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55話 嫌疑

国王襲撃の犯人として連行されたクリスだが濡れ衣と認められ、リチャードと共にオルドリッジ家へ帰って来た


宮殿から屋敷に帰る間、ヴァレンタインは馬車の中で始終怒っていた

国王に治癒魔法を施したエイブラハムも一緒に馬車に乗ったため、そんなヴァレンタインをなだめる羽目になってしまった


オルドリッジ家に到着すると、そのまま全員でリチャードの執務室へと移動した


「国王陛下を襲ったのはもはやヒラヌル王女以外、考えられないね」

リチャードは残念そうな表情だ


「ヒラヌル王女はどうなるのですか?」

エイブラハムが聞くと、リチャードは少し考えた


「国王陛下の意識が戻られれば…生涯、宮殿のどこかに籠められるだろう

もし国王陛下が崩御されれば…」

リチャードは口を(つぐ)んでしまった


クリスはわからないが、恐らく処刑されるのだろうと考えた


「あんな頭のおかしい女なんてどうなろうと知った事じゃない」

ヴァレンタインはまだ怒っている


「お父さま、ヴァルとも話しをしたけど近いうちにヴァル達の屋敷に帰ろうかと思うの」

「そうだね

ヒラヌル王女にどのような沙汰が下るかわからないけど、これ以上君達が巻き込まれない為にはいいと思うよ」

「ありがとうございます」


リチャードはエイブラハムの肩をぽんと叩いた

「エイブ、ご苦労だったね

あれだけ治癒魔法を使ったんだ

今日はゆっくり休みなさい」

「はい」


エイブラハムは疲れを感じさせないように、ニッコリと微笑んだ


  ♪♫♬  ♬♫♪


ヒラヌルは私室でお茶を飲んでいた


今頃はあの腹黒い女は捕まり、牢獄にでも入れられたかしら


ヒラヌルは笑いが止まらなかった


父上様には申し訳ないけど、私とヴァレンタイン様の仲をお認めにならないのが悪いのよ

お兄さまの治世になったら、すぐにでもヴァレンタイン様と婚約させてもらおう

父上様の葬儀があるから1年は喪に服さなくてはいけないが、喪が明けたらすぐに結婚出来るようにお兄さまにお願いしておかなくては


「お茶のお代わりをちょうだい」

「はい」


侍女は部屋から出ようとドアを開けようとするが、ドアはびくともしない

「?」

侍女は何度も押したり引いたりすぐが、やはりドアは開かなかった


侍女がドアをガタガタさせているので、ヒラヌルは顔をしかめた

「何をしているの?」

「そ、それが…ドアが開かないのでございます」


何を言っているの?この侍女は


ヒラヌルはそう考えながら長椅子から立ち上がるとドアの方へと向かった

侍女はドアをガタガタ押したり引いたりしているが、一向に開かない


ドアが壊れたのかしら?


ヒラヌルは部屋の外にいる衛兵を呼んだ

「衛兵、ドアが開かないの

開けてちょうだい」


だが何も返事はない


「衛兵?」


やはり返事はない

ヒラヌルと侍女は顔を見合わせた


ヒラヌルの部屋は何部屋も隣接している

今いる部屋は昼間、よく居る部屋だ

ここでお茶を飲んだり、時には令嬢を招いてお喋りなどをしている

隣の部屋はあまり使わないが、ヒラヌルの執務室だ

さらに奥の部屋は寝室になっている


「他の部屋から外に出て、ドアを直すように話しておいて」

「はい、畏まりました」


侍女は一礼すると、隣の部屋へと向かった


おかしな事が起こるものだ

ドアが開かなくなり、衛兵もいない


だがヒラヌルはそれ以上考える事なく、先程まで座っていた長椅子へと戻った


すっかり冷めてしまったが残りのお茶を飲み干すと、侍女が慌てた様子で戻ってきた


「王女様!

ダメです!どのドアも開きません!」

「何ですって!?」


さすがにヒラヌルもおかしい事にようやく気が付いた


  ♪♫♬  ♬♫♪


ベルナルド皇太子と宰相はヒラヌルの部屋までやって来た


ベルナルドは妹のヒラヌルに罪状を付きつけたくないので部屋に軟禁していたが、ヒラヌルがそれに気づき騒ぎ出したと報告があったのだ


このまま大人しく部屋にいてくれれば、顔を合わさずに済んだものを…


ベルナルドはため息をつくと、ヒラヌルの部屋の前にいる騎士に命令した

「開けてくれ」

「はい」


騎士はドアのノブに巻かれた鎖をほどくと、ドアをゆっくりと開けた

ベルナルドが部屋に入ると、不安げな顔をしたヒラヌルが駆け寄って来た

「お兄さま!」


だがベルナルドの前に2人の騎士が立ち、ヒラヌルの行く手を塞ぐのだ

「何ですか!?無礼ですよ」


ヒラヌルは騎士を睨みつけ怒鳴るが、騎士は動じる事なくヒラヌルの行く手を塞いでいる


「ヒラヌル」

ベルナルドはゆっくり妹の名を呼んだ


「はい、お兄さま」

ヒラヌルはベルナルドがこの騎士達にどくよう命令するだろうと考え、安心した


「お前が国王陛下を襲った事はわかっているんだよ」


ベルナルドの言葉にヒラヌルは頭が真っ白になった

「え?」

「お前は国王陛下を襲った罪で捕えられているのだ

お前の処し方が決まるまで、この部屋で監禁となる

大人しく待っていなさい」


「え…お兄さま」

ヒラヌルはベルナルドに近づこうとするが、騎士は槍を立てて行く手を塞いだ


「お兄さま!何を仰ってるの!?

国王陛下を襲ったのはオルドリッジ家のあの女です!」


ベルナルドは「ふー」とながいため息をついた

「クリスティーナ嬢の身の潔白は証明されたよ」

「え!?」

「国王陛下が襲われた時、クリスティーナ嬢は大勢の友人達と一緒だった」


ヒラヌルは足元の崖が崩れ落ちていくような感覚になった

「そ、それは何かの間違いでは…」

「何人もの貴族がクリスティーナ嬢と一緒にいたと証言しているんだ」


ベルナルドの斜め後ろに居る宰相も続けた

「ヒラヌル王女様

ヒラヌル王女様の侍女がヒラヌル王女様から頼まれて短剣を用意し渡したとの証言もあります」


ヒラヌルは動けなくなってしまった

あの侍女が!?

あの侍女がペラペラと喋ったの!?


ヒラヌルは怒りが込み上げてきた

「その侍女が国王陛下を刺したのです!

私に罪を被せようとしているのです!」


宰相は困った顔つきで聞いてきた

「ヒラヌル王女様はクリスティーナ嬢が刺したと証言されていたではありませんか」

「そ、それは…」


ヒラヌルは黙ってしまった

だが少し考えると、再び大声で怒鳴り出した

「私の侍女が国王陛下を刺したと言えなかっただけです!

本当はあの侍女が犯人です!!」


ベルナルドと宰相は顔を見合わせてから、もう一度ヒラヌルを見た

「それでもお前に嫌疑が掛けられている事には変わりはないよ

しばらくこのまま監禁する」


「お兄さま!!」


ベルナルドはそう言うと、ヒラヌルの部屋を後にするのだった






ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿ ◕。

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