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75話 レジナルド

「クリスティーナ・ルナ・オルドリッジです」

ヴァレンタインの訳のわからない紹介を無視して、クリスはレジナルドに挨拶をした


「オルドリッジ?

ではルガード国の魔法使いかね?」

「はい」


さすが長く生きている魔獣だ

魔法使いの家系を把握している


「私はレジナルド・リー・ウィルソンだよ

よろしく」

「ウィルソン?」


どこかで聞いた事がある名だ

クリスはどこで聞いたか思い出そうと必死に考えた


そんなクリスを見て、レジナルドはニッコリと微笑んだ

「私は北の地を統べている

人間が私にこんな名を付けたのだよ」

「あ、ウィルソン将軍!」


クリスはようやく思い出した

北の地方を広く統べる魔獣はその土地の守護をしている

大昔に北の地に住む人間の王がその魔獣に敬意を表して苗字と将軍の地位を授けたのだ


クリスは慌てて深くお辞儀をした

「も、申し訳ございません

まさかウィルソン将軍とは存じませんで…」


レジナルドは急にお辞儀をしたクリスに驚いたが、すぐに「ははは」と笑った

笑われたクリスも驚いて顔を上げてレジナルドを「?」という顔で見つめた


「そんなに畏まらなくても良いよ

それは人間が勝手にくれたものだ

私はあくまでも魔獣だ」

「いえ、そんな!」


恐縮するクリスの肩をヴァレンタインがぐいっと抱き、自分の横に引き寄せた

「クリス、レジも俺も人間がくれた爵位や地位を利用する時もあるけど、ここではそれは必要としていない

レジの言うとおり、気にするな」

「え…うん」


ヴァレンタインにそう言われ、クリスは納得した


「こんな所で立ち話もなんだから、中へどうぞ」

エリザベスが皆を屋敷の中へと誘った

「そうだな

レジ、行こうか」

「ああ」


そう言うとヴァレンタインはクリスの手を取って歩き始めた

レジナルドはエリザベスにそっと手を差し伸べると、エリザベスはニッコリ微笑んでその手を取って歩きだすのだった


  ♪♫♬  ♬♫♪


応接室に案内されたレジナルドは長椅子に座り、その向かい側にはエリザベスとクリスが、そして上座にはヴァレンタインが座った

使い魔がお茶を運んで来たので、ようやく一息つけた


「ヴァル、彼女は餌ではなく婚約者なんだろ?」

「そうだ」

「なら最初からちゃんと婚約者と言えばいいものを」

「本当にヴァルには困ったものだわ」

エリザベスは小さくため息をついた


レジナルドはチラリとクリスを見た

「クリスティーナ嬢はなにやら変わった魔力をお持ちのようだ」


レジナルドの一言にクリスだけではなくヴァレンタインもエリザベスも驚いた

今は魔法を使ってはいないのにクリスの魔力を読み取ったのだ

しかも普段使っている魔力ではなく、奥にしまい込んでいる太古の魔力の方を読み取ったのだ


「この魔力には覚えがある…」

レジナルドは顎に手を当てて少し考えたがすぐに答えを見つけた

「マリア グアダルーペだ」


すごい!

としか言いようがなかった


「さすがレジね、気が付くなんて」

エリザベスが感心した


「なるほどな…それでか」

「「「?」」」


レジナルドは納得したようだが、クリス達にはわからなかった

「何がなるほどなんだ?」

代表してヴァレンタインが聞いた


レジナルドは「ああ」と気が付くと

「私がこちらに用事があるという事は話してあっただろう?」

「ああ」

「ドラゴンに呼ばれたんだ」

「「「!!」」」


驚いたヴァレンタインとエリザベスだが、クリスは恐る恐る質問をした

「あの…ドラゴンは存在しているのですか?」


クリスの質問にヴァレンタイやエリザベス、そしてレジナルドも驚きクリスを見つめた

「ははは、そうか人間はドラゴンの存在を知らないんだったな」


思わずウケてしまったレジナルドだが、その言い方でドラゴンがこの世に存在する事が真実だとクリスは確信した

「存在するのですね」

「ああ、いるとも

ただドラゴンは外には出て来ない」

「どこにいるんですか?」


クリスの問いに一瞬、レジナルドが黙ってしまった

ドラゴンは絶滅していると考えていた人間にドラゴンの居場所を教えれば、またいらない紛争が起きるかもしれない


大昔、人間はドラゴンの血や肉、目や皮に至るまで全てを欲して、そしてドラゴンを狩った

人間ごときはドラゴンの敵ではないが、人間は知恵と道具を使ってドラゴンに挑み、そして勝利していた

再びドラゴンの存在を知れば、人間はまたドラゴンを狩るだろう

そんな人間にドラゴンの居場所を教える事は出来るはずもなかった


「それは言えないな」

レジナルドの冷静な一言に、クリスは聞いてはいけない事だと悟った


「失礼しました」

「いや、君達人間が絶滅したと考えているドラゴンがまだちゃんと居たんだ

しかもあの巨体だ

人間の目に触れず、どこに居たのかと思うのも不思議ではない」


レジナルドはクリスの気持ちを汲んでくれていた


「で?そのドラゴンがどうしたんだ?」

ヴァレンタインが横道にそれてしまった話しを元に戻した

「ああ

ドラゴンが『外の世界で異変が起きた』と言って私を呼び寄せたんだ」

「それがクリスのこの魔力だと?」

「恐らくな」

「すごいな、ドラゴンは

あんなに離れているのに、クリスの太古の魔力を感じたのか」

「太古の魔力?」


今度はレジナルドが聞いた

エリザベスはクリスを見ると、そっとクリスの背中に手を当てた

「クリス、太古の魔力を解放して」

「あ、うん」


エリザベスに言われ、クリスは集中した

身体の奥の奥…まるで箱にしまわれているかのような太古の魔力の蓋を開けた


「ほう…!」

レジナルドは感心した


「私は恐らくクリスは先祖返りをしたと考えているの」

「なるほどな」

レジナルドはそう言いながら手を伸ばした

「手を」

クリスはそう言われ、レジナルドの手に自分の手を乗せた


レジナルドは目を瞑ると神経を集中した

クリスはまるで何か探られているような感覚がした


「確かにマリア グアダルーペと同じ魔力だ」

「でしょ」


レジナルドはそう言うとクリスの手を離した

長椅子の背もたれに身体を預けると「ふう」と一息ついた


「ベス、君が私に聞きたい事があると言ったのはこの事かい?」

「いえ、違うわ」


レジナルドは意外だったのか目を丸くした

「では何だい?」


エリザベスは再びクリスの背中に手を当てると

「この子の寿命の事よ」

と切り出した






ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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