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70話 宥恕

「ベス!」

「エリザベス!!」


クリスとハーバートが振り返るとそこには笑顔のエリザベスが立っていた

ハーバートは愛しのエリザベスが笑顔で立っているので嬉しくなってエリザベスの元へと駆け寄ったが、クリスは『ヤバい』と思っていた


あのエリザベスの笑顔は怒っている時の笑顔だ

よくヴァレンタインがやり過ぎた時に叱る直前の笑顔だった

だがハーバートはそんな事は知らないので、エリザベスの笑顔に引き寄せられてしまっている


「ハーバート、よく来たわね」

「ああ、エリザベス

君の機嫌を損ねてしまったから心配になって来てしまったんだよ」

「それで私の結界を破って侵入したと?」

「え?ああ」


ああ、ハーバート様

私よりベスとの付き合いが長いのに、どうして気付かないの


クリスは頭を抱えてしまった


「私の張った結界に無断で侵入するなんて、失礼だとは考えなかった?」

「え?」

「私達の種族は縄張り意識が強いわ

特にヴァルの方が強いわね

そんな私達のテリトリーに無断で侵入するなんて、覚悟は出来てるんでしょ?」

「えっ!いや…そんなつもりは…」

ハーバートは焦り始めた

ようやくクリスが言ったように、エリザベスが怒っている事に気付いたようだ


「いやっ…だって君たちだって昨日は僕たちの村に無断で…」

ハーバートはエリザベスの怒りを鎮めようと必死に言い訳をした

だがエリザベスはキッとハーバートを睨みつけると

「じゃあ聞くけど、私達が遣いを出して貴方にお伺いを立てたとしましょう

貴方はどんな返事をする?」

「もうろん歓迎するよ」

「人間が一緒でも?」

「いや、それは…」

ハーバートはごにょごにょと黙ってしまった


「もし今、貴方が私に遣いを寄こしたら、私は貴方を迎えたわ

わざわざ結界を破らなくても」

「ごっ、ごめん!エリザベス」


エリザベスはふーっとため息をついた

「まぁ今回はこの辺で勘弁してあげるけど、次からはちゃんと遣いを寄こしてちょうだいね」

「ああ、もちろんだともエリザベス

本当にごめんよ!」


エリザベスは必死に謝っているハーバートからクリスへと視線を移した

「クリス、屋敷に戻りましょう

ハーバート、お茶でも入れるからどうぞ」

「あ、ありがとう!」


ベスがこの程度で許してくれて良かった


クリスはふーっと安堵のため息ついたのだった


  ♪♫♬  ♬♫♪


屋敷に戻った3人は応接室へとやって来た

テーブルを挟んで長椅子がありエリザベスとクリス、そして向かい側にハーバートが座った


「エリザベス、ティーセットとお湯の準備だけしてもらえるかな?

お茶は僕が淹れるよ」

ハーバートは持参したお茶の葉が入った袋をポンと召喚した

「あら、ありがとう」

「君は僕達のお茶を気に入ってくれているからね」


ああ、ハーバート様

なんて健気なのかしら


クリスは一生懸命なハーバートに関心してしまった


しばらくすると使用人の使い魔がティーセットとポットを運んできた

もちろんお菓子もある

少し早いが、午後のティータイム突入だ


「ヴァルを起こしてこなくていいの?」

クリスが聞くとエリザベスはにっこり微笑んだ

「さっきも言ったけど、私達は縄張り意識が強いのよ

ヴァルもハーバートが侵入した事には気づいているわよ

ただ相手がハーバートだから放っておいているんでしょうけど、そのうち来るわよ」

「そう」


クリスとエリザベスがそんな話しをしている間に、ハーバートはテキパキとお茶を淹れている

使い魔もお菓子を並べると部屋から出て行った

ヴァレンタインがいつ来てもいいようにちゃんと4人分、準備してあった


ハーバートは淹れたてのお茶をエリザベスの前へ置いた

「さ、どうぞ」

「ありがとう」


続いてクリスの前にも置いた

「あ、ありがとうございます」


さすがにエリザベスの手前、クリスにお茶を淹れない事は出来なかったのだろう

だが無言でお茶を置くあたり、クリスにお茶を淹れたのは不本意の表れだと感じた


エリザベスはお茶を一口飲むと

「それで?今日はどうしたの?」

と聞いた


ハーバートも自分で淹れたお茶を一口飲んだ

「その…レジナルドは来るのかい?」

「レジ?

昨日レジに使い魔を放ったばかりよ

まだ返事も来ていないわ」

「そうなんだ

でもレジナルドには連絡を取ったんだね」

「?」


エリザベスはしょんぼりしているハーバートを不思議そうに見た

「レジに早く会いたかったの?」

「違うよ!」


もう、ベスったら


クリスは二人の会話をケーキを食べながら黙って聞いていた

でもこのお茶、本当に美味しい

ケーキによく合うわ


クリスは二人の会話より、お茶とお菓子の方に興味が向いていた


「レジは北の地を統べる魔獣よ

来て欲しいと言ってもすぐには来れないわよ」

「そうだね」


ハーバートは少しほっとした様子で再びお茶を飲んだ

すると部屋のドアが開き、ヴァレンタインが入って来た


「お茶をしているなら呼んでくれよ」

「あら、ヴァルは昼寝を邪魔されると怒るじゃない」

「ハーバートのお茶だったら、昼寝よりこっちだろ」

そう言いながらヴァレンタインは一人掛けの椅子に座った


ハーバートはヴァレンタインにお茶を褒められるとぱあっと笑顔になった

「待っててくれ、すぐに淹れるよ」


ヴァレンタインはその間、クッキーをつまんでいる

「クリス、ケーキばっかり食べると太るぞ」

「大丈夫よ!その分ヴァルとベスに修行させられているから」

「じゃあ後でそのケーキの分、修行するぞ」

「え~」


お茶を淹れ終わると、ハーバートはカップをヴァレンタインの前に置いた

「君達が彼女を指導しているの?」


ヴァレンタインはお茶を受け取るとすぐに一口飲んだ

「ん?ああ、そうだ」

「何でまた人間に魔法の修行をしているの?」

「そりゃ、美味しくするためだ」


「「「………」」」


ヴァレンタインは以外全員が黙ってしまった


当初の目的はそうだったかもしれないが、今はヴァレンタインにとってクリスは大切な伴侶だ

クリスとエリザベスはわかっているが、ハーバートには意味不明の説明となってしまった


「ヴァル、黙ってお菓子でも食べていなさい」

「え~何でだよ」

エリザベスは米噛みを押さえながらヴァレンタインを黙らせた






ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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