい茶色の髪の毛に青い瞳のベネットは、肌も褐色なのでとても健康的に見える

年齢はヴァレンタインより少し上といった感じだろうか


「ベネットは逞しいわよね…」

エリザベスが小さな声でぶつぶつ言っているのを聞いてしまったレジナルドは、エリザベスがまだ気にしているのかと笑ってしまった


休憩している木々の周りには何もないので、そよそよと心地のよい風が吹いてくる

「ほんと、夏は素敵ね」

エリザベスが風になびく柔らかい金髪を手で押さえながら風を堪能している

「冬は地獄だけどな」

ヴァレンタインが意地悪っぽく言った

「地獄はないだろ

君達が寒がりすぎなんだよ」

レジナルドが反論した

「レジ達は寒さに強いからだ

俺達は寒冷地仕様じゃないんだ」


なに、その寒冷地仕様って


クリスはヴァレンタインにつっこみたい所だったが、ここはスルーしてあげた


「…おや?」

何かに気が付いたレジナルドはどこか遠くを見ているようだ

「旦那様?」

レジナルドが何に気付いたのかわからないベネットは剣に手をかけながらレジナルドを見た


「いや、どうやら湖にユニコーン達以外にも誰がいそうだ」

レジナルドはユニコーンの側にいる自分の使い魔の視界を通した現状を見ているようだった

「誰がいるの?」

エリザベスが聞くと、レジナルドは苦笑いをした


「どうやら仔馬見たさに野次馬が集まってるようだ」

「野次馬?」

「ペガサスだよ」

「ペガサス!?」


まさかペガサスが出て来るとは思ってもみなかったクリスは驚いてしまった







ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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