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67話 妖精王

エリザベスが孔雀の使い魔を放ってすぐだった

遠くの方から鳥の群れがこちらに向かって来るのが見えた


「ベスが怒ってるから慌てて来たな」

ヴァレンタインは鳥の群れを眺めながら笑っている


鳥の群れが近づくと、それは鳩だとわかった

20羽ほどいるだろうか

鳩の群れはざーっとクリス達の目の前を通過すると、一斉にシドをつつき始めた

「いたっ!いっ!!止めて下さい、王よ」

シドは鳩から身を守ろうと腕で顔や頭を庇うが、鳩たちはお構いなしにつついてくる

するとその中の一羽がエリザベスの所へとやって来た


鳩はエリザベスの目の前ですうっと人へと姿を変えた

薄い水色のような、緑色のような髪と真っ青な瞳の青年だ


シドと同じように布を身体に巻き付け帯で留めている

だがシドとは違い、明らかにネックレスやブレスレットなどの装飾品の数が多かった


「やあ、エリザベス

ひさしぶりだね」

「ええ、ハーバート」


やっぱり妖精王のハーバート様だ


クリスは驚いて、思わずヴァレンタインの背中に隠れてしまった

そんなクリスの様子に、ヴァレンタインはくすっと笑っている


「ごめんね、シドが君を怒らせたようで」

「そうよ」

ハーバートはエリザベスの手を取るとそっと口づけを落とした


「王!私の話しも聞いて下さい!いてっ!

と、とにかくこの鳩たちを落ち着かせて下さい!」

シドはまだ鳩に絡まれている


ハーバートはエリザベスの手を取ったまま、ジト目でシドを見た

「こら、シドニー

エリザベスの機嫌を損ねるなんて、何て事を仕出かすんだ」

「だ、だってエリザベス様が人間なんかを連れて来られるから…いたいって!」


シドの言葉にハーバートはヴァレンタインの後ろに隠れているクリスを見た

「ああ、確かに人間だ」


そう言ったハーバートの顔は明らかに不快を表していた


「ハーバート、話しがあるのよ

まさかここで話しをしろとは言わないわよね?」

エリザベスに言われ、ハーバートはすぐにクリスからエリザベスへと視線を移した


「もちろんだとも、エリザベス

僕本人に会わずに帰られたりしたら、シドをもっとつつくよ」

「王!早く鳩を止めて下さいってば!!」


今エリザベスの目の前にいるハーバートは使い魔だ

だがクリスはこんな精工な使い魔は見たことがなかった


エリザベスやヴァレンタインの使い魔を見た事がないが、きっと2人の使い魔も精工なのだろう


「それじゃあ、行こうか」

ハーバートがそう言うと、シドを突いていた鳩たちが一斉にエリザベスとヴァレンタインとクリスの周りを飛び始めた

鳩たちは時計回りでぐるぐると3人を囲むように飛んでいる

しばらくすると空間がぐにゃりと歪んだ


いわゆる移動魔法の多人数版ね


クリスたち魔法使いは自分だけを移動させる移動魔法を使う

このように自分以外の人間をまとめて移動させる魔法は大魔法使いにしか出来ない大技だ


空間が歪んだがその空間がハッキリすると、クリス達は広い部屋にいた

その部屋は人間が住まうような屋敷の一室のようだった


部屋は大きな窓が多く、外の光が入り込んでいてとても明るい

人間の部屋と違って装飾品などはないがいたる所に植物があり、中には花も咲いている

切り花のような物ではなく、どうやら建物の一部として構成されているようだ

机や椅子なども木製だが、とても立派な細工をされている

繊細な彫刻が施され、宝石なども使われていた


広い部屋の中央には長方形の机があり、上座には一人掛けの椅子がありその左右には長椅子が向かい合わせである

ハーバートはエリザベスの手を取り、エリザベスを長椅子へと座らせた


ヴァレンタインとクリスも後に続き、エリザベスの隣に座った

ハーバートは王らしく、一人掛けの椅子に腰を下ろした


ハーバートがパチンと指を鳴らすと、ふわりと机にお茶の入ったティーカップが現れた

「人間がいるからね

皆、恐がって近づきたがらないからこんな形でお茶を出す事を許しておくれ」

「仕方ないわ」

エリザベスはそう言いうと、すっとお茶に手を伸ばし一口飲んだ


「ここのお茶は相変わらず美味しいわね」

エリザベスにそう言われ、ハーバートはにっこり微笑んだ

「そうかい?君にそう言われると嬉しいな」


ヴァレンタインとクリスもお茶を一口飲んだ

とても良い香りがする

濃厚だが苦味はなく、とてもさっぱりして飲みやすいお茶だ

「美味しい」

クリスは思わず呟いてしまった

ヴァレンタインも美味しいのか、黙って飲んでいる


2人の様子を見ているハーバートだが、その目は明らかにクリスを観察していた

クリスもその視線には気づいているので、ちょっと居心地が悪い

クリスはギクシャクしながらお茶をソーサーに戻した


ハーバートはそんなクリスからエリザベスに視線を移すと

「それで今日はどうしたんだい?

君の方からここに来るなんて珍しいね」

「ええ、実は貴方にお願いがあるの」

「お願い?」


エリザベスは左手に持っているソーサーにカップを置くと、それを机に置いた

「まずは紹介をするわね

この子はクリスティーナ・ルナ・オルドリッジ」


エリザベスに紹介され、クリスは椅子から立ち上がるとハーバートに向かってお辞儀をした

「初めまして、クリスティーナ・ルナ・オルドリッジです」


ハーバートはクリスを怪訝な顔つきで見つめた

「オルドリッジ…確か魔法使いの家系じゃなかったかい?」

「はい」


すごい!妖精王は人間社会の魔法使いを把握しているんだ


クリスは驚きを顔に出さないように気を付けた


「エリザベスが連れて来たから普通の人間じゃないと思ったけど…

だが例え魔法使いでも人間は人間だ

ここは人間が来るような場所ではない」

「申し訳ございません」


はなっから歓迎されないのはわかっていたが、シドといいハーバートといいやはり当たりがキツイ


「ハーバート、そんなに邪見にしないで

この子はヴァルの伴侶なのよ」

「「え」」


ハーバートの驚いた声とシンクロした声があり、クリスは辺りを見渡すといつの間にか部屋にシドがいた


「ヴァレンタイン君の伴侶!?」

「そうだ」


ヴァレンタインの返事にハーバートは驚いたのか、ヴァレンタインとクリスを交互に見ている

だがエリザベスはそんなハーバートにお構いなしで話しを続けた


「この子に貴方の祝福を授けて欲しいのよ」


エリザベスの言葉に、一瞬でこの部屋にブリザードが吹き荒れたように感じてしまったのはクリスだけではないだろう








ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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