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79話 召喚

夕食の後レジナルドは話しがあると言い、全員をサロンへと集めた


応接セットの長椅子にはエリザベスとクリスが、そしてその向かい側の長椅子にはレジナルドとハーバートが座った

ヴァレンタインは一人掛けのソファに座っている


「まず順を追って説明しよう」

レジナルドが話しを始めた


「私はドラゴンに呼ばれてこの地に来た

ドラゴンは外の世界で異質な魔力を感じたからだ

そしてその異質な魔力はクリスティーナ嬢によるものだった」

「え?」


この中で唯一ハーバートだけがクリスの太古の魔力の事を知らない


「彼女の魔力は至って普通だよ?

まだ若いから魔力も弱い」

「普段はね」

レジナルドはニッコリと笑った


「クリス、太古の魔力を開放して」

「うん」

エリザベスに言われ、クリスは頷いた


「太古の魔力?」

ハーバートが(いぶか)しがっている間に、クリスの魔力はガラリとその性質を変えた

「…これは?」


「恐らくクリスは先祖返りをしたのよ

だから昔の魔力、マリア グアダルーペに近い魔力を持っているの」

エリザベスは今朝、レジナルドと話しをしたクリスがマリア グアダルーペの魔力を受け継いでいるのかもしれないという事は伏せておいた

それはあくまでもレジナルドの憶測にすぎない

まだ何もハッキリとわかってはいないのだ


「そんな事が…」

ハーバートは信じられないといった表情だ

妖精の大嫌いな人間が、全ての祖であるマリア グアダルーペに近い魔力を持っている事は許せない事だった


「そしてクリスティーナ嬢はヴァルの伴侶として伴に生きたいと願っている

私はドラゴンにこのふたつを伝えたんだ」

「そしたらドラゴンは何て言って来たんだ?」

黙って聞いていたヴァレンタインが聞いた

レジナルドはヴァレンタインに視線を向けるとニヤリと笑った


「ドラゴンはクリスティーナ嬢を連れて来いと言って来たんだ」

「ええっ!?」

「へぇ」

「まぁ」

「………」

クリス、ヴァレンタイン、エリザベスの反応は普通だが、ハーバートは怒りが込み上げていた


「クリスティーナ嬢、私と一緒にドラゴンの元へと行ってくれるかな?」

「えっ!あの…」

クリスは突然の事なので少々パニック状態だ


「レジ、クリスを連れて行くなら俺も行くぞ」

「そうねぇ、私も久しぶりにドラゴンに会いたいわ」

ヴァレンタインとエリザベスの申し出に、レジナルドはやれやれといった顔になった

「君達ならそう言うと思っていたよ

別に構わないよ

ドラゴンも久しぶりに君達に会えたら喜ぶだろうしね」

「じゃあ決まりだな」

ヴァレンタインは楽しそうだ


ヴァレンタインは一人、納得がいかないような顔をしているハーバートを見つめた

「ハーブ、早速扉を開けてもらうぞ」

「え?妖精の村に行く扉を?」

クリスは何故ここで扉の話しになるのかわからなかった


「ドラゴンのいる場所へは妖精の村を通って行かなくてはならないのよ」

エリザベスがクリスに教えてくれた


「そうなの?

あ、だからレジナルド様はここまでいらっしゃったのね?」

「そうだよ」

レジナルドはニッコリと微笑んだ


ヴァレンタインはハーバートを睨みつけた

「ハーブ、クリスがいるから扉は開けないとか言わないだろうな?

まぁそれならそれで、今度はしばらく扉が使えないくらいぶっ壊すだけだがな」

「ヴァル、乱暴な事は言わないの」

エリザベスは暴れたそうなヴァレンタインを止めた


「ハーブ、クリスティーナ嬢を連れて来て欲しいと言っているのはドラゴン本人だ

これを拒絶する事は無意味だよ」


ハーバートはしばらく黙って考えた

人間を再び神聖な空間に入れる事は許せない

だがその神聖な空間を創り上げているドラゴン(ほんにん)が人間を連れて来いと言っている


ハーバートたち妖精はあくまでもドラゴンが創った神聖な空間の番人だ

ドラゴンの意思に意義を唱える事など出来る訳がなかった


「…わかったよ、扉を開けるよ」

ハーバートはかなり苦しそうにそう呟いた


クリスはそんなハーバートに悪いと感じてしまった


「あ、あの…

私がドラゴンの元へ行ってもいいのでしょうか?

私でなくてもヴァルやベスが行けば大丈夫なのでは?」

クリスは恐る恐るレジナルドに聞いた


たがレジナルドは首を横に振った

「いや、ドラゴンは()()()()()()()()に会いたいんだ

ベスやヴァルじゃない」


エリザベスはクリスの背中にそっと手を当てた

「大丈夫よ、クリス

私やヴァルも一緒に行くわ

上手くいけばドラゴンがクリスの寿命を延ばしてくれるかもしれないし」

「そうだぞ、クリス

なーにドラゴンは寝てばかりの大人しい奴だ

図体はデカイが優しいヤツだよ」

「う…うん」


いや、ドラゴンが恐いとかじゃなくて、ハーバート様がとてもイヤそうだから…


とクリスは思ったが、それを言う事は出来なかった


「よし、レジ!

いつ出発する!?」

ヴァレンタインはワクワクしている


「ヴァル、準備も必要だからすぐに出発は出来ないわよ

レジもそれでいいわね?」

エリザベスははしゃいでいるヴァレンタインと違い冷静だ


「ああ、もちろんだとも

そちらの準備が出来たら出発しよう

ハーブもそれでいいかな?」

レジナルドは怒りを堪えているハーバートに聞いた


ハーバートは「ふーっ」と一息つくと

「ああ、それでいいよ

ただし、ドラゴンの所へは僕も一緒に行くよ」


「ハーブも行くのか?」

意外すぎてヴァレンタインが驚いている


「ドラゴンの創った神聖な空間の番人として、人間を入れる事は許せない

だけど、その空間を創ったドラゴンがそう望んでいるならそれに従わなくては…」

ここまで話すと、ハーバートはキッとクリスを睨んだ


「ただやはり人間をあの神聖な空間に入れる事には抵抗がある

たから僕が番人として一緒に行くのは当然の事だと思うよ」


レジナルドはやれやれとため息をついた

妖精の人間嫌いは筋金入りだ


怒りのあまり、その人間と行動を共にするという事に気付いているのか?と心配になってしまうのだった


ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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