表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/107

41話 ガイド

オルドリッジ家の庭園に設けられたお茶会の会場には招待された令嬢達が続々と集まって来た

中には婚約者や兄弟と来ている令嬢もいるので、かなりの人数だ


事前に招待した令嬢から同伴者はいるのか、いるならば何人か?との確認もしているので、この人数は予定通りだが、ここに予定されていない人物が現れた


オルドリッジ家の当主・リチャードに案内され、ヒラヌル王女が登場したのだ


会場はざわついた

それはそうだろう

今日、ヒラヌル王女が来るとは聞いていないのだから


「ま…あ、ヒラヌル王女様だわ」

「今日、いらっしゃるとは伺っていませんでしたわ」

「3日前に謹慎が解かれたのでしょう?

いつ謹慎が解かれるかもわからなかったのですから、クリスティーナ様はヒラヌル王女に招待状をお出しになる訳はないですわね」

「まあ、それでは招待状もないのに参加されたのでしょうか」


突然の王女の登場に、令嬢達は憶測を巡らせた


バラ園の入り口はバラの花でアーチ状になっている

そこを潜り、リチャードに案内されたヒラヌルが入って来た


クリスはすぐにヒラヌルの前まで行き

「ヒラヌル内親王殿下にご挨拶申し上げます」

と淑女の挨拶をした


ヒラヌルはにっこり微笑むと

「突然、来させて頂いて感謝しますわ

なんせ1か月ばかり俗世から離れておりましたので

1日でも早く、皆さまにお会いして近状など教えて頂きたかったものですから」

「それではお席にご案内いたします」


クリスはヒラヌルの言葉を無視して席へと案内した


リチャードの役目はここまでなので、リチャードは心配しながら会場を後にした


設けられた長方形のテーブルの上座にヒラヌル王女を案内すると、テッドが待ち構えていたかのように椅子を引きヒラヌルを席へと座らせた


本来なら主催者であるクリスがその上座に座り、両角に身分の高い令嬢を配置する予定だった

だがヒラヌルをそこに座らせる訳にはいかないので、本来のクリスの席にヒラヌルを、そしてクリスはその右角の席に腰を下ろした


クリスの目の前にはシャイフがエイブラハムに案内されて座った

シャイフもクリス同様、侯爵家の人間なので身分は高いのだ


バラ園を自由に見ていた令嬢達も、一旦席に着いた


クリスはその場で立つと

「皆さま、本日はようこそお越し下さいました

私の初めてのお茶会で不慣れな事もあるかと存じますが、精一杯準備させて頂きました

どうぞごゆっくりお楽しみ下さい」


クリスの挨拶が終わると、侍女達は淹れたてのお茶を令嬢や同伴者の前に置いた


「最初のお茶はバラのお茶です」

「まあ、バラのお茶ですの?」

ルガード国ではバラは見る物であって、お茶としては使われない


「私の婚約者の国、ベイル国にはバラのお茶がございます

どうぞお試し下さいませ」


クリスが勧めると令嬢達は恐る恐るバラのお茶を一口飲んだ


「まあ、なんて良い香りなんでしょう!?」

「本当に!さっぱりしているのに、とてもバラの香りが素敵ですわ」


するとクリスの後ろにいたエリザベスが説明を始めた

「これはバラの(つぼみ)を乾燥させ作ったお茶です

ティーカップの底にあるものが薔薇の蕾です

このお茶は味はさっぱりしていますし、香りは上品です

更に蕾も見ながら飲めますので、目でも楽しませてくれますわ」


令嬢達は透明なティーカップを持ち上げて沈んでいるバラの蕾を見た

「まあ、可愛らしいですわね」

「透明なティーカップは初めて見ました

なんて素敵なんでしょう」


令嬢達はきゃあきゃあ言いながらお茶を楽しみだした


「皆さまご紹介が遅れましたが、こちらの令嬢は私の婚約者、ヴァレンタイン・リアム・レイメントの姉君、エリザベス・エヴァ・レイメント嬢でございます」


クリスに紹介されたエリザベスは軽くお辞儀をした


「まあ!なんてお美しい!」

「クリスティーナ様のご婚約者のヴァレンタイン伯爵もとてもお美しい方ですが、姉君のエリザベス様もとてもお美しいでいわ!」

「ご姉弟そろって、見目麗しいですのね」


エリザベスの美しさは令嬢をも虜にするのか

本当にこの魔獣姉弟は…

とクリスは改めて2人の美しさに呆れた


「本日はエリザベスもお越し頂きましたので、ベイル国のお茶やお菓子もご用意させて頂きました」

「皆さまのお口に合えばよろしいのですが、ご不明な点がございましたら何なりとお聞きください」


クリスとエリザベスがそう言うと、お茶会はわあっと和やかな雰囲気になった

令嬢達は見た事もないお菓子に興味深々だ


「こちらのお菓子は何ですか?」

「そちらは…」

エリザベスは令嬢達の質問に丁寧に答えていく


「バラのお茶は蕾で作りますの?」

「花弁を乾燥させた物など他にもございます

こうして花びらを浮かべるのもよろしいですよ」

テッドも同じように令嬢達の質問に答えながら楽しませてくれる


「クリスティーナ嬢、あちらの殿方はどちらの方ですの?」

シャイフの質問に何人もの令嬢が興味を示した


やはりテッドの凛とした風貌は令嬢受けしたようだ


「彼はセオドア・バウムル男爵でエリザベスの友人です

今日の為にベイル国からわざわざ来て下さったのです」


テッドに爵位などないが、ここはこう言っておいた方が良かろうと事前に打ち合わせ済みだ


「まあ、ベイル国の殿方でしたの!?」

「ベイル国はなんて素敵なんでしょう!

ヴァレンタイン伯爵といい、セオドア男爵といい、なんてお美しい!」


令嬢の言葉にヒラヌルがピクリと反応した

「そういえばヴァレンタイン様のお姿が見えませんが?」


貴女が恐くて隠れています


とは言えないので、これも事前の打ち合わせ通りにクリスは返事をした

「ヴァレンタインはベイル国王の呼び出しを受け、今はベイル国に帰国しています」


クリスの返事にヒラヌルは明らかに不機嫌さを顔に出した

「まあ、そうなんですか!?」


王族が考えている事をそんなに顔に出しちゃダメでしょ


クリスは心の中で呟いた


「ですので私が弟の代わりに参りましたの

私だけでは心もとないので、セオドアも一緒に」


エリザベスはヴァレンタインに言われていた通り、テッドを推した

だがヒラヌルは扇で顔を隠すと、ツンとそっぽを向いてしまった


テッドはそんなヒラヌルの態度にビクビクしてしまうのだった










ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ