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66話 使い

「そうね、場所で言えば()()はもといた湖ね」


エリザベスの言い方だと、何かが違うようだとクリスは考えた

「もといた湖とはどこか違うの?」

「そう、空間が違うの」

「空間?」


クリスはますます解らなくなってきた


「扉をいくつも通ったでしょ?」

「うん」

「ひとつ通る度に場所は同じでも空間を移動したの

だから()()はもといた湖ではあるけれど、この空間には妖精以外は存在していないわ」

「っていう事は、例えばルガード国へ行っても建物なんかはあるけど人間はいないって事?」

「そうよ」

「………」


クリスはよくわからないが、深く考えるのは止める事にした

とにかく()()には妖精だけがいるとだけ認識しておこう


「来たぞ」

クリスに説明をしていたエリザベスはヴァレンタイに声を掛けられ、ヴァレンタイの視線の先を見た


湖とは反対側の森の方から1人の男性が現れたのだ


男性は緑色の髪に深い緑の瞳だ

服装は見たこともない、生地を巻き付けて帯で止めているような服装をしている


男性はこちらに近づくとニッコリと微笑んだ


「エリザベス様とヴァレンタイン様

お久しぶりです」


男に話し掛けられ、エリザベスはヴァレンタインの隣へと移動した

「シド、久しぶりね」

「はい」

シドと呼ばれた男性は返事をすると、軽く会釈した

だが顔を上げると、今度はヴァレンタインをキッと睨みつけた


「ヴァレンタイン様!

何度も申し上げておりますが、訪問なさるなら使いを寄こして下さい!

毎回毎回、扉を壊されては迷惑です!」


あ、やっばりあれって扉を壊してたんだ


クリスはなんとなく開けてるというよりは壊しているような気はしていた


「言っとくけど俺が開けたのは最初の2つだけだぞ

あとの扉を開けたのはベスだ」

「あれは開けたのではなく、壊しているんですよ!」


シドはヴァレンタインにそう言うとすぐにエリザベスの方へと視線を移した

「エリザベス様のような美しく優雅な方がそのような破壊的な事をなさる訳がございません」

「そうね」


おいっ!!


エリザベスの返事にヴァレンタインとクリスは同時に心の中で突っ込んだ


シドは次にクリスへと視線を移した

「こちらの方はお初にお目に…」

まで言って固まってしまった


「…人間?」

「そうだ」

クリスの代わりにヴァレンタインが返事をした


「………」


シドはしばらく思考が停止したようだ

だがはっと我に返ると、ヴァレンタインの襟首を掴んだ

「な、何考えるんですか!?

人間をここに連れて来るなんて!!」


シドはギリギリとヴァレンタインの襟首を絞め上げている


「まあ、いいじゃないか」

「良くないですよっ!!」


シドは涙目でヴァレンタインを怒鳴り付けた


「あ、あの…ごめんなさい

用が済めばすぐに出て行きます」

クリスはヴァレンタインを助ける為にシドに近づいた


シドはギロリとクリスを睨みつけた

「それだけではダメです

またここに来ないとは限らない」

「来ません

って言うか来れません」


クリス1人の力でこの妖精が暮らす空間に来るのは不可能だ

ヴァレンタインかエリザベスに連れて来てもらう以外、ここに来る(すべ)がない


「貴女はもう来なくても、我々の存在を知った人間が来ないとは限りません」

「いや、来れないと思います」


どこにあるかもわからない扉をヴァレンタインやエリザベスのように力尽くで開けるのも大変だが、その扉が湖の上やら空中にあるのだ

人間がその扉をくぐってここに来る事はほぼ無理だ


「まあ、シド

それは置いておいて」

「置いておけないですよ!」

「ハーブに会いに来たのよ」


シドの言葉を無視してエリザベスは自分の用件を話した


毎回思うが、エリザベスは相手を気にせず自分の用件を話す

ヴァレンタインがカラスの魔獣・トレイシーと言い争いをしていても、お構いなしに自分の話しを始めてしまうのだ


シドはしばらく口をぱくぱくさせたが、しばらくすると「ふうっ」と一息ついた

「王にお会いになるならば、この人間を帰してからにして下さい」

「いえ、クリスも一緒にハーブに会うわ」

「そんな!ダメです!!

と言うか、王がお怒りになります」


エリザベスはニッコリと微笑んだ

「シド、私がそう言っているのよ?」

「うっ」

シドは黙ってしまった


ベスって妖精界(ここ)でどれだけの地位があるのかしら?


話しを聞いていると、どうやらシドは妖精王・ハーバートの側近のようだ

エリザベスはそのシドに命令をしている

そして妖精王を恐れたり崇めたりもしていない


そう、妖精王と同等という感じがした


「わ、わかりました

ですが人間を我々の都市に入る事は私の判断では決めかねます

一度、王にお伺いを立ててからでもよろしいですか?」

「その間、私達にここで待てと言うの?

このエリザベス・エヴァ・レイメントに?」

「うっ」


シドは再び困ってしまった


エリザベスはそんなシドを見て、ため息をついた

「貴方がここに来たという事は、ハーブも私達が来ている事を知っているわよね」

「はい」


エリザベスはそれだけ確認すると、すっと右腕を伸ばした

すると大きな一羽の鳥が姿を現した


使い魔だ

これは魔法使いもよく利用するので、クリスはすぐにわかった

だが現れた鳥は見たこともない姿をしている


真っ白な羽根に頭には長い鶏冠、そして尻尾も長く垂れている


現れた白い鳥はばさりと羽ばたくとどこかへ飛んで行ってしまった

クリスはその鳥を見送るとエリザベスに聞いた

「ベス、あんな鳥、見たことがないわ」


クリスに言われ、エリザベスは「ああ」と気が付いた

「あれは孔雀の大昔の姿よ」

「孔雀なの?」

「そうよ

現在(いま)の孔雀は随分姿が変わってしまったわね

でも同じ孔雀よ」

「ようするにベスの使い魔は古いんだよ」


ヴァレンタインがいらない一言を言ってしまった

ごん!

とすごい音がしたかと思ったら、ヴァレンタインは頭を抱えている

エリザベスに殴られたようだ

あまりの速さにクリスは見えなかったが…


今のはヴァルが悪いから仕方ないわよね


クリスはそう考えながら、ヴァレンタインの背中を摩るのだった




ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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