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45話 悩み

クリスとエリザベスとヴァレンタインは3階のテラスでのんびりお茶を飲んでいた

昨日クリスが主催したお茶会が終わったので3人でぼーっとしていた

だがエリザベスとヴァレンタインはぴくりと反応すると、遠くの空を見つめた


「…来たわね」

「来たな」

「え?誰が来たの?」

クリスにはまだわからない


エリザベスは視線をクリスに戻すとやれやれといった表情だ

「ルーベンよ

こちらに近づいているようだったから、ここで待ってたの」

「それで2人でテラスにいたのね」

「そうよ」


さすが最上位の魔獣だ

随分離れた所からでもルーベンがこちらに向かって来ている事に気付いていたようだ


しばらくすると、カラスが一羽飛んで来るのがクリスでも見えるようになった

ルーベンだ


徐々にこちらに近づいて来ると、普通のカラスの倍近く大きい事がわかる

ルーベンは真っすぐテラスに向かって飛んで来た

ここにエリザベス達が居る事に気付いているようだ


ルーベンはテラスまで来ると、ばさりと手摺に降り立った

「随分、時間がかかったわね」


エリザベスの第一声がこれで、ルーベンは労をねぎらってもらえず羽をばたつかせた

「大変だったんだぞ!

怨念の事なんか知ってる奴が全然いなかったんだ!

少しは労え」


ヴァレンタインはつかつかとルーベンの側まで行くと、(くちばし)をつまみ上下に引っ張った

「お前、あちこちで俺とクリスの事を言ってるな?

テッドがここに来たぞ」

「グアッ!ガー!!」

ルーベンは羽をばたばたさせて、何やら抗議している


「それで?何かわかったの?」


そんな2人のやり取りを無視してエリザベスが聞くと、ヴァレンタインはつまんでいた手を離した

ルーベンは羽で器用に嘴をさすっている

「まったく、ヴァレンタインは相変わらずだな」

「お前がお喋りだからだ」


ルーベンはエリザベスの方を見ると話し始めた

「ここから東の方に、大昔怨念の魔獣が現れた事があったらしい」

「へえ」

エリザベスは楽し気な顔つきになった


「エリザベスの予想どおり、そいつはもともとは植物だったらしい

動く事も出来ず、近くに来た人間や魔獣を喰って成長したようだ」

「それじゃあ、自由に動けるようになるには随分時間が掛かったんじゃない?」

「その通りだ

俺達の耳に入らなかったのは、少しづつ魔獣や人間を喰っていたから目立たなかったからだろう」

「なるほどな」

ヴァレンタインも納得した


「何が原因で怨念が植物に憑いたの?」

「それは大昔すぎてわからない」

「何だよ、肝心の事がわかってないのかよ」

「ガー!!」


ルーベンは軽く飛び上がるとヴァレンタインをつついた

「これだけでも大変だったんだぞ!」

「いてっ!わかったよ」


ヴァレンタインが降参したので、ルーベンはもと居た手摺へひょいと戻った

エリザベスが顎に手を当てて考えている

「怨念を葬り去る方法もわからなかったの?」

「ああ

だから生き字引のばあさんに聞いたんだ」

「トレイシーに?」

「そうだ」


クリスは初めて聞く名前だった

エリザベスの邪魔をしないように、クリスは小声でヴァレンタインに聞いた

「誰?」

「カラスの魔獣のばーさんだよ

ものすごい物知りなんだ」

「へえ」


するとエリザベスが補足してくれた

「それに物覚えがすごいの

よくそんな事まで覚えているわね、って事を知ってたりするわ」

「そうなの」


魔獣の中でも太古から生きているヴァル達に「ばーさん」呼ばわりされるカラスはいったい幾つくらいなのかしら?


クリスは興味が湧いてしまった


エリザベスは再びルーベンとの会話に戻った

「それで?トレイシーは何て言ってたの?」


するとルーベンは少し困ったような仕草をした

「いや、それがな…

ばーさん、久しぶりにお前たちに会いたいとか言って、今こっちに向かってるんだ」

「トレイシーが?」

「飛べるのか!?」


え?

ベスとヴァルがこんなに驚くなんて、トレイシーというおばあさんカラスはそんなによぼよぼなの!?


クリスは心配になってしまった


「いつここに着くんだよ」

ヴァレンタインはトレイシーの心配というより、ここに来れるのかの心配をしているようだ


「休みながら向かってるからなぁ

ばあさんに付き合って飛んでいるといつ着くかわからないから、俺は先に来たんだけど」

「いつ着くかわからない!?大丈夫なの?」


エリザベスは苦笑いをした

「大丈夫よ、クリス

トレイシーは魔獣だから簡単に死なないわ

そのうち着くだろうから、今は待っていましょ」

「うん」


「じゃあ俺は水浴びをさせてくれ」

ルーベンがクリスに頼んだ

「えっ、水浴び?」


するとクリスの肩に手を乗せたヴァレンタインは、クリスをぐいっと自分に引き寄せた

「水浴びぐらい、そこの湖でも行ってやって来いよ」

「何だよ!お前たちの依頼で飛び回ったんだぞ!少しは敬え!」

ルーベンとヴァレンタインはぎゃあぎゃあ言い合っている


「あ、あの」

クリスが声を掛けると2人は黙ってクリスを見た


「人の姿に変われるなら、お風呂の準備をさせるわ」


するとルーベンが憤慨した

「はああ!?

この俺様に人の姿になれだと!?

この真っ黒で美しい姿、大空を飛べる翼!

それなのに何でわざわざ人間なんかに姿を変えなきゃいけないんだ!」

「ご、ごめんなさい」


ルーベンのあまりの剣幕に、クリスは思わず謝ってしまった

するとヴァレンタインはつかつかとルーベンに近づくと再び嘴をつまんで上下に引っ張った

「じゃあカラスの姿のまま湖で水浴びしてこいよ」

「ガー!グアー!!」

ルーベンは羽をばたばたして、ヴァレンタインに反撃している


エリザベスは席を立つと

「バカな男どもはほおっておいて部屋に戻りましょ」

とクリスの背中に手を添えて、テラスから部屋の中へと向かうのだった


  ♪♫♬  ♬♫♪


結局のところ、怨念を葬り去る方法はわからないままだ

だがジュリアには太古の魔法は効いた


クリスはそう考えながら、自分の部屋のベットでごろんと横になった


ヴァレンタインはマリア グアダルーペから魔力を授かった

きっと最初はマリア グアダルーペに仕えていたのだろう


ヴァルが私に興味を持ったのは、先祖返りた私からマリア グアダルーペを思い出させるからなのかな?


クリスは最近、ずーっとヴァレンタインの事ばかり考えてしまっていた

お茶会があり忙しくしている時は良いが、このように一人になるといろいろ考えてしまうのだ


ヴァルは私が好きなのかな?

それともマリア グアダルーペに近いから好きなのかな?


「………

昼寝しよ」


なるべく考えたくないので、クリスはこうして逃避しているのだった










ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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