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91話 広大

「わあっ」

クリスは馬車の窓から吹き込む風に帽子が飛ばされないように押さえながら外の景色を眺めて声を上げた 


クリスの母国・ルガード国では真夏だが、ここクラーク国は初夏のような爽やかさだ

ルガード国で国王の快気祝いのパーティに出席した後、クリスとヴァレンタインは一旦ベイル国の屋敷へ戻った

クラーク国での滞在準備をして、エリザベスも加わりクラーク国へ向けて出発したのだ


普通に馬車で移動すればベイル国とクラーク国の国境まで3日はかかるが、ここはエリザベスの亜空間を利用して一気に進んだ


本来なら亜空間を利用してエリザベス達の屋敷からレジナルドの城近くまで移動出来るのだが、クラーク国へ始めて来たクリスの為に国境付近まで亜空間で移動し、そこから馬車で普通の道を移動する事にしたのだ


新緑が美しく空気も爽やかで真っ青な空はどこまでも続いている


「本当に気持ちいいわね

以前ここに来た時は真冬だったからたまったものじゃなかったわ」

クリス同様、窓から外の景色を眺めているエリザベスの話しにクリスは不思議になった

「どうして真冬に来たの?」


クリスの問いにエリザベスは「ふーっ」とため息をついた

「レジが冬を体験した方がいい、なんて言うからよ」

「レジナルド様が…」


レジナルド・リー・ウィルソンは白豹の魔獣だ

長くこのクラーク国の魔獣達を統べているので、人間の王から将軍の地位を授かった程の魔獣だ

そしてエリザベスの恋人でもある


以前ユニコーン達から聞いた話しでは、二人は一緒に暮らそうとまでしていたらしい

だがエリザベスがクラーク国のあまりの寒さに耐えれず断念したそうだ


「辺り一面は真っ白よ

雪景色は銀世界なんて美しい表現がされるけど、そんな生易しいものじゃなかったわ!

とにかく寒いのよ!!」

エリザベスはその時の事を思い出したのか身震いした


「滞在する部屋や私達が使う場所はレジが暖かくしてくれていたけど、全部が全部暖かい訳じゃないのよ!?

廊下なんて寒くて凍えるのよ?

ベットの中だって暖まるまで時間がかかるし、お風呂から上がったら寒くて凍るかと思ったわ」

エリザベスはその時の怒りが再び蘇ったようだ


「ベスがあんまり寒がるから魔法で城中を暖かくしたらいろんな物が溶けちゃってさ

レジにこっぴどく怒られたよ」

ヴァレンタインもやれやれといった仕草で話した


「あまりの寒さに帰る事にしたら今度はブリザード?とか言う嵐が起きて5日間も城に閉じ込められたのよ!?

信じられる!?5日も雪が吹き荒れたのよ!!??」


よっぽど寒かったのか、エリザベスの怒りは収まらない

クリスは地雷を踏んでしまったと後悔した

「で、でも今はとってもいい気候よね?

気持ちいいわ」


クリスに言われ、エリザベスははっと我に返るとバツが悪そうに窓の外の景色を見た

「そうね、今はとても心地良いわね」


エリザベスが落ち着いたのでクリスはホッとした

「クリス、ベス、ヘラジカがいるぞ」

「えっ!どこどこ!?」

「まぁ」

ヴァレンタインに言われエリザベスとクリスは窓から外を覗いた


ヴァレンタインは進行方向から斜め左側を指さした

「ほら、あそこ」

「あっ!ホントだわ」


大型の馬車なので窓もとても大きく、クリスとエリザベスは帽子が飛ばされないように押さえながらヘラジカを見た

「もっと大きいかと思ってたけど、大した事ないわね」

「随分、離れてるぞ

近くまで行けばかなり大きいはずだ」

「そんなに大きいの?

ちょっと恐いわ」

クリスが少し怯えると、ヴァレンタインはニッコリ微笑んでクリスの手を握った

「どんなヤツだろうと俺の敵じゃないさ」


確かにそうだろう

魔獣の姿になったヴァレンタインとエリザベスはかなり大きい

今乗っている馬車よりも間違いなく大きい

七又の分かれている長い尻尾も含めればかなりの大きさだ


「それにしても広大な土地ね」

エリザベスが窓から見える、どこまでもどこまでも、どこまでも!続く同じような景色に呆れていた

どこまでも続く草原に一本の道が延々と続いている

たまに林がある程度で、先程見かけたヘラジカ以外動物にも会わない


「北の地はとっても広大だって聞いてたけど、すごいわね」

クリスも関心してしまった

エリザベスは窓の側から座席の真ん中に座り直した

「レジのお城までどれくらいで着くの?」

「今日の夕方には着くはずだ」

「…先は長いわね」

エリザベスは小さくため息をついた


  ♪♫♬  ♬♫♪


日が傾き始める頃、ようやく目的の城が見えてきた

広い草原に突然切り立った崖があり、その崖の上に城が建てられている


白を基調とした美しい城は夕日のため、オレンジ色になっていた


「すごいわ

ものすごく大きなお城があんな崖の上に建ってる」

「もともとは人間が使っていたお城だったそうよ」

エリザベスもクリスと一緒に窓からレジナルドの城を眺めた

「戦で攻め込まれないようにあんな切り立った崖の上にに城を建てたんだろ」

ヴァレンタインは席を立ち、クリスとエリザベスの上から窓の外を見た


確かにあんな崖の上に城があっては、攻め込むには今通っているこの道から行くしかない

しかもかなり大きな城だ

攻め込むにはかなりの人数が必要だろう

だがこの一本道は馬車が通れるくらいの道幅しかない

もし敵が攻めて来ても迎え撃つ事が容易に出来るだろう


クリス達を乗せた馬車はその一本道の坂を順調に進むと大きな門を通った

「門が開いてたわ?」

クリスが不思議そうに聞くと、エリザベスはふっと笑った

「私達が来たからレジがちゃんと門を開けたのよ」

「そうなの?

さすがレジナルド様ね」


門を通ると次第に道幅は広くなり、城の正面まで来る頃には城の左右の角が見えないくらい広くなっていた


正面玄関には大勢の人が集まっていた

その中心にはレジナルドがいる


馬車はレジナルドの前で止まり、御者が馬車のドアを開けた

レジナルドは馬車の中にいるエリザベスを見るとニッコリ微笑み手を差し出した

「ようこそ、ベス」


エリザベスも微笑むと、レジナルドの手を取り馬車から降りた

「お世話になるわね、レジ」

エリザベスに声を掛けられたレジナルドはエリザベスの手に口づけをした

「待っていたよ」

2人は見つめ合うとふふっと笑った


エリザベスの後にヴァレンタインが降り、クリスに手を貸して馬車から降ろしてあげた


「やあ、ヴァルとクリス

疲れただろう?」

「いえ、大丈夫ですレジナルド様」

クリスはニッコリと微笑んだ


レジナルドはエリザベスとヴァレンタインとクリスの前に立つと胸に右腕を当ててお辞儀をした

「よえこそ我が城へ」

レジナルドがそう言うと、レジナルドの後ろで控えていた召使い達も深々とお辞儀をした




ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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