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40話 怯え

「え!?」


クリスは宮殿から届いた手紙を読んで絶句した

手紙にはヒラヌル王女がお茶会に参加すると書いてあったのだ


「…招待状も出してないのに」


しかも手紙には「ヒラヌル王女が参加して()()()のだから、ありがたく受けるように」と書かれているのだ


「来なくていいのに」

とは言っても、こちらからお断りも出来ない

どんなに迷惑だろうが、相手は王女なのだから


「大変だわ

お父さまとお母さまに知らせて、ヴァルにも教えなきゃ」

クリスは椅子から立ち上がると杖を召喚した


杖に神経を集中させて使い魔の小さな白い鳥を3羽出すと、3羽はクリスの周りを飛び回った

「お願いね」

クリスがそう言うと3羽はぱたぱたと飛んで行った

使い魔なので壁は関係なく、すっとすり抜けてしまうのだ


クリスは杖を消すと、宮殿からの手紙を見た

「謹慎が解けたのね」

クリスはヒラヌルの手紙を手に取るとひらひらと振り回した

謹慎が解けた途端にこれだ

オルドリッジ家に来たいという事は、目的はヴァレンタインだろう


するとドタドタと走って来る音が聞こえたかと思うと、音はどんどん近づいてきた

音がクリスの部屋の前まで来るとばん!とドアが荒々しく開けら

「おい、クリス!」

と慌てた様子のヴァレンタインが現れた

ヴァレンタインの肩には先程放った使い魔の白い鳥が留まっている

「早いわね」


クリスは再び椅子に座り直すと、ヴァレンタインはつかつかとクリスの側まで来た

「あの女がお茶会に来るのか!?」


クリスは何も言わずに手に持っていた宮殿からの手紙をヴァレンタインに渡した

ヴァレンタインは手紙を受け取ると繁々と読み、どんどん顔色が悪くなってきた


「マジか…どうするんだクリス?」

「どうするもこうするも、王女が『出席してやろう』って言って来てるのに断れる訳ないじゃない」

「いやいやいや、招待もしていなんだよな?」

「そうよ」

「何で来るんだ?」

「私が聞きたいわ」


ヴァレンタインは固まってしまった

この前の王妃の私室でのヒラヌルの妄想を目の当たりに見て、相当恐かったのだろう

あの恐さはクリスよりヴァレンタインの方にダメージを与えたようだ


「おおおおおお俺は出ないぞ」

「うん、その方がいいわね」

「クリスは大丈夫なのか?」

「いいわけないけど、今更お茶会を中止にも出来ないでしょ

幸いお茶会にはお兄さまもベスも出てくれるから…」


クリス一人なら今のヴァレンタインのようにオロオロになっただろうが、お茶会にはエイブラハムとエリザベスがサポート役で出席してくれる

今回のお茶会は令嬢だけに限定はしていないので、出席する令嬢の中には婚約者同伴の令嬢や、兄弟と出席する令嬢もいるのだ

クリスも婚約者のヴァレンタインと兄のエイブラハムが出席する


「何だよ、俺だってクリスを守れるぞ」

「わかってるけど、相手はあのヒラヌル王女よ?

ヴァルが立ち向かえる?」


クリスに言われ、ヴァレンタインは王妃の私室での事を思い返した

何を言っても通じない

そしてあの女は俺もアイツを愛していると思い込んでいる


思い返すと、ヴァレンタインはあの時の恐怖が蘇った

ぶるると身震いをすると、両手で鳥肌のたった腕をさすった


クリスはそんなヴァレンタインを見てくすっと笑ってしまった

普段、強気なヴァレンタインだ

自分より大きな魔獣にも怯える事なく立ち向かう


それなのにヒラヌルには恐怖を感じているようだ

まあ確かに恐かったが…


ヴァルは精神的ダメージに弱いのね


ヴァレンタインの意外な弱点を発見してしまった


「そうだ!テッドにも手伝わせたらどうだ?」

「テッドさんに?」

「そうだよ

アイツ何もせずにこの屋敷でゴロゴロしてるじゃないか

テッドにあの女の相手をさせればいい!」


確かにテッドはハンサムだ

狼なので凛とした風情がある

恐らく女性受けはするだろう


「ヴァル、身代わりにしようとしているわね」

クリスはヴァレンタインの魂胆を見破った

「アイツもあの恐怖を味わえばいいんだ」

「もう」


あれだけヴァレンタインに執着しているヒラヌルが、簡単にテッドへと(なび)くとは思えない

だが何事もやってみなければわからない

もしヒラヌルがテッドに興味を持ってもテッドは人間社会に気を使う必要はないので、気に入らなければオルドリッジ家から出て行けば良いだけだ

万が一、テッドが気に入れば…それはその時に考えよう


「じゃあテッドさんにも話しをしておかなきゃ」

「いいな!」

ヴァレンタインはいたずらをしようとしている少年のように喜んだ


  ♪♫♬  ♬♫♪


オルドリッジ家の広い庭園にはバラ園もある

今の時期はバラが咲き誇っている時期なので、お茶会はそのバラ園で行われた


バラに囲まれた広場にはいくつものテーブルが準備され、お菓子やケーキが準備されている

お菓子はルガード国のお菓子だけではなく、エリザベス達が普段住まうベイル国のお菓子も準備されていた


既に到着した令嬢たちはバラを見て感激していた

赤や黄色、ピンクに白と色とりどりのバラが咲き誇っているが、一番目に付いたのは中央のテーブルの真ん中に飾られている青いバラだった

それも数本という物ではなく、おそらく100本くらいはあるだろう

大きな花瓶にこれでもかという程、飾られていた


ちょうどバラの最盛期という事と、今この家には魔法使いが3人、それに魔獣が3人いる

皆で青くなるバラを探し、魔力を注ぎ込んで青くしたのだ


「すばらしいですわ!青いバラがこんなに!」

「本当に!さすが魔法使いの家系ですわね」


令嬢達は青いバラに見とれていた

その中にはシャイフもいる


クリスはエイブラハムの側に行くとそっと話し掛けた

「お兄さま

シャイフ嬢は同伴の殿方がいません

お兄さまはシャイフ嬢と顔見知りなので、お相手をお願いできますか?」

「うん、いいよ」

エイブラハムはあっさり承諾すると、すぐにシャイフの側へと向かった


「お久しぶりです、シャイフ嬢」

「エ、エイブラハム様!」

エイブラハムに声を掛けられ、シャイフは真っ赤になってしまった


「妹の良き友人だそうですね

ありがとうございます」

「とんでもございませんわ!私こそクリスティーナ嬢に良くして頂いております」


シャイフはモジモジしながら答えた

エイブラハムはそんなシャイフに笑顔を向け、そっと手を差し出した

「よろしければ庭園を案内しますよ」

「まあ!ありがとうございます」


シャイフは緊張で震える手をそっと差し出すと、エイブラハムは手を取り歩き出すのだった






ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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