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51話 決行

ヒラヌルは部屋に戻ると侍女に声を掛けた

「国王陛下にお会いしたいの

私的な用件だとお伝えしてお時間を頂いて」

「畏まりました」


ヒラヌルはジュリアの言葉を思い返していた


兄のベルナルドは私とヴァレンタイン様との仲を認めてくれている

そして先程、国王に言い渡された婚約はベルナルドが新国王になれば破棄できるだろう


もしこのまま現国王の治世が続けば…

正式に婚約を言い渡されてしまっている以上、ヒラヌルにはあのダグラスとかいう小公子と結婚するしかない

そしてヴァレンタイン様はあの腹黒い女と結婚してしまう


愛する二人を引き離そうとする父上様がおかしい

間違えているのは父上様や母上様なのだから…


  ♪♫♬  ♬♫♪


ヒラヌルが国王に会えたのは2日後だった

私的な用件だったので、国王の私室へと訪問したヒラヌルは人払いをお願いした


広い部屋の中心あたりに応接セットがあり、国王とヒラヌルは向かい合って座った

「さて、私的な用件と聞いたが?」

「はい」

「結婚の事なら無駄だぞ」

「何故ですか!?どうして父上様は私達を引き離そうとなさるのですか!?」

「何度も言うが、魔法使いとの結婚は認めらていない

そしてレイメント伯爵はクリスティーナ嬢と婚約している」

「私が結婚すれば臣籍降下するので問題はありません

ヴァレンタイン様が本当に愛しているのはこの私です!

愛し合う二人が結婚する事は当然の事ですのに、なぜヴァレンタイン様は愛してもいないオルドリッジ家の女とご結婚せねばならないのですか!?」


国王はふうっとため息をついた

なぜこうもわかってくれないのか…


「たとえお前が臣籍降下しても、お前が王族である事に変わりはない

この私を良く思わぬ輩がお前を担ぎ上げて蜂起する事もある

その時、魔法使いが敵にいては危険なのだ」

「そのような事、起こりません」

「それは言い切れないな」

「私にそのような意思がございません」

「お前の意志など関係ない

連中はお前を幽閉してでも利用するだろう」

「ではその者どもを処刑なさって下さい!」


国王は頭が痛くなって来た

「ヒラヌル、その者達はまだ何もしていない

それなのに処刑など出来る訳がないだろう」

「何故私がその者どもの為に愛するヴァレンタイン様と一緒になれないのですか!?

あんまりです!」

「それが王族というものだよ」


ヒラヌルは黙ってしまった

この身体の中に流れる王族の血を一滴残らず絞り出してしまいたい


「それにお前はレイメント伯爵と愛し合っていると言うが、レイメント伯爵が愛しているのはクリスティーナ嬢だ

お前のそれはただの独りよがりだ」

「ち、父上様!」


あまりに酷い言いぐさにヒラヌルはショックを受けてしまった

ガバッと立ち上がると国王の側へ駆け寄り、膝をついて国王の足に縋りついた

「独りよがりなのはあの女の方です!

父上様は騙されておいでです!」


何を言っても認めない

国王や王妃、そしてレイメント伯爵自身が「愛していない」と言ってもそれを聞き入れない

もはや話しをしても無駄かもしれんな


国王はそう考えた


「ヒラヌル、お前はダグラス小公子と結婚するのだ

この決定は変わらない」


国王のこの言葉にヒラヌルは衝撃を受けた

呆然と国王を見つめたが、しばらくするとがっくりとうな垂れてしまった


国王はそんな娘の肩に手を置き、優しく声を掛けた

「ヒラヌル」


「…父上様はわかっておいでではないのです」

「?」


突然ヒラヌルが国王に抱き付いて来た

国王はそう思ったが、ヒラヌルは抱き付くのではなく両手で握っている短剣を国王の腹部に突き刺した


「!!」

国王は自分の腹部に突き刺さっている短剣を見てから、ゆっくりとヒラヌルを見た

ヒラヌルの顔は青ざめている


「ち、父上様が悪いのです

私とヴァレンタイン様の仲をお認めにならないから…」

「ぐっ…」


国王は歯を食いしばるとヒラヌルを突き飛ばした

「あっ!」

ヒラヌルは後ろのテーブルにガタンと当たり、腰を打ってしまった

その拍子に短剣が手から落ち、床にカラカラと転がった


国王は刺された場所を手で押さえながら、ヨロヨロと立ち上がるとドアに向かって必死に歩いた

「だ、誰か!

衛兵!」


ヒラヌルは短剣をひらうと国王を追いかけた


黙らせなくては!


ヒラヌルは短剣を振り上げると、今度は国王の背中に突き刺した

「うっ!!」

国王はばたりと床に倒れると同時にドアが荒々しく開けられた

「国王陛下!」


衛兵が数人バタバタと部屋に飛び込んでく来ると、ヒラヌルは短剣から手を離し両手で国王をさすった

「父上様!しっかりなさって下さい!!」


「国王陛下!」

「ヒラヌル王女様!」


一人の衛兵が国王とヒラヌルの側に駆け寄り、屈み込んだ

国王の背中には短剣が突き刺さっている

衛兵はすぐに指示を出した

「宮廷医を!大至急だ!!」

「はっ!」


衛兵が一人部屋から走って出て行くと、屈み込んでいる衛兵はヒラヌルに聞いた

「ヒラヌル王女様、何があったのですか!?」


ヒラヌルは青白い顔をしながら

「あの窓から賊が侵入して来たのです」


ヒラヌルはテラスへ続く窓を指さすと、べつの衛兵がバタバタとその窓へ向かった

衛兵は窓を開けるが誰もいない

「誰もいません」


国王の側にいる衛兵は自分のマントを引きちぎりながら、国王に応急処置を施していた

「宮殿を封鎖しろ!」

「はい!」


衛兵は国王を横に向けると腹部からも出血している

背中の短剣は抜かずにそのままにして、マントで腹部を押さえた


「ヒラヌル王女様!賊を見たのですか!?何人でした!?」

衛兵の問いにヒラヌルはすうっと冷たい視線になると冷静に言った


「オルドリッジ侯爵の娘、クリスティーナです」


  ♪♫♬  ♪♫♬


オルドリッジ侯爵家には騎士が続々と集まっていた

騎士団長が玄関口で大声で命令した

「クリスティーナ・ルナ・オルドリッジはどこだ!?

隠し立てするとためにならないぞ!!」


騎士団長の剣幕に執事や使用人たちは驚いたが、執事が恐る恐る騎士団長に近づくと

「クリスティーナお嬢様でしたら、ご友人方とトレース伯爵家のお嬢様を訪問されているのでお留守です」

と対応した

「…なに、トレース伯爵家?」


執事の返答に騎士団長は困惑してしまった



ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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