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52話 連行

トレース伯爵家では仲の良い友人達が集まりお茶を楽しんでいた


中には婚約者と一緒に来ている令嬢もいる

クリスもヴァレンタインと一緒に来ていた


友人達の中にはシャイフの姿もあった

シャイフはクリスの兄・エイブラハムと伴に来ている


「エイブの奴もうまくいってるみたいだな」

「私のお茶会の時はヒラヌル王女が突然参加されたからお兄さまとシャイフ様の事に手が回らなかったけど、お兄さまはちゃんと上手くやったのね」


全員が席に着けるくらいの大きな丸テーブルに座っているヴァレンタインはエイブラハムに聞こえないようにクリスに耳打ちした


トレース伯爵令嬢はそんなヴァレンタインとクリスを見てにっこり微笑んだ

「クリスティーナ様とヴァレンタイン伯爵は本当に仲がよろしいですわね

お二人は宮殿の神殿でご結婚の式をお挙げになられるでしょう?羨ましいですわ」

「本当に!

国王陛下と皇后陛下の覚えもめでたく、すばらしいですわね」


皆できゃあきゃあ話しをしていると、執事らしい男がトレース伯爵令嬢の側にやって来た

執事は困ったような表情で何やらトレース伯爵令嬢に耳打ちをすると、トレース伯爵令嬢は驚いた表情で執事を見た

そしてゆっくりクリスに顔を向けると

「クリスティーナ様、宮殿の騎士がクリスティーナ様を引き渡せと来ているそうです」

「は?」


クリスだけでなく、そこにいた全員がそう思った

すると粗々しく、騎士達がお茶を楽しんでいる部屋へ踏み込んで来た


「クリスティーナ・ルナ・オルドリッジ!

国王陛下の殺人未遂で逮捕する!!」


会場がざわついた

「国王陛下が!?」

「殺人!?」


当のクリスも何の事かわからない

だがクリスは凛とした立たずまでで騎士に歩み寄った

「私がクリスティーナ・ルナ・オルドリッジです」

「観念したか

よし連行しろ」


命令された騎士が2人、クリスの両脇に立とうとしたが、クリスは手で制した

「いえ、まず何があったか教えて下さい」


騎士はふんと鼻で笑った

「ふん、白々しい

つい先ほど国王陛下の部屋に侵入し、国王陛下に短剣を突き立てた事はわかっているんだ!」


すると話しを聞いていたシャイフが口を開いた

「先程?

クリスティーナ様は午後からずっとここで私達と一緒にいましたわよ?」


すると他の令嬢達も言い始めた

「ええ、私と席が近かったので確かですわ

クリスティーナ様はご婚約者様とずっとここにおられました」

「そうですわ」

「退席もなさっていませんわよ」


出席者達が全員でクリスがこの会場にいたと言い出すと、騎士は困ってしまった

「だ、だがヒラヌル王女様は確かにお前が国王陛下を襲ったと証言されている」


ヒラヌル…


ヒラヌルがクリスの婚約者・ヴァレンタインに横恋慕している事は既に社交界では有名な話しだ

会場にいた招待客達は皆その事が頭に浮かんだ


と言うか、それより重大な事に気が付いた

「国王陛下は!?ご無事なのですか!?」


クリスの問いかけに周りにいた令嬢達もはっと気が付いた

「そ、そうですわ!

国王陛下のご容態は!?」


令嬢達は騎士に群がると皆で国王の容態を確認した

騎士は令嬢達から次々、質問を受けオロオロになってしまうのだった


  ♪♫♬  ♬♫♪


宮殿は慌ただしくなっていた

宮廷医だけではなく、薬師も大勢招集された


ベルナルド皇太子は国王が治療を受けている部屋の隣の部屋で待機していた

今、国王の側にいても治療の邪魔になるのでここで宰相と共に襲われた時の詳細を聞いていた


「するとヒラヌルがクリスティーナ嬢が襲った証言したのだな?」

「はい」


だが衛兵の顔は曇っている

ベルナルド皇太子はその事に気付いた

「何か?」


衛兵はしばらく考えてから報告を始めた

「国王陛下はヒラヌル王女様とご対談中でした

窓から賊が侵入したなら、国王陛下はその段階で我々をお呼びになるでしょう

それにヒラヌル王女様は賊が窓から侵入したと仰いましたが、我々が部屋に入った時、窓は閉めらていました

国王陛下を刺した賊が、わざわざ窓を閉めて逃げるとは考えられません

国王陛下は我々をお呼びになられたのですから、賊は一刻も早く逃げなければならないというのに…」


確かにおかしい


ベルナルドと宰相は顔を見合わせた

するとドアがノックされ、騎士が入って来た


「ご命令どおり、クリスティーナ・ルナ・オルドリッジを連行しました」

「ご苦労」


ベルナルドが騎士を労うと、宰相は騎士に聞いた

「クリスティーナ嬢は大人しく付いて来たのかい?」

「はい」

「国王陛下を襲った事は認めた?」


すると騎士も衛兵と同じように顔が曇った

「それが…

実はクリスティーナ嬢はトレース伯爵家でご友人達とお茶会をしていたようで…それに出席中でした」

「お茶会に!?」

「はい

そしてその会場にいた方々が皆、クリスティーナ嬢がずっとこの会場にいたと証言されたのです」


騎士の報告にベルナルドと宰相は再び顔を見合わせた


「これは一度、ヒラヌル王女様のお話しを伺った方がよろしいですな」

「そうだね」


ベルナルドは嫌な予感がした

だがいくらヒラヌルでもこんな軽率な事はしないだろう

ましてや国王陛下はヒラヌルの父親だ


ベルナルドはぶんぶん頭を振った


  ♪♫♬  ♬♫♪


ベルナルド皇太子と宰相は騎士にクリスが軟禁されている部屋へ案内させた

すると部屋の入口にいる見張りの騎士と男性が言い争っていた

近づくと言い争っている男性はオルドリッジ侯爵だ


「オルドリッジ侯爵」

宰相が声を掛けた


リチャードが振り返ると騎士に案内された宰相とベルナルド皇太子がいる

宰相はリチャードに近づくとため息をついた

「オルドリッジ侯爵、たとえ侯爵でも犯罪を犯した娘に会う事は出来ませんよ」

「犯罪?」

リチャードは米噛みをぴくつかせている

普段、温厚なリチャードがこんなに怒っているのは宰相もベルナルド皇太子も初めて見た


「犯罪者とはうちのクリスティーナの事かね?」


リチャードの迫力に宰相もベルナルドも返事が出来なかった


「では聞こう

クリスが国王陛下を襲う理由は?」

「それはこれから…」

「友人達と共にすごしていたクリスがどうやって国王陛下を刺したと?」

「それは…」


宰相が口を(つぐ)ってしまい、しばらくの沈黙があった


「ベルナルド皇太子殿下、事と次第によってはオルドリッジ家はルガード国を見限る事になりますぞ」

「オルドリッジ侯爵!それは困ります!!」


ベルナルドは慌ててリチャードをなだめた

「ルガード国唯一の魔法使い一族・オルドリッジ家がいなくなれば、ルガード国は他国から攻め込まれては太刀打ちできません」

「では娘の話しを聞かせて頂きたいな」


リチャードは厳しい目でベルナルド皇太子を睨みつけるのだった






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