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6話 苦手

湖にやって来たエリザベスとヴァレンタインとクリスはしばらく湖畔で休んでいた


ここで魔獣が現れて人間を襲っているらしいが、今のところそんな気配はない


「…長閑ね」

「本当に人間を襲う奴がいるのか?」

「ルーベンの話しなら、そうらしいわよ」

「ルーベン?」


クリスがそう聞くと

「ルーベンはカラスの魔獣よ

自分も情報収集するけど、仲間からの情報なんかも集めれるから、私達にどこで魔獣が羽目を外しているって教えてくれるの」

「カラス?鳥の魔獣は見たことがないわ」

「鳥類はあまり人間を襲わないからな」


なるほど

襲わなければ討伐命令も出ない


クリスの生家・オルドリッジ家には王宮から討伐命令が来る

王宮には実際に魔獣に襲われている村や町から要請が来る


エリザベス達はどうやって人間を襲う魔獣の事を知るんだろうと不思議だったが、解決した


「…潜んでいたわね

さっきの鹿を狙っていたのかしら?私たちに狙いをつけたみたいね」

「そうだな、さっきの鹿を狙ってたなら大型だな」

「えっ?!いるの?」


クリスの反応にエリザベスとヴァレンタインはジト目で見つめた


「…まずは感知から教えないといけないかしら?」

「そうだな」


エリザベスは「ふーっ」と長いため息をつくと、クリスの背後に立ち、両肩に手を置いた


「私の手に集中して」

クリスは集中するために目を閉じてエリザベスの両手に集中した


「…そう、じゃあ私達を中心に円状に感覚を広げるわよ」


エリザベスの導きもあり、クリスは自分を中心に波紋が広がるように感覚を広げた


さっき鹿がいた場所より更に後方に魔力の塊を感じた

「あっ!」


クリスは思わず声を上げてしまい、そこで集中が途切れた


「まあ、こんな感じよ」

「あそこで感じた魔力の塊みたいのが魔獣なの?」

「そうよ」


クリスはぱあっと笑顔になった


「凄い!こんな魔法の使い方があるなんて知らなかったわ!」


これが使えればこの前、兄のエイブラハムとしたような待ち伏せをせずに済む


「エリザベスとヴァレンタインはあれが何の魔獣かはわかるの?」

「だいたいな」

「私はわかるわよ」


エリザベスはヴァレンタインを見て勝ち誇っている


「でも…今は言わない方が良さそうね」

「何で?」


クリスの問いにエリザベスは意地悪な笑顔になった


あ、何かヤバイ奴なのかも


クリスは嫌な予感がした

だがそれを考える間もなくヴァレンタインが「行くぞ」と言い、クリスの前を歩き出した


まぁどの道、接触はしなきゃいけないんだから


クリスは聞く事を諦めてヴァレンタインの後に続き、クリスの後ろからエリザベスがついて来た

先程、感知した魔獣の方へ進むと向こうも随分とこちらに近づいて来ていた


どんな魔獣だろう?

鹿を狙っていたなら、かなりの大型魔獣だろう


ヴァレンタインは突然、歩みを止めた

クリスは考え事をしていたので、それに気付かずにヴァレンタインの背中にぶつかってしまった


思わず声をあげそうになったが、そこは堪えた

ヴァレンタインは後ろを振り返り『何やってる』と言いたげな、冷ややかな視線でクリスを睨んだ

『ごめんなさい』クリスは目で謝った


すると少し先で茂みがガサッと音をたてた

魔獣がそこまで来ていたのだ


エリザベスはいつの間にかワイヤーのような物を何重にも丸めて手に持っている

クリスも杖を召喚した


ザッ!と音を立てて茂みから魔獣が飛び出して来た


蛇だ!

巨大な蛇が大きな口を開けて飛び掛かって来たのだ


「きゃあぁぁぁぁ!へっ蛇!ヘビ!!へび~ぃぃぃ!!!」

クリスは大パニックになっている


ヴァレンタインはやれやれという顔で飛び掛かってきた蛇を避けるために、クリスを抱いて後方へと飛び退いた

エリザベスも飛び退くと、こちらは木の枝へと場所を移した


「へっ蛇っ!ヘビ!!」

クリスはまだパニくっている


巨大な蛇は蜷局(とぐろ)を巻き、長い舌をチョロチョロ出してシャアァァと威嚇の音も出していた

目は白く、牙がとても長いので口からはみ出ている

そして何よりも大きい!

クリスなんて簡単に一飲み出来るだろう


「へっ、へっ、へび…」

クリスはヴァレンタインにしがみ付いて、ヴァレンタインの背後に隠れてしまった


「だから言わなかったの」

木の枝に身を置いているエリザベスが笑いながら言った


「エッ、エリザベス…」

ようやく『蛇』以外の単語が喋れた


「言ったら来なかったでしょ?」


確かに!絶対に来ない!!


クリスはヴァレンタインの背中にしがみ付きながら、そっと蛇の方を覗いた

でかい!

クリスは再びヴァレンタインの背中に隠れてしまった


ヴァレンタインはそんなクリスを見てやれやれといった感じだ


「ベス、(こいつ)どうする?

人間に執着している訳じゃなさそうだ」

「そうね…餌場に来た獲物を獲っているだけのようだし…

人間のいない場所へ移しましょうか」

「了解だ」


どうやってあの蛇を移動させるのかしら?

まさか抱えて運ぶとか!?ムリムリムリ!


クリスの思考回路はグルグル回ってショート寸前だった


エリザベスは蛇の左側に向かって木から飛び降りた

ヴァレンタインは一歩で蛇の正面まで移動すると、拳で蛇の顔面を殴った


だが大きな蛇なので決定的な一撃ではない

少しぐらついてから、蛇はヴァレンタインに顔を向けた


ヴァレンタインは蛇に背を向け、蛇の頭を肩に抱えるとエリザベスの方へと投げ飛ばした

エリザベスは自分の左側に左手をかざすとそこに黒い渦が起こり、渦はあっという間に大きくなった

蛇はその渦に吸い込まれると、渦はシュンと閉じてしまった


「な、何をしたの」


クリスはあっという間の出来事なので、何をしたのか訳がわからなかった


「エリザベスが創った亜空間に蛇を閉じ込めたんだ」

「後で人間がいないような場所に移すわ」


とりあず蛇はもういないので、クリスは安心した


「退治とかじゃなくて、こんな風にするの?」

「場合による

人間の味を覚えて、場所を移しても人間を襲う可能性がある魔獣(やつ)は退治するよ」


ヴァレンタインは手をパンパン叩いている


「よし、終わったし帰るぞ

クリス、乗れ」


ヴァレンタインはボン!と魔獣へと姿を変えた

だがクリスは乗ろうとしない


「?」


「私、エリザベスに乗る

ヴァレンタインはさっき蛇を抱えたじゃない」

「はぁ?」


クリスがエリザベスに駆け寄るとヴァレンタイは慌ててクリスに近づいた

「ちょっと抱えただけだぞ!?」

「お風呂に入ったらまた乗ってあげる」

「何だよ、乗ってあげるって!?」


ヴァレンタインとクリスのやり取りを、エリザベスは笑いをかみ殺して見ていた


「ヴァル、諦めなさい

女の子は清潔好きなのよ

まして大嫌いな蛇を背負った背中になんて乗りたくないわよ」

「はぁ!?」


エリザベスはボン!と魔獣に姿を変えたので、クリスはエリザベスに乗った


「お、おい!」


ヴァレンタインはクリスを乗せたエリザベスが空へと駆け上がる姿を呆然と見つめるのだった







ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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