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56話 容態

「まったく愚かね」

そう言うのはエリザベスだ


クリスとヴァレンタインから宮殿で起きた国王襲撃事件の話しを聞いたのだ

「まだヴァルと本当に愛し合っているっていうなら、国王を抹殺するのはまぁいいとして」


いや、良くはないでしょ

国王陛下を抹殺するなんて


クリスは心の中でつっこんだが、言葉にはしないであげた


「自分の妄想で勝手にヴァルと愛し合ってるって思い込んで、それで自分の父親を刺す?

こっちがいい迷惑だわ」

エリザベスは呆れている


「それで国王は死んだの?」


エリザベスのお構いなしの発言にはびっくりしてしまう

「いえっ!まだ…というか、お兄さまが治癒魔法を施したから

詳しくは聞いてないけど、お兄さまが言うには後は国王陛下次第だって」

「そう」


エリザベスはしばらく黙って考えた


これでヴァルとクリスは煩わしいあの王女から解放されるだろう

いい迷惑だったが、解決して良かった


「それで、いつ屋敷に帰るの?」


エリザベスに聞かれ、クリスとヴァレンタインは顔を見合わせた

「リチャードも俺達があっちの屋敷に帰る事には賛成してるんだけど、今すぐ帰るとまるで逃亡したみたいに思われるから、もう少し様子を見てからにしろってリチャードに言われたんだ」

「それはそうね…」


いくら嫌疑が晴れたとはいえ、一度は疑われた身だ

すぐにルガード国から出て行けば、確かに逃亡したように思わるかもしれない


「まあ、国王の様子を見てからでもいいわね

もしかしたら葬儀にも出席しなきゃいけなくなるから」

「ベス~、不吉な事言わないでよ」


エリザベスやヴァレンタインにはルガード国の国王には何の情も湧かないが、クリスはルガード国の民だ

やはり自分が生まれ育った国の国王となると心配になる


国王陛下のご容態はどうなのかしら?


クリスは窓から宮殿の方を眺めながら考えた


  ♪♫♬  ♬♫♪


ヒラヌルはイラついていた

国王を襲った犯人として、自分の部屋に軟禁されてしまったのだ


一体、外ではどうなっているのか全く情報が入ってこない

自分の世話をする侍女も外に出され、この広い部屋にはヒラヌル一人しかいなかった


国王陛下はお亡くなりになったかしら?

あの女を犯人にする事には失敗したけど、短剣を調達させた侍女に罪を被せれば大丈夫ね

そうすれば私は今まで通りに過ごせる


国王陛下がお亡くなりになれば、お兄さまがご即位されるわ

そうなれば私とヴァレンタイン様の結婚も何も問題はない


あの女を犯人に仕立て上げれなかったのは残念だけど、お兄さまの治世のなればヴァレンタイン様と結婚して、あの女を王族侮辱罪で処刑してやる


ヒラヌルはとにかくベルナルド皇太子に会い、自分の潔白を信じてもらえるように誘導しなければならない


何とかお兄さまとお話しをする機会を作って頂かなくては


ヒラヌルはそう考えるとドアの側に行き、コンコンとドアをノックした

「衛兵、そこにいるのでしょう?

お兄さまにお話しがしたいと伝えてちょうだい」


だがドアの向こうからは何も返事はない


返事はないが、衛兵には聞こえているはずだ

必ずお兄さまに伝えるはずだから、私は待っていればいいわ


ヒラヌルはそう考えると、長椅子へと戻りお茶を飲んだ


食べ物や飲み物は定期的に運ばれて来る

使用人は誰一人知らない顔だし、常に騎士が一緒なので話し掛ける事も出来なかった


お茶も先程運ばれてきたのだが、すっかり冷めてしまっている


「まったくもう!何で私がこんな目に合わなきゃいけないのよ!」

ヒラヌルはそう叫びながらお茶を飲み干すと、カップをガチャン!と荒々しくソーサーに置くのだった


  ♪♫♬  ♬♫♪


ベルナルドは医師からの呼び出しを受け、宰相と共に国王の寝室へと向かった


自分の執務室からでは国王の寝室が遠いため、国王の寝室に近い部屋を仮の執務室として使っていたので国王の寝室にはすぐに着いた


国王の寝室の前に立つ衛兵にドアを開けさせ部屋の中に入ると、国王が眠るベットの左側に医師達がずらりと並んでいる


ベルナルドは医師達が並んでいる反対側へと向かった


国王の枕元には王妃もいる

王妃は椅子に座り国王を見ていたが、ベルナルドが来たことに気がつくと席を立ち、場所を譲った


ベルナルドは王妃が座っていた椅子の側まで行くと、国王の顔を覗き込んだ

「国王陛下…」


「ベルナルド…心配を…掛けたな」

国王は弱々しく返事をした


「いえ…いえ!

よ、良かったです

意識が戻られて、本当に良かったです」


ベルナルドはへなへなと椅子に座り込んでしまった


国王は弱々しく微笑んだ


「宰相は…おるか?」

「はい、ここに」


国王に呼ばれ、宰相はベルナルドの背後に立った


「すまんが、しばらくの間…ベルナルドを頼む…ぞ」

「はい、大丈夫です

皇太子殿下はしっかりと務めを果たされていますよ」

「そうか…」


国王は弱々しく頷いた

ベルナルドの向いにいる医師の一人がそっと国王に声を掛けた


「陛下、意識が戻られたばかりです

今日はこれで…」


医師の助言を聞いたベルナルドは国王の手をぎゅっと握った


「また明日、参ります

今はどうかゆっくりお休みになられ、治療に専念して下さい」

「そうだな…

執務はお前に…任せる…頼んだぞ」

「はい」


国王は再び目を閉じると眠ってしまった


ベルナルドは不安になり医師を見ると、医師はニッコリと微笑んだ


「一度、意識が戻られたのでもう安心です

今は薬も効いていらっしゃるので意識は朦朧となさっているでしょうが、これから少しずつ良くなります」

「そうか」


ベルナルドはほっとした

隣では王妃が泣いている


ベルナルドは王妃の肩にそっと手を回すと

「母上、もう大丈夫です

良かったですね」

と声を掛けた


王妃は泣きながら

「ええ…ええ!本当に」

と答えるのが精一杯だった




ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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