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93話 押しかけ

湯浴みを終え遅い夕食を軽く取ると、旅の疲れがどっと出て、クリス達は早々に部屋へと戻った


エリザベスはレジナルドのプライベートフロアがある東棟の4階の部屋に戻ると眠る準備を始めた


侍女がエリザベスを夜着へと着替えさせドレッサーの前に座らせると、侍女はエリザベスの柔らかい金髪を梳かし始めた

「奥さま、夏といえどクラーク国の夜は少々冷えますわ

暖かいローズティーなどお召し上がりになりますか?」

「そうね、頂こうかしら」

エリザベスの返事を側で聞いていた別の侍女はすぐに部屋から出て行った


エリザベスの髪を梳かしている侍女は楽しそうだ

「何かいい事でもあったの?」

エリザベスが聞くと、侍女は鏡にうつるエリザベスを見た

「はい!

こうして奥さまのお側で仕えさせて頂き、とても幸せなのでございます」

「あら、それは嬉しいわね」

「使用人達は奥さまにお仕えしたくて大騒ぎだったのですよ」

「そうなの?」

「そうですとも!

尊敬する旦那様の奥様であり、旦那様に匹敵する魔獣でいらっしゃいますもの!

皆、憧れていますわ」

「ふふっ、ありがとう

貴女の名前をきいていなかったわね?」

「エミリーでございます」 

「エミリー、しばらくここに滞在する事になるからよろしくお願いね」

「はい、もちろんでございます!」

エミリーとエリザベスはふふっと微笑みあった


エミリーとそんな話しをしていると、何やらドアの向こう側で言い争っている声が聞こえた

「…何かしら?」

エリザベスが不思議に思っているとエミリーは

「見てまいります」

と言うとブラシを置き、部屋から出て行った


廊下ではお茶を持って来た侍女と茶色の髪の人間の魔法使いが何やら言い争っている

「どうしました?」

エミリーがそう聞きながら二人に近づくと、お茶を運んで来た侍女がホッとした顔になった

「それが…ドロレス様が奥さまに会うと仰って…」


エミリーはため息をつくと

「ドロレス様はこちらのフロアへの立ち入りを旦那様より禁じられておりますでしょう」

と呆れた顔で言った


ドロレスと呼ばれた人間の魔法使いは怒りの形相へと変わった

「私は国王陛下より直々にレジナルド様の身の回りのお世話をするように仰せつかっています!

つまり私は国王陛下がお認めになられたレジナルド様の妻です

私はこの城の女主人ですよ!?

この城で女主人である私が入れない場所はありません!」


エミリーはぎこちない笑顔を作った

「ドロレス様、旦那様も申しておりましたが魔獣(わたしたち)に人間の理は関係ございません

国王が何を言おうが、旦那様の奥さまは旦那様がお決めになられたエリザベス・エヴァ・レイメント様ただお一人です」

「国王陛下に逆らうのですか!」


だ・か・ら!


エミリーは笑顔のまま、心の中で叫んだ


魔獣(わたしたち)には国王が決めた事なんて関係ないって!


そう叫びたいのをエミリーは堪え、ニコニコと笑顔を向けた


「おどきなさい!!」

ドロレスがエミリーの肩を突き飛ばそうとした時に、エミリーが出てきた部屋のドアが開いた

「お、奥さま!」

エミリーは驚いてエリザベスの元へ駆け寄った


エリザベスはエミリーを見るとニッコリ微笑みエミリーの肩に手を置くと、エミリーの背後にいるドロレスを睨みつけた

「人の部屋を訪問するには夜が更けすぎているわ

私に会いたいなら、然るべき時間にまず使者を立ててから来なさい」


ドロレスはエリザベスに正論を言われ、黙ってしまった


エリザベスはくるりと踵を返すと部屋へと戻って行った

エミリーも、そしてお茶を運んで来た侍女もエリザベスに続いて部屋へと入って行った


エリザベスは部屋の中央にあるソファに座るとエミリーも側へ来た

「奥さま、申し訳ございません」

エミリーは深々と頭を下げた


「貴女が悪い訳じゃないわ」

エリザベスはふーっとため息をついた

「レジが関わるなって言ってたのがわかったわ」


お茶を運んで来た侍女はエリザベスの前に温かいお茶を置いた

エリザベスはそのお茶をソーサーごと持つと、右手でカップを持ち一口飲んだ


「旦那様にお話しして、こちらの棟に入って来れないように結界を張って頂きます」

「そうね

念のためにヴァル達がいる棟にも結界を張ってもらって」

「畏まりました」


エリザベスは再びお茶を飲むと、ソーサーにカップを置いた

「私達の結界を破れる程の魔力もないわね」

「はい

そのためか私達の魔力を把握出来ないようです

自分の方が勝っていると思っているようです」


エミリーの説明にエリザベスは目をパチクリさせた

「魔力の力量がわからないの?」

「そのようです」

「………」


更にドロレスは自分の背後には国王がいる事も言っている

「面倒な人なのね」

「はい」


エミリーとエリザベスは「ふーっ」とため息を漏らした


  ♪♫♬  ♬♫♪


クリスは寝室のテラスへと出ていた

昼間は初夏のような気候で爽やかだったが、夜になると空気はひんやりしている


だが空気は澄んでいるのか星が綺麗に見えた

「すごい星空」

あまりの美しさに、クリスは思わず呟いていた


ものすごい数の星が輝き、ずっと見ていても飽きないくらいだ

だが少し身体が冷えてきた


「風邪をひくぞ」

突然ヴァレンタインの声がしたのでクリスは驚いて声がした方を見た


クリスが居るテラスの隣のテラスにヴァレンタインが居た

「ヴァルも星空を見に出て来たの?」

「ああ、ここは空気が澄んでいるからな」

「そうね、とっても綺麗で驚いちゃった」

クリスはそう言うと再び星空を見上げた


「身体が冷えただろう

中で温かいお茶でも飲んで暖まれ」

ヴァレンタインにそう言われ、クリスは星空からヴァレンタインに視線を移した

「ヴァルも冷えたでしょ?

一緒に飲みましょ」


クリスの寝室とヴァレンタインの寝室の間には大きな居間のような部屋がある

この居間は廊下に出ずとも寝室と繋がっているのですぐに向かえる


「そうだな

じゃあ一緒にお茶を飲むか」

ヴァレンタインはそう言うと寝室へと入って行った


クリスもテラスから部屋に戻り、ヴァレンタインとお茶を飲むため居間へと向かうのだった


ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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