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64話 移動

翌日、クリスとエリザベスとヴァレンタインは妖精の村へと出発する為に早起きをした

屋敷の外に出ると、ようやく空が白々と明るくなり始めているような時間だ


ネコ科のエリザベスとヴァレンタインにとっては活動時間なのでこの2人は元気一杯だが、反対にクリスはまだ眠いのか目をこすっていた


「妖精の住む場所は遠いの?」

クリスが聞くとエリザベスは「ん~」と考えた


「遠いと言えば遠いし、近いと言えば近いわ」


クリスは寝起きなので、まだ頭がしっかりと目覚めていない

エリザベスに難しい事を言われても「?」となってしまった


ヴァレンタインは身体をぐいぐいとストレッチしていたが、それが終わるとぼん!と魔獣に姿を変えた

「行けばわかるさ

ほらクリス、乗れよ」


ヴァレンタインはクリスにすりっと擦り寄って来た

魔獣の姿になると人型の時とは違い、ネコらしい仕草になる

クリスはそんなヴァレンタインが可愛らしくて好きだった


ちなみにエリザベスが魔獣の姿になっても、あまり甘えては来ない

エリザベスはツン!としているタイプだった


しっかり目が覚めていればクリスはヴァレンタインの背にひょいっと飛び乗るが、まだ寝ぼけているのでクリスはよじよじとヴァレンタインの背中によじ登った


「寝るなよ?」

ヴァレンタインは背中に乗ったクリスを見ながら言った


魔獣退治に出掛ける時、夜中に移動したりするとクリスはよくヴァレンタインの背中で寝てしまう

その度にヴァレンタインはクリスを落とさないように気を付けて飛ばなくてはならないのだ


クリスは目をごしごししながら

「ん~」

と言うが、ヴァレンタインは『これは寝るな』と思ってしまった


エリザベスもぼん!と魔獣に姿を変えると前足を伸ばし、お尻を突き上げるような伸びをした

伸びが終わるとエリザベスはヴァレンタインとクリスの方を見た

「さ、行くわよ」


そう言うとエリザベスは上空目指して駆け上がった

続いてヴァレンタインも駆け上がる

クリスは振り落とされないように、ヴァレンタインの首にしがみ付いた


上空まで来れば後は平行移動なので、安定した走り方になる

なのでクリスは寝てしまうのだ


3人は昨日クリスとヴァレンタインが行った湖の方向へと走り出した

上空に上がれば太陽が見えている

朝日を浴び、風になびくエリザベスとヴァレンタインの金色の毛がきらきらと輝き綺麗だ


クリスはこの美しく柔らかい毛に顔を擦り付けた

「気持ちいい」

「そうか?」

「ヴァルとベスの毛は最高ね」

「当たり前でしょ」


エリザベスとヴァレンタインは姉弟なので魔獣の姿になるとよく似ているが、若干エリザベスの方が長毛だ

尻尾は2人も七又に分かれている


丸くなったエリザベスやヴァレンタインの上であの尻尾をお布団代わりにするお昼寝は最高だ

だが今はそれは出来ないので、クリスは仕方なく顔をヴァレンタインの金色の毛に埋めた


「寝たんじゃない?」

エリザベスがそう聞くとヴァレンタインはしばらく耳を澄ました

「寝たみたいだ」

「仕方ないわね

ヴァル、落とさないように気を付けるのよ」

「ああ」


これも慣れたものだ

ヴァレンタインはクリスの可愛らしい寝息を聞きながら空を駆けるのだった


  ♪♫♬  ♬♫♪


クリスが目を覚ますと、そこは森の中だった

エリザベスとヴァレンタインは地面を歩いている


「あ、ごめん

寝ちゃってたね」

「瞬殺だったぞ」

「そ、そう?」

クリスは笑って胡麻化した


木々が生い茂っているが、空を見上げるとまだ朝が開けたくらいの明るさだ

眠っていたのは少しの時間だったのだろう


「ここはどの辺り?」

「湖から少し離れた所だ」


妖精はもっと森の奥に住んでいると思っていたクリスは、意外と近い所を歩いているので驚いた

しばらく歩くと、先頭を行くエリザベスが足を止めた


ヴァレンタインも

「着いたぞ、降りろ」

と言って足を止めた


「え?ここ?」


クリスはヴァレンタインの背中から降りながら辺りをきょろきょろと見渡した

何もない

ただただ深い森だ


エリザベスとヴァレンタインはぼん!と魔獣から人型へと変わった


エリザベスは何もない所へそっと手を伸ばした

「ベス?」

クリスの問いにエリザベスはにっこり微笑んだ


「ここに異界への入口があるの」

「え!?異界の入口?」


クリスは驚いてエリザベスの側へと駆け寄った

エリザベスが触っている辺りをまじまじと見つめるが、何も見えない


「触ってみてもいい?」

「いいわよ、触れないでしょうけど」


クリスは恐る恐る手を伸ばした

だがエリザベスが触っているであろうものに触れる事なく、クリスの手はエリザベスの手より奥へと延びてしまった

「ホントだ、触れない」

クリスはエリザベスを見た


エリザベスはふふっと笑うと

「妖精は人間が嫌いなのよ

だから私達魔獣にはこの異界への入口は人間ほど拒絶されていないの」


どれだけ妖精は人間が嫌いなんだか…


クリスは不安になってしまった


すると後ろで様子を見ていたヴァレンタインがつかつかと近づくと

「よし、開けるか」

「え?どうやって?」

「ダメよ、ヴァル

無理矢理は…」


エリザベスがそう言い掛けたが、時すでに遅し

ヴァレンタインが両手を伸ばすとバチバチと静電気のような物が発せられた

だがヴァレンタインはそれを気にする事なく、まるで引き戸を開けるように両手を左右に広げた


静電気のような光は更に激しく光ると、ヴァレンタインの目の前に見えない扉が開いたように別の森が現れた


「もう、ヴァル!無理矢理開けたらハーブの機嫌が悪くなるじゃない」

「そんな事言ったって、あいつの方から開けないじゃないか」


エリザベスとヴァレンタインが言い合っているが、クリスには初めて聞く名前が出た

「ベス、ハーブって誰?」


クリスに聞かれ、ヴァレンタインと言い合いをしていたエリザベスは「ああ」と気が付いた


「ハーバートよ

妖精王」

「妖精王!!」

「そうよ

ハーバートはいろいろな妖精達、全ての王」

「そ、そんな方を怒らせて大丈夫なの?」


クリスはヴァレンタインの服を引っ張った

だがヴァレンタインはクリスのように臆していない

「ああ?アイツは頭が固すぎるんだ

ほっとけ」

「ほっとけって…」


クリスはオロオロだ


「まあ、仕方ないわね

まだ先は長いから行きましょうか」


エリザベスはそう言うと、ヴァレンタインがこじ開けた入り口からすたすたと中へ入って行ってしまった





ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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