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60話 封印

「こいつら不死身か!?」

ヴァレンタインは水色の髪の男の蔓を避けながら叫んだ


「心臓にレイピアを突き刺したのよ?

普通は死んでるわよね!?」

エリザベスは斬り落とされた腕が枝のようになり、何本も枝分かれしたような枝がムチのように襲い掛かって来るのをひらりと避けた

もう一人の男も両腕が枝のようになって、その枝をぶんぶん振り回して向かって来る


「ぎゃあ!!ぎゃあぁぁぁ!」

叫んでいるのはクリスだ


「ベスとヴァルの相手はまともじゃない!!

なんで私の相手はこんなのなの~!!」

クリスに襲いかかっている男は口から触手のような物が何本も出ていた

確かにグロい


クリスは杖に魔力を集めると口から触手を出して向かって来る男に放った

あまりの気持ち悪さに

「ぎゃあぁぁぁ!」

と叫びながらだ


放たれた魔力の塊は男に当たると、口から生えている触手はジュッと音をたて消えてしまい、男自身はふっとんでしまった


ジュリアは自分の背後に亜空間を開くと背中から生えている触手を亜空間に延ばし、ヴァレンタインの背後に亜空間を開くとそこから触手を出しヴァレンタインに襲い掛かった


意外な所から現れた触手にヴァレンタインは一瞬、タイミングを狂わされてしまい左腕に触手が巻き付いてしまった

「ちっ」

ヴァレンタインは力ずくで引きちぎろうとするが、触手はびくともしない


すると背後から水色の男がヴァレンタインに飛びつくと、後ろから羽交い絞めにした

「あっ!こいつ!!」


ジュリアはにっこり笑いながらゆっくりとヴァレンタインに近づいて来た

「貴方は武器を使わないから楽なのよ」


そう言いながら近づき、右の手のひらを上に向けると大きな種が亜空間から出てきた

「さ、これを飲んで」

「やだね」

「私の可愛いペットにしてあげるわ」

「…あいつらのどこが可愛いんだよ」


ヴァレンタインは腕が木の枝になったり、口から触手を出している男達に視線を送った

するとジュリアは気が付いたように

「ああ、貴方をあんな風には使わないわ

貴方は私の側で観賞用として置いてあげる」

「それも嫌だな」


ヴァレンタインがそう言うと同時に青白い光がヒュンと音を立ててヴァレンタインの周りに起きた


ジュリアの触手は斬られ、背後からヴァレンタインを羽交い絞めにしていた水色の髪の男は胴体を寸断され、下半身がどさっと地面に落ちた


ジュリアは咄嗟に飛び退いたが伸ばしていた右腕を肘の辺りで斬り落とされてしまっている

何が起きたかわからずにジュリアはヴァレンタインに視線を戻すと、ヴァレンタインは青白く輝く剣を構えていた


「誰が武器を持っていないって?」

ヴァレンタインは笑いながらそう言うと、左手に巻き付いているジュリアの触手を払いのけ、自分の首にしがみついている水色の髪の男の両腕をむしり取った


水色の髪の男は下半身がないので、地面にどさっと落下したがまだ生きている


ヴァレンタインはそんな男を見下ろした

「悪趣味だな

こんな姿になっても死なないのか」


ジュリアは斬られた右腕を庇いながら微笑んだ

「そうね、私のように元に戻るかはその子次第

このまま枯れてしまうかもしれないわね」

「もう人間でもないのか」

「人間の身体を苗床にしたのよ

その子の身体の中は私の種が根を張り、身体中びっしりと根付いているわ

その段階で、人間としての生命は終わっているわね」


ようするに屍に寄生しているようなものか


ヴァレンタインはこの男にどうやってとどめを刺せばいいのかわからなかった

どうやらジュリアの言うように、人間としての生命は終わっているようだ


やっぱり浄化かな


ヴァレンタインはそこまで考えると、ジュリアとの間合いを詰め斬りかかった

ジュリアは自分の触手を硬化させヴァレンタインの剣を受けようとしたが、触手はすぱっと斬られてしまった

「!!」


まさか硬化した触手で受けれないとはジュリアは考えてもいなかった

触手が斬り落とされ、自分の右頬にも縦に一筋の切り傷が出来ている


まずいわね

あの剣には相当の魔力(ちから)が込められている


ヴァレンタインの攻撃を素手と決めてかかっていたのが失敗だった

ジュリアはここは一旦退く事に決めると、自分の背後に大きな亜空間を開けた


「クリス!!」

ヴァレンタインが叫ぶとクリスは杖に魔力を集め、ジュリアに向けて放った


ジュリアは自分が開けた亜空間に入ろうとふわりと飛び上がっていたため、横から放たれたクリスの魔法を避ける事が出来なかった

「!」

ジュリアはクリスの魔法が当たると池の方へと弾き飛ばされた


弾き飛ばされたジュリアは

大丈夫、この魔法は()()魔法とは違う

と考えた


だが弾き飛ばされ、着地をした場所は池ではない

真っ暗で、何もない場所だ

「亜空間!?」

ジュリアは辺りを見回してから前方を見ると、エリザベスがこちらに手を向けている

「あの女の亜空間!」


私をこの亜空間に閉じ込めるつもり!?


ジュリアは瞬時にそう考えた


でも問題はない

時間は掛るけど、他人の亜空間を破れない事はない

あの女と小娘が私の逃げ道を作ってくれたようなものだわ


だがエリザベスの亜空間の中から外を見るとクリスがこちらに杖を向けている

杖先に込められている魔力は()()魔力だ


「!!」

ジュリアが気づいたと同時に、クリスが再び魔法を放った

今度は太古の魔法の浄化魔法だ


「きゃ…」

ジュリアが叫び声を上げようとした時に、ジュリアの背後に2つ目の亜空間が開きジュリアは太古の魔法に巻き込まれながら後方の亜空間へと飲み込まれてしまった


エリザベスはジュリアに向けていた手のひらをぎゅっと握ると、ジュリアを飲み込んだ亜空間はシュンと閉じてしまった


今、池の上には何もない亜空間が大きな口を開けているだけだ

クリスは再び杖を向けた


すると亜空間の中に4つの手のひらより少し大きいくらいの石が現れた


その様子を遠くで見ていたカラスの魔獣・トレイシーがヴァレンタインの肩へばさりと留まった

「あれに魔法を込めてあるのかい?」

トレイシーの問いにクリスは「ふう」と汗を拭いながら答えた

「そうよ

あの4つの石で結界を張って、さらに結界の中は浄化魔法が施されているわ」

「2つめの亜空間にジュリアと浄化魔法を放って閉じ込めたけど、もしジュリアが浄化魔法から蘇ってその亜空間を破って出て来ても、そこは浄化魔法が施された結界の中

そして…」

エリザベスはそこまで話しをすると、再び手のひらをぐっと握った

すると先程まで池の上で大きな口を開けていた亜空間がシュンと閉じてしまった

「そこは私の亜空間の中

さすがにこの三重の壁を破る事は出来ないでしょうね」






ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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