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35話 単純

ダンドビッチ伯爵家でのお茶会はまだ続いていた


同年代の少女が集まっているので、話題は恋バナばかりだ


「貴女はこの前、婚約されたのでしょう?」

「お父さまが彼との結婚に反対されて…」

「こちらの方のご婚約者様は、少々気が多い方でお困りです」


などなど、いろいろな話しが出て来る

だがシャイフにはそんな話しが出て来ない


「シャイフ嬢はお好きな方はいらっしゃらないのですか?」


クリスに突然聞かれて、シャイフは驚いている

「え…私は、その…」


シャイフの顔が赤くなるところを見ると、どうやら想い人はいるようだ

するとスージーがシャイフの背後から肩に手をポンと乗せた


「クリスティーナ様、シャイフは片想い中なんです」

「スージー!」


シャイフの顔は更に赤くなった


「まあ、どちらの殿方ですか?」

「そ、それは…」


モジモジしているシャイフの姿をスージーはクスッと笑った

「クリスティーナ様もよくご存じの方ですわ」


私がよく知っている?

誰だろう?

私がよく知っている男性…


「ヴァルですか?」

「め、めっそうもない!」

シャイフは両手をブンブン振って否定した


じゃあ誰だろう?

まさかお父さまじゃないよね


クリスはそこまで考えて、ハッと気が付いた

「まさかお兄さまですか?」


するとシャイフの顔はさらに赤くなってしまった


マジでお兄さま!?


クリスの驚いている顔を見たスージーは楽しそうに笑っている

「デビュタントの時にエイブラハム樣にエスコートしていただいてから、シャイフはずっと片想いしてるんですのよ」

「あのお兄さまに?!」


シャイフはもじもじしながら話し始めた


「先日の夜会では、エイブラハム様がとてもお美しい方をエスコートされていて

後でお伺いしたらヴァレンタイン樣のお姉様だと…

あの時は本当にショックでしたが、お姉様と伺って安心しました」

「はぁ」


エイブラハムは確かにハンサムだ

クリスと同じ金髪にグレーの瞳はとても映える


優しいそうな面立ちだが魔法使いとしては既に独り立ちしていて、この前のジュリアの襲撃時は遠方へ魔獣の討伐に出ていた

次期オルドリッジ侯爵として、しっかりもしている


ただ女性に関しては全く関心がなさそうだった


クリスはエイブラハムは魔獣と添い遂げるかと思っていた程だ

まさか自分の方が魔獣と添い遂げる事になるとは思わなかったが


「クリスティーナ様、エイブラハム樣にはどなたか意中の方でもいらっしゃいますか?」

「スージー!」

スージーの問いにシャイフが驚いた


「いえ、兄にそんな方がいらっしゃるとは聞いた事がありません」


クリスの返事にシャイフとスージーはぱあっと明るくなった

「クリスティーナ様、エイブラハム様にそれとなくシャイフの事をどうお思いか聞いて下さいまし」

「スージー!」


突き進むスージーにシャイフはオロオロだ


「上手く聞けるかわかりませんが、やってみますね」


クリスの返事にスージーは喜び、シャイフは両手で頬を押えて照れている


と、そこへ侍女がスージーの側に来ると、何やら耳打ちした

スージーはこくりと頷くと、侍女は下がって行った


「クリスティーナ様、お迎えの方がお見えになられたそうですわ」


スージーの言葉に他の令嬢達が「きゃー」と叫んだ


「それではヴァルにご挨拶するように頼んで来ます」

クリスがそう言うと

「お願いしますわ、クリスティーナ様!」

「よろしくお願いします!」

と令嬢達に鼓舞されてしまった


先程ヴァレンタインの到着を伝えに来た侍女に案内され、クリスは部屋を出た

再びエントランスへ来るとヴァレンタインがいた


「ヴァル」

「クリス、迎えに来たぞ」


クリスがヴァレンタインの側まで来ると、ヴァレンタインはクリスのおでこにキスをした

クリスはぼん!と顔が熱くなり

「もう!ヴァルたら」

と照れてしまった


「さ、帰るか」

ヴァレンタインはそう言うとクリスの手を取った

「ヴァル、待って

実は今日お見えの方々がヴァルにご挨拶したいって仰ってるの」

「挨拶?」


何百年も生きているヴァレンタインはこのようなパターンを熟知している

令嬢達の集まりなので、自分に近づきたい女性達だとすぐに気が付いた

「やだよ、面倒くさい」

「え、そんな事言わないで」

「やだ、帰る」


ヴァレンタインが一度こうなると、もう何を言っても変わらない

クリスは困ったな、と考えてしまった

だが名案を思い付いた


「ヴァル、今日来ている令嬢の中にお兄さまに興味を持たれている方がいらっしゃるの」

「エイブラハムにか?」


思った通り、ヴァレンタインは興味を持った


「そうなの

その方にお兄さまがご自分をどう思っているか聞いて欲しいって頼まれたんだけど…

その方はお兄さま好みかな?ヴァルならわかる?」

「エイブラハムの好みか?

どうかな?でもどんな令嬢か見てみたいな」


よし!


クリスは心の中でガッツポーズを取った


「じゃ、少し会ってみて」

「よし、行こう」


単純すぎる…

ヴァレンタインは興味を持てばすぐに飛びついて来る

ネコって…とクリスは少々、ため息を付いてしまった


クリスとヴァレンタインがお茶会を開催している部屋に戻ると、部屋がざわついた

するとスージーがすぐに側に来て挨拶をした


「レイメント伯爵、初めまして

ようこそお越し下さいました」

「いえ、婚約者のクリスティーナを迎えに来ただけです

すぐに失礼しますよ」


テーブルの方にいる令嬢達はもはやヴァレンタインから目が離せないようだ

クリスは他の令嬢にヴァレンタインを紹介した


「婚約者のヴァレンタイン・リアム・レイメント様です」


しばらくの沈黙の後「きゃー!!」と叫び声で部屋はパニックになってしまった

令嬢達は顔を赤らめ

「なっ、なんてお美しいんでしょう!?」

「この世の方とは思えませんわ!」

「素敵すぎます!!」

と悶絶している


「おい、クリス

どの令嬢だ?」

「あ、えっと…シャイフ嬢!」


クリスに呼ばれ、シャイフは驚いたがすぐに側へやって来た

「シャイフ嬢、ヴァルも協力してくれるそうです」

「まあ、そんな!ヴァレンタイン様まで!?」


ヴァレンタインはシャイフを見るとニッコリ笑った

「この前の夜会の時の方でしたか」


ヴァレンタインはそんなつもりはないが、ヴァレンタインが微笑むと令嬢達の悲鳴が更に激しくなった


「エイブはいい奴ですよ

貴女はお目が高い」


ヴァレンタインにそう言われ、シャイフはぱあっと笑顔になるのだった










ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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