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82話 移動

馬車は快調に森の中を進んだ


「気持ちいいわね」

エリザベスは馬車の窓から森を眺めていた

「この森は人間があまり入って来ないから自然が保たれているんだよ」

ハーバートはエリザベスと一緒に窓の外を見た


恐らくこの世界で種としての数が一番多いのは人間だろう

その為に人間は森を切り開き田畑を作り町を作る


妖精なども集団で暮らしているが、ほとんど森には手を触れずに自然と共存していた


自然を壊すのは人間だけなのだ


クリスは少々、肩身が狭かった

そんな空気の中、馬車は湖へと来ると止まった

湖の辺りには第一の扉がある


「扉を開けるよ」

ハーバートは席を立つと馬車から降りた


ハーバートがどうやって扉を開けるのかクリスは興味津々だ

そんなクリスにヴァレンタインは笑いながら

「降りて見るか?」

と聞いた


「いいかしら?」

「別に構わないだろ」

ヴァレンタインはそう言うと手を差し出した

クリスはヴァレンタインの手を取ると、ヴァレンタインに導かれ馬車から降りた


ハーバートは少し先まで歩いて行くとピタリと止まった

目を閉じて神経を集中すると、ハーバートの背中に蜂の羽のような物が4枚現れた


「ハーバート様は羽があるの?」

クリスは小声でヴァレンタインに聞いた

「ああ、普段は隠してるけどあれが本来の姿だ」

「そうなのね」


そんな話しをしている間に、ハーバートは魔力を集中させ、魔力の溜まった両手を扉に向けた

するとふわりと風が起きて扉が開いた


扉を開けるとハーバートは羽を再び片付け、馬車に向って歩き出した

馬車の側にはヴァレンタインとクリスが立っている

「お疲れさん」

ヴァレンタインに労われたが、ハーバートは何も言わずに馬車に乗り込んだ


やはり人間を通す事が気に入らないようだ


ヴァレンタインはクリスの頭をぽんと叩くと

「気にするな」

と優しく慰めてくれた

クリスも嫌われている人に好かれようなんて無駄な努力はしないタイプなので

「うん」

とあっけらかんと笑った


クリスはヴァレンタインの手を借りて馬車に乗り込み、続いてヴァレンタインも乗り込んだ


レジナルドが背後の壁をトントンと叩くと、馬車はゆっくりと進み始めた

馬車はハーバートが開けた扉を通ると今までいた森よりは木々がさっぱりした森へと入った


馬車は先程と同じように亜空間を(まと)って森の中を進んだ

しばらく進むと第2の扉が現れた

だが既に開いている


「扉が開いてるわ」

クリスか不思議そうにヴァレンタインに聞いた

「さっきハーブが開けたから、全部の扉が開いたんだよ」

「すごい、あの1回で全ての扉が開いたの?」

「ああ、そうだ」


流石に扉を創り出した妖精だ


クリスは関心してしまった


馬車は止まる事なく第2の扉も通過するとすぐに湖が見えて来た

だが馬車は止まる事なく、湖へと突き進んだ


「大丈夫なの?」

「言っただろ?この馬車には魔法が施されているって」

心配するクリスの手をぎゅっと握ったヴァレンタインはウインクをした


馬車はスピードを落とさずに湖に入った

ユニコーンは湖面を走っている

馬車もそのまま湖面を走っていた


「すこいわ、水面を走ってる」

クリスは楽しそうだ


湖の真ん中辺りまで来ると第3の扉が開いているのが見えた

馬車はそのまま扉をくぐると今度は草原に出た

馬車は快調に草原を進むと、やがて第4の扉が見えた

開いている扉の向こうには空が見えている


馬車は止まる事なくそのまま扉をくぐると、馬車は空を走っている


「すごい!馬車が空を走ってるわ」

クリスは大喜びだ

「クリス、はしゃいで窓から落ちるなよ」

ヴァレンタインに言われ、クリスはふくれた

「そんなに覗き込んでないわよ」


だが空を走る馬車が楽しいのか、クリスはすぐに窓の外を見た


しばらくすると第5の扉、最後の扉が見えて来た

空中に扉が開いているのも何とも言えない不思議さだ


馬車は最後の扉をくぐると、最初の湖に戻った

ここでようやく馬車は止まった

すると外から

「王さまー!」

と叫び声がした


シドだ

シドは扉を開けたのがハーバートだと気付くと、ここでハーバートが来るのを待っていたのだ


ヴァレンタインはクリスの手をとって馬車から降ろしてあげると、次はレジナルドが同じようにエリザベスをエスコートした

そして最後にハーバートが馬車から降りると、シドはハーバートに抱きついた


「もう!どこに行っていたんですか!?

何も告げずに行かれるから心配したんですよ!!」

ハーバートはしがみついているシドを引き離そうとするが、シドは離れない

「少し外に出ていただけだろ、大袈裟なんだから」

「ご自分の立場をお考えください!!」


ここはハーバートが謝らないとシドは離れないと悟ったハーバートは諦めた

「ああ、すまなかったよシド

次からはちゃんと告げるよ」

「全くです!ちゃんと守って下さいよ!!」

シドはそう言うと、ようやくハーバートから離れた

そしてやっとハーバートの他に人が居た事に気が付いた


「あ、エリザベス様とヴァレンタイン様

またいらしたんですね

あ!この前の人間も!!

おやレジナルド様、お久しぶりです」


レジナルドはニッコリと微笑んだ

「やあシド、久しぶり

今回はドラゴンに呼ばれたんだ」

「そうなんてすね

って、何で人間を連れて来たんですか!?」

シドはレジナルドに詰め寄った


「ドラゴンがクリスティーナ嬢に会いたいと言ったんだよ」

レジナルドの言葉にシドはキョトンとしてしまった

「ドラゴンが?」

「ああ」

「人間を?」

「そう」


ここでシドはフリーズしてしまった


ハーバートはフリーズしたシドを放っておいて

「それじゃ村へ行こうか」

と進み出した


ハーバートに続きレジナルドとエリザベス、ヴァレンタインとクリスが続いた


シドはまだフリーズしている


湖から森に進むと大きな木があり、その木は根元がパックリと二又に分かれている

優に人が2人くらい並んで入れるくらいの大きな穴だ

ハーバートがその根元の穴に入り、レジナルド達も後に続いて根の中に入った


木の根をくぐるとそこは広い空間だった

「ヴァル?」

クリスは訳がわからなかった


「あの木の根は亜空間の入り口だ

ここは亜空間の中に造られた妖精の村だ」


どうやら村の中央の広場に繋がっていたようだ

周りには木を利用した家が立ち並んでいる


ハーバートはクルリと振り返ると

「ようこそ、妖精の村へ」

と挨拶をした






ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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